少年アヤのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレすごくよかった。びっくりした。
本屋メガホンさんの『透明人間さよなら』をきっかけにこの本のことを知った。
日々透明にされること、その事への怒り、悲しさが記録されていた。
自分の大事なアイデンティティから目を逸らして見なかったフリを続ける、それでも別の角度からは愛情を注いでいる距離感の掴めない、それでもこれまでずっと一緒にいた、著者的には大切な存在の家族。自分を傷つけている存在を、それでもその温かい側面を無視せず捉えてまっすぐにもがいている姿に痺れた。(私は全て切り捨ててしまうタイプなので…)。
本来ならいい人、根はいい人、大事な人。そんな人たちに悪意なく自分のアインデンティを否定されたり無視されたりして、揉めたく無いけれど痛みを無かったことにはしたくなくて、という苦しさに共感した。
これを書籍にして言語化してくれる人がいて嬉しい。
これを読んで、「そりゃこれ読んだら本屋作るわ」って思った。私たちには痛みを言語化してくれる言葉や書籍、存在が必要だし、私もお金が貯まって赤字経営にならないようないい感じの場所を手に入れたら、クィアのための本屋さんを開くのもありかなと思えた。
すごくよかった。 -
Posted by ブクログ
「少年アヤ」というのが作者の名前だったり、馬じゃなくて人間のお話だったりして、最初ちょっと驚いた。でも、最後まで読んだらおもしろかった。
クラスでいじめられていた周りとちょっと違う子と、女子がばかにされるのはおかしいって思った女の子たちがおんな国を作って、学校を出て行っちゃった。
勝手に出て行って、先生は怒るかと思ったけど、泣いていて、びっくりした。こうなるまで放っておいたのがいけないとわかったからかな。
誰が何を好きでもいいから、好きなものを言えなかったりばかにされたりするのはちょっと不思議な気がしたし、かわいそうだと思った。ぼくが何を好きでもお父さんとお母さんは、「いいね」って言ってくれる。
でも、確かに学校では難しいなって思うこともあるかも。心ではおんな国に賛成だけど、一緒に出ていくのはできそうにない。「みんなとちがう」って方に進んでいくのは、不安な気がする。本当は、誰が何を好きでも、どんなふうでもいいんだけど、そういうふうに言えないし、くるむっちみたいに強くなれない。社会がおんな国みたいになればいい。
卒業して、今のクラスの子がバラバラになったら、どうなっちゃうのか気になる。でも、みんな勇かんに生きていきそう。
表紙の絵は、ちょっと不器用な感じで、暗い背景にきれいな色があったりおばけがいたりして、うまの心の宇宙かなと思った。印象的。(小5) -
Posted by ブクログ
少年アヤさんのことは、Instagramで知った。
いつも、可愛いレトロな雑貨やおもちゃの写真をUPしている、文章を書く人。という認識で、一年くらい前からフォローしていたけれど、著作を読んだのはこれが初めてだ。
読み始めたら、通勤電車内でも(7分くらいしか乗らないから自転車で行く日が多いのに、これが読みたいから敢えて地下鉄に乗った)、乗り換えで歩く間も、隙を見ては一行でも読みたくて、三日ほどで読み終えた。(丸一日休みがあれば多分一日で読んでしまっていたと思う)。
そういう本は、スティーブン・ミルハウザーの「エドウィン・マルハウス」以来。つまり、めちゃくちゃ面白かったのだ。
日記のような、サラサラと読める優しい文章を読んで行くと、たまにグッと胸ぐらを掴まれるような瞬間があり、たまに爆笑したり、憤ったり。
本の中のアヤさんはよくポロポロと涙を流すのだけれど、読んでいる方も何度か泣いた。
「まゆちんは最高だ。そしてかけがえのない、ぼくの親友のひとりだ。しかし、こんなにも最高なまゆちんと、なぜ10年も連絡をとっていなかったというと、それはぼくがぼくであるからだ。そしてゲイだからだ。」
読み始めて13ページ、そこからアヤさんが、
(よい人生、ぼくをくるむ!)
と感じられるまでの物語。
ただ誰かを好きになっていくだけなのに、その道をまっすぐに進むことが難しい世界にいるアヤさん。
「くそマジョリティ」の中に居る、自分も含めた人々。
ただ、ただ、しあわせに生きるということが、こんなにも困難であるという現実のなかにあって、たくさん泣いて傷付いて、ときに自暴自棄にもなりながらも、大好きなひと(パートナーはもちろん、親友や家族。アヤさんも書いていたが、アヤさんの家族、友人はすごくかわいい)に囲まれている。その中でアヤさんは気付いていく。
「恵まれている、という痛みに近い感情」に。
終盤、このあたり読んでいて地下鉄でポロポロ泣いた。
「こうはいかない、おそらく大多数の人生を思わずにいられなかった。」
そう、この視点が端々にあって、そこが胸を痛く打つ。
強くじゃなく、痛く。
子育て中のママ、ひなことみずみのこと。
会社でヒールを履いて脚がぼろぼろになったまゆちんのこと。
自分ごとのように思い、泣くアヤさん。
強さは優しさあってこそなんだよなと、改めて思うけど、そもそも弱いままで良いと、そのままで良いよという世界に生きたいし、そうなるようにしていきたいと思った。 -
Posted by ブクログ
自傷行為を見ているような痛ましい気持ちになったり、他人事とは思えないほど共感してしまったり、かと思えば大声でゲラゲラ笑ったりしました。他人から傷つけられ、自分で自分を傷つけ、傷つきぬいた半生が、哀しくも美しい文章で綴られています。少年アヤちゃん、すごいなあ。
劣等感にがんじがらめになって身動き取れなくなって、正しくて美しい人を憎まなければならなかった、憎まずにはいられなかった気持ちは、私にも少しわかる気がする。特に初めて新宿2丁目に行くときの「恋愛市場で品定めされる恐怖」を巧みに表現していたくだりは、共感で胸が痛くなった。
私はアイドルではなくアニメオタクですが、自分の中に湧き上がってくる衝動の理由を突き止めるのは、恐ろしい。残酷なまでに自分を分析して、洗いざらい文章という見える形に変える作業は、気の遠くなるような精神力が必要だっただろう。こんな魂けずって作られた本を1400円ぽっちで手に入れた私は、これを、単なる消費にしてはいけないと思った。だからと言って具体的に何すればいいのかはわからないけど。 -
Posted by ブクログ
誰なのか全然わからないで読み始めましたが、その独特な文体と剽軽な雰囲気。それでいて切ないやりきれなさがとてもよかった。知らずに読んだのは正解だったかもしれません。
アヤちゃんはゲイで、繊細なのでいろいろな事が苦手。人が嫌いなわけではないのだろうけれど兎に角人に何かを聞いたり判断したりすることが本当に苦手。普通の人が一瞬で出来ることを、崖から飛び降りるような気持ちでようやっと遂行します。または遂行できない。
普通に労働することも苦手で、お金がなくてとても貧乏。持っている昔のおもちゃを少しずつネットで売って生計を立てています。バイトをしようと思ってもバイト募集の紙を毎日眺めながら行ったり来たりして、結局先に誰かが決まってしまう。そしてそれにがっかりしながらも、自分が決まらななかったことをどこかホッとしている。
そしてアヤちゃんは友達からも家族からもとても愛されているように見えます。本人はダメダメだと思っていて、周りから見てもダメダメなのかもしれないけれど、お互いをとても思いやっている関係で読んでいてとってもうらやましいです。
クスっとしてしまうけれど、器用に世の中を渡っていけない人の切なさが不意に胸に痛いです。僕も声上げればいいだけなのに結局言い出せない瞬間がたくさんあるので、分かるなあと思うところありました。
あと、文章の表現力と比喩の鋭さが半端ない。自慢げに美しい文章を書くのではなくて、雑多なおもちゃ箱の中に本物の宝石がごろごろ入っている感覚です。さりげなくとんでもなく美しいものが潜んでいます。これは拾い物でありました。妻のセレクトです。 -
Posted by ブクログ
少年アヤのブログが元の本。
アヤちゃんは、ゲイの男の子だけど、いわゆるオネエでもなく、普通に男の子が好きな男の子。
その日常が描きだされる。
私小説のような内容。例えば、働けくことをやめて、とにかく貧乏。というのも、本人がオリジナリティが高くアーティスティックだから、世の中と折り合いがつかないからこそ、の部分がある。
無頼派とは違うけど、世の中へのずれの感覚は文学の様。
描かれる気持ちは徹底して「繊細」。
若い女子がファンになるのがうなづける。こんな繊細な気持ちがわかる男は少ないと思う。
社会についての恐れ、集団についての恐れ、自分が居ることの違和感が根底にあると思う。
描かれる世界は、身の回りの事、自分と仲の良い友達(女友達が多い)との関係が多い。そして、まさに青春という感じ。
自分をオカマと称して、ぬいぐるみを着ている感覚だったころ、人がたくさん寄ってきたけど、辛かった。
という部分が印象的だった。
自分は、男らしさ、女らしさ、とか、ジェンダーというのは何なんだかきちんと理解できていないなと思う。
アヤは、女の子に共感されるような繊細さがあるからといってオンナオトコとして生きていくしかないのではない。
それはそんな性格なだけだから。
男/女の境目はかなり社会的なルールの強制であり、男らしくないから「女」なのではないと思う。
肉体的に男、女というのとリンクするように性格も男らしい、女らしいとなると皆が思っているが、それは常識ではないのではないかと思う。
自分は男でも女でもない。
という気持ちが正直なところなのではないか。
そういうフラットな気持ちが正直に(ある意味かっこつけないで)記載してある。
そこが、芸術的、文化的な魅力になっている。
頑張ってやっとバイトに行けることになったが2日間でやめてしまうなど、かなりセンシティブ。
芸術家の森村泰昌が就職1日目で退職したのとなんだか似ているなと思った。
集団に属すことのそらぞらしさ、恐怖、違和感を感じる、
アーティスティックな感性。 -
Posted by ブクログ
痛々しいけど言葉選びが可愛い。キラキラしてる。まさに、くたびれちゃった女児用の玩具みたいだ。「きみの美しさには傷つくよ」とか、いちいちぐっとくる言葉が多くて、やっぱり言葉の人だなあと思う。でも本のこととか一切ふれてなくて、この人いったいなにで書くことを覚えたんだろうかと思う。
読んでてどこまで事実なんだろうか?と思うことがたまにある。作者の友達はなんだか底抜けに明るい人が多くて、読んでてちょっと疲れる。笑。古道具屋のオーナーとの出会いの話がいちばん好きだった。ほんとうに慈しんで大事にしているんだな。自分はものにあまり思い入れがないけど、ものを大切にするっていいなあと思えた。