松永多佳倫のレビュー一覧
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小中学校時代、千葉県だとテレビの野球中継は巨人戦、佐倉市出身の長嶋選手と本塁打王の王選手、投手陣は堀内投手、城之内投手などを応援していましたが、ONを真っ向勝負でキリキリ舞させていた若きころの江夏投手、敵ながらあっぱれ。バッテリーを組んでいた田淵選手が王選手の連続本塁打王を止めた、江夏投手と田淵捕手の阪神黄金バッテリー時代。 江夏投手のオールスター戦での9連続三振奪取、TVで視聴していましたが、江夏投手が田淵捕手に、ファールフライを「獲るな!」と叫んでいたと思っていましたが、今回この本を読んで、「追うな!」と叫ばれていた事実を初めて知りました。ご本人が書かれた書籍ということも有り、自分の小中学校時代のワクワク感を思い出すことが出来ました。9連続三振奪取したオールスター戦がセリーグのノーヒット、ノーラン勝利だったことは全く記憶に残っておりませんでした。広島時代の日本シリーズ第七戦の登板時のご本人の解説、自己分析も初めて知る内容でした。江夏豊投手は、昭和30年代生まれの野球観戦が好きな人々の記憶に残る好投手でした。古希が過ぎて、この本に触れられたことに感謝したい時思います。
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今年55歳の私は、江川卓氏の巨人時代しか見たことがありません。それも晩年、肩を壊して投球術で抑えていたようなイメージでした。
ところが江川氏にまつわるエピソードでは、高校野球時代に”バットに当てただけで球場がどよめいた”等々の伝説が数多く残っています。高校野球3年間でノーヒットノーラン12回、うち完全試合が2回、甲子園の選抜4試合で60奪三振など、今では考えられないような記録を残されています。今から約50年前、江川氏が伝説を作り始めた高校時代に、江川氏と関わりあった人たちの証言から本書はスタートします。
野手のチームメイト(”常に完全試合の可能性があったので、守備で極度の緊張感があった”)、ドラフトにかかるほどの実力がありながら江川氏の存在のために登板機会の少なかった控え投手、江川氏からホームランを打った選手、江川氏の所属した作新学園に勝利した広島商業、銚子商業の関係者。そして大学進学後の大学野球で関わりあった人たち。本書にもあるように、江川氏と関わることで大きく野球人生が変わった人が、数多く登場します。
本書後半はプロ野球で江川氏と関わった人たちの証言です。数多くの名勝負を演じた掛布雅之氏(”掛布氏に対し、ベンチの指示で敬遠したときのボールが最も凄かった”)、1980年代の名投手遠藤一彦氏、江川氏引退のきっかけのホームランを打った小早川毅彦氏、巨人時代のライバル西本聖氏(”いわくつきの経緯で巨人に入団した江川氏。孤立する江川氏にキャッチボールの相手を申し出た西本氏の心内とは…”)、理論派として名高い江夏豊氏(”打たれるリスクのないアウトコースで勝負する江夏氏と、バッターが振る所に投げ込んで勝負したい江川氏。異なるスタイルながら認め合う一流同士のやりとり”)など、そうそうたるメンバーの証言が、江川氏の現役時代を生き生きと再現しています。
松坂大輔氏などとは異なり甲子園での活躍が少なく、YouTubeやスマホもないため、残されている映像がほとんどありません。だからこそ、本書で取り上げあれている様々な角度からの証言から、想像を膨らませて読んでいると、陳腐な表現となりますが、本当に凄いピッチャーだったのだと再認識できます。丁寧な取材に裏付けられた400ページ越えのボリュームですが、引き込まれるように読み通せました。江川卓氏を描く決定版とも言えるノンフィクションでした。 -
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高校野球を見た後にプロ野球を見ると、プロのレベルの高さを感じる。
ところが、高校野球の江川卓だけは、プロより凄いと思った。
ストレートが打者の手前で加速するように見えた。
それ以来、投手と言えば江川が基準。
江川に近いと感じた投手は藤川球児くらいだ。
松坂大輔も怪物扱いされるが、江川を知っている人には「いい投手だな」くらいにしか感じなかったのでは。
松坂大輔や大谷翔平のストレートも伸びがあるが、江川卓のストレートはこの両者よりも6㎝上を通過する。
落合博満も江川卓のストレートがNo.1だと言っている。
江夏豊も江川のストレートには勝てないと言っている。
アウトローの速球で見逃し三振より、インハイの速球で空振り三振のほうが凄みを感じる。
本書は、高校・大学時代の初耳の話題も多くて面白かった。
プロでの話題では、新浦や広岡の証言が聞けたのが良かった。
巨人でバッテリーを組んでいた山倉は出てこなかったので、YouTubeあたりを探してみよう。
江川は普段は緩いけん制球しか投げないが、一度超速の牽制球を一塁手の中畑に投げたとき、顔に当たりそうになって中畑が間一髪よけたという話があった。
高校の時は、体調不良の正捕手の代わりに出た控え捕手が江川の球を捕れず、直撃を受けた主審が倒れるなど速球にまつわる話題が幾つか載っていた。
松永多佳倫さんは知らなかったが、野球関係の本を何冊も書いているようなのでもう少し読んでみようと思った。 -
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結果が物語る
もちろん広岡さん側からの描き方だが、それが真実なのは結果が物語る。
現在も発言を活発にしていらっしゃるが、大抵野球ファンからは「老害」とか「今は違う」という受け取られ方をされてしまう。
残念だ。時代や状況に左右されない知恵の宝庫なのに。
僕は現役時代、新規事業、パイロットプロジェクトに多く関わった「敵前上陸型」だった。広岡さんの哲学方針行動にはいちいち深く頷けるし、畏敬の念しか抱けない。
氏の言葉は文字にするときついが、実際ご本人の声で聴いてみてほしい。実に柔らかく知的だ。
マスコミの作った虚像に踊らされて、氏の声で英知を耳にしないのは本当にもったいない。
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高校野球では強豪私学の有名校が優勝を争う構図になっています。その一方で、県立進学校でありながら真剣に甲子園出場を目指す(そして実現させている)野球部の現状を監督や現役選手に取材して紹介したノンフィクション。
登場するのは松山東高校(愛媛)、濟々黌高校(熊本)、彦根東高校(滋賀)、時習館高校(愛知)、青森高校(青森)、佐賀西高校(佐賀)の6高です。
野球推薦はない、練習時間は制限される、当然勉強も手は抜けない、など野球の上達のためにはネガティブな条件満載にもかかわらず「だからこそ両立させる!」というある意味反骨精神満載の関係者の言葉は魅力にあふれています。
プロ野球選手を多数輩出する有名私学のやり方も批難されるものではないと思いますし、一方でこの本に登場するようなアプローチも素晴らしいと思います。
この本に登場する学校の選手の一人に著者が「強豪私学へ野球留学してくる高校生をどう思うか」と質問した時、「彼らは覚悟を持って越境入学してきている。むしろすごいと思う」と即答したエピソードが紹介されています。相手への妬みではなく、同じ高校生としてリスペクトしている器の大きさに驚く著者。全く同感です。
甲子園を目指している球児と比較にはならないですが、私自身、恵まれない競技環境の下でいかに他の高校に試合で勝つかを真剣に考えていた高校時代を思い出させてくれる1冊でした。「強豪校の監督術(講談社現代新書)」と併せて読むと、面白いと思います。 -
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プロに入ってからのことはもう何度も見聞きしたし、彼の現役最後の日本シリーズ、後楽園の対西武の3試合目、これをバックネット裏で見たのだが、なぜだろう、そこまで圧倒的な球には見えなかった。その前のシーズン中の広島戦が、江川が江川たる所以の球を投げられた最後の試合だったのかもな。
でもそれでも西武は2点しか取れてない。
だからかな、この本を読んでて面白かったのはプロに入る前までのところだったな。
その、甲子園の5万の大観衆が固唾を飲んで黙ってしまうというそのシーンをこの目で見たかった…
今でもキャッチボールをすると、江川の投げ方がイメージされてそれを真似しようとしてしまう。誰も江川とは言ってくれないけれど… -
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江藤さんが言った「広岡さんも落合さんも技術は超一流、でも人間関係で苦労した」これが真理なんだろうな。
でも広岡さんのいう真理、今までよくわからないところだったが、これをもっと具体的にこの本では選手やコーチの側から話をさせることで浮き彫りにしている。松岡然り、大田卓然り、工藤、石毛、森繁和、田淵…そんな中で江夏だけはやはり、分かってはいても認めたくなかったんだろうな。
王さんが5年やって解任になったとき、広岡さんに打診があったのだという。阪神の監督にも打診があったこともあるという。どちらかだけでもやっていたら、今の巨人は、阪神はどう変わっていたのかな。でもヤクルトも西武も見る限り、ずっとは上手くいかないのだから、収まるところに収まるのだろうな。