山と溪谷社のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
御嶽山が噴火した当初は、マスコミで時々刻々と伝えられる情報に目を奪われた。そして、2ヶ月半の時を経て、あの日に何が起こり、その後どうなったのか、そしてこの災害から何を記憶に留め、何を学ぶべきなのかといった全体像を浮かび上がらせる記録集が出版された。
第1章は、噴火発生から救出までの十日間の記録。
第2章は、生還した登山者達の七つの証言。
第3章は、研究者による科学的考察。
第4章は、救助に当たった関係者の証言。
登山者の証言からは、生きようとする強い意志ととっさの行動、そして運が生還につながったことが分かる。テレビや新聞の報道でも断片的に伝えられてはいたが、極限状態に置かれた中で、皆冷静にお互いに励まし合い、助け合っていたという証言が多いことにも、あらためて心打たれた。
章末に「サバイバーズ・ギルトからの超克」と題して災害リスク心理学の専門家である広瀬弘志氏の報告が置かれている。生死が隣り合わせの状況下で、自分が生き残ったことに対して、罪悪感を感じる人の心理状況について論じている。広瀬氏は、「事故や災害、戦争などからの生還者に見られるサバイバーズ・ギルトは、PTSD(心的外傷ストレス障害)とは区別すべきで、必ずしもすべての人を治療対象にすべきではない」として、「サバイバーズ・ギルトは一種の哀悼の感情なのだと思っています」と語っている。
さらに、サバイバーズ・ギルトを感じている人に接する姿勢について、
「深い悲しみのなかにある人には簡単な慰めの言葉は通じません。まずは、じっくりと話を聞くということが大切です。むしろ、横にいて話を聞いてあげるだけで無理に言葉をかける必要はないと思います。自分の気持ちを吐露するということは、自分をわかってくれる人にだけすることです。もし、あなたがそういう話をされたら、人間同士のつながりがあることが前提になっているわけですから、黙って話を聞いてあげましょう。罪責感を外に向かって吐き出していくという行為は、確実にサバイバーズ・ギルトを抱えた人の心を軽くしていきます。そして、だんだん悲しみが薄れてきたら、これはあなたのせいではなく、天災なんだと。あなたが助かったのは〇〇さんが亡くなったからではないし、あの人が亡くなったのは偶然だと。本当に残念だということをきちんと伝えていくことが大切だと思います」と語る。
この言葉は、さよならの多い人生において、忘れてはならない珠玉の言葉のように感じられた。 -
Posted by ブクログ
怖い熊というタイトルから、人が熊に襲われる話ばかりかと思うと違う。
半分くらいは、猟師さんが熊を狩る様子が丁寧に描かれている話です。
山に入って周りの自然を観察する目や、熊と向き合った時の昂揚する気持ち、仕留めたあと熊を解体する過程など、資料として読んでもとても興味深いです。
そして猟師さんの知識と度胸と、熊に対する畏敬の念に、なんて逞しいの!とヤラれる。
もちろん有名な、三毛別羆事件や、福岡大ワンダーフォーゲル同好会の事件もあります。
三毛別のは、熊目線で描かれているのが新鮮。
羆からしたら、こんなふうに思っていたのかもしれないですね。
そして巻末の解説を、澤村伊智さんが書いてるのが驚き。 -
Posted by ブクログ
月刊誌『山と渓谷』や『ワンダーフォーゲル』誌に掲載されてきたソロ登山に関する記事がまとめられた1冊だ。
サイクリングにしろ、山歩きにしろ、一人で出かけることが多く、車両通行が困難な林道や人気のない山道では、小さな事故でも重大な結果を招きかねないと自覚している。本書を手にしたのは、私の山歩きに関しての経験値が少ないため、あらかじめ皆さんの経験を共有させてもらいたかったからだ。工場での安全活動と共通する、KYTの一環として参考にさせてもらった。
遭難事例だけでなく、遭難ヒヤリハット事例は、自分の経験不足を補ってくれる貴重な資料だと思う。40代女性の事例で “変な人についてこられた”というのは、遭難と同等のリスクなんだと、あらためて気づかされた。 -
購入済み
山小屋の運営に携わる人たちによるエッセイ。
文章を生業としないそれぞれの方々の
思いおもいの文章が綴られていて、
山登りとは縁のない私には
初めて知ることばかりで、興味深く読めました。 -
購入済み
この本では火山の噴火についてかかれているけれど
自分自身も、いつどこでどんな災害に遭遇するとも限らないわけで
そんなとき、とっさに行動できるかどうかを
あらためて考えてみようと思いました。
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Posted by ブクログ
山小屋は基本的に、大部屋で登山客がギュウギュウになって寝るような場所だった。コロナ前は、1枚の布団で2人で寝たり、夜中は他人の足に蹴られたり、そこらじゅうのイビキで目が覚めたりした。食堂や談話室では、初対面の他人と山の話で盛り上がったりしたものだ。
当然ながら、「密」な状態であり、新型コロナの感染リスクが極めて高い場所だと言える。パンデミック以降、「完全予約制」「1人布団1枚&衝立仕切り」「談話室利用禁止」など、感染対策を施しながら、苦労して経営を続けている山小屋は多い。これらの対策があっても、人数制限を行うため、売り上げはコロナ前の半分程度というところか。
この本を読んで、山小屋の存在意義は必ずしも登山客の宿泊だけではないことを知った。高山植物維持・害獣(ニホンジカなど)駆除・登山道の清掃や整備など、環境維持の役割を担っていることが分かる。
主な収入減が登山客からになってしまうが、今後はサービスを出来るだけ維持しつつ、値上げに踏み切ることもやむを得ないと思う。また、登山客としては、予約なしで飛び込み宿泊をするような振る舞いは今後認められないと痛感した。 -
Posted by ブクログ
日本の山について多角的に色々知ることができた一冊。
登山体系はもちろん、日本人と山との歴史的関係、日本の山の地理学的特徴など幅広くコンパクトに紹介してくれている。
中でも江戸時代以前の山は伐採で禿山がひどく多かったといった事実は恥ずかしながら初めて知りました。だとしたら、森がどうやって復活したのか、当時の自然破壊の惨状はどの程度なのか、等、もっと知りたいことが増えました。
しかし本書を読んで改めて、日本の山はバリエーション豊富で四季の変化もあって、動植物も豊富で温泉にも恵まれて本当に素晴らしい、こういった山に登れる幸せをほんと実感しました!