小谷真理のレビュー一覧
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[ 内容 ]
一般にファンタジーというとき、それは「フランケンシュタイン」や「妖精物語」のように、新世界の発見と急激な機械化に触発されて十八世紀中頃に生まれた作品を嚆矢とする。
そして第二次世界体戦後に発表された「ナルニア国物語」や「指輪物語」などによって、一挙に多くのファンを獲得することになった。
ファミコン・ソフトなどを通して現代人の想像力に意外な影響を及ぼしているファンタジーの魅力を、歴史的な文脈に即して紹介する。
[ 目次 ]
序章 ファンタジーへの誘い
第1章 妖精戦争
第2章 パルプとインクの物語
第3章 ファンタジーのニューウェーブ
第4章 魔女と女神とファンタジー
第5章 ハ -
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四人の執筆者たちが萩尾望都の作品をとりあげ、その魅力を語っています。また巻末には、「萩尾望都スペシャルインタビュー」が収録されています。
小谷真理が解説しているのは『トーマの心臓』です。小谷が主要なフィールドとしているフェミニズムとSFという二つの観点から考察をおこない、とくに美しい少年たちの物語としてえがかれたこの作品が、女性たちにどのように受け入れられたのかということが論じられています。
ヤマザキマリが解説しているのは『半神』と『イグアナの娘』です。おなじマンガ家としての立場から、表現技法などに立ち入った話がなされるのかと思っていたのですが、むしろ作品のテーマを掘り下げる議論が展開され -
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番組を見損なった。萩尾望都大ファンの番組プロデューサー(秋満吉彦)が満を持して放つ100分de名著。番組よりも論者は更に加筆したようだし、論者たちをア然とさせたらしい萩尾望都ロングインタビューも完全版で載っている。番組観なくても、こういうムックで読む方がよっぽど役に立つ。
【内容】
『トーマの心臓』をよむ――小谷真理
『半神』『イグアナの娘』をよむ――ヤマザキマリ
『バルバラ異界』をよむ――中条省平
『ポーの一族』をよむ――夢枕獏
萩尾望都インタビュー
ここで新たに提示されている萩尾望都論は、それなりに新しい視点ではあるけれども、驚くようなことは書かれてはいない。かつて80年代の -
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19世紀中葉の産業革命以来、世界を席巻した合理主義のカウンターカルチャーとして登場した「ファンタジー」・それらは多大な分野に影響を与えながら広がって行き、さまざまなサブジャンルを生み出す。
トールキンの指輪物語、ラブクラフトのクトゥルー…
サイエンスフィクションが登場すると、それはペーパーバックとともに広がった。
また、こうじてはアメリカでは家長主義へのカウンターカルチャーとして魔女、女神信仰を織り込んだものなどを生み出している。
現代では(書かれた当時は20世紀末)ファンタジーやSFがジャンルを超えそこかしこに繁茂している。ファンタジーは既存の枠を超えた柔軟性のあるジャンルへと変貌している。 -
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モダン・ファンタジーの歴史をたどりながら、ファンタジー作品に秘められた想像力の意義について考察している本。
前半は、「モダン・ファンタジーの父」G・マクドナルドから、ラブクラフト、トールキンとルイスなど、ファンタジー作品の歴史を、ていねいにたどっていきます。しかし後半に入ると、現代のファンタジー作品の紹介とともに、それらが持つ政治的な意味についてのやや突っ込んだ考察が展開されるようになります。
著者は「序章」で、D・プリングルによる「ファンタジー」の定義を紹介して、ファンタジーには、「合理的できちんとした現実感とそれに裏打ちされた文学スタイルに対して、おかまいなしにどこでも勝手に侵入し、超 -