梅本勝博のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
年齢,性別,職業,地位を問わずにオススメ.
誰が読んでも得るものは多く,大きいとおもう.
分厚く,400ページもあるがそれほど苦にならずに読める.
内容は,日本企業がなぜここまで強いのかということを理論と実例を使って見事に説明したものである.
そんなものがなぜ年齢や職業を問わずにオススメできるのか?
それはタイトルにもあるようにこの本が「知識を創造する」ダイナミズムを初めて扱った本だから.
従来の自然科学的方法論では扱いきれなかった「暗黙知」に焦点を当て,社会科学的手法を用いて見事に分析していることを私は非常に高く評価したいと思う.
私のいる心理学の世界にも,このような流れは明白で,「拡張による学習」「状況論的アプローチ」「状況的行為」「グループダイナミクス」といったキーワードの重要性が増してきている.パラダイムシフトの中にあるといってもいい.15年後サイモン型の人間-情報処理システムを追求する心理学はどうなっていることだろう.
ちなみにこの本は日本人によって英語で書かれたもの(しかも初出はあのハーバード・ビジネス・レビュー)を別の日本人が翻訳した物であって,まずはじめに海外で評価された本である.日本での発売は1996年で,ずいぶん前だが,全く色あせることはない.名著. -
Posted by ブクログ
●知識創造の3つの特徴
1)表現しがたいものを表現するために比喩や象徴が多様される。
2)知識を広めるためには、個人の知が他人にも共有されなければならない。
3)新しい知識は曖昧さと冗長性のただなかで生まれる。
●個人知から組織知へ
我々は組織的知識創造という言葉を使うが、個人の自発的行動とグループ・レベルでの相互作用がない限り、組織それ自体では知識を創ることはできない。
●知識創造の主役
知識創造はだれが責任をもって行なうのだろうか?日本企業の特徴は、知識創造の任務を独占する部署や専門家グループがいない、ということである。第一線社員、ミドル、役員の全員がそれぞれの役割を果たすのである。しかし、それは役割が同じということではない。新しい知識は、彼らのダイナミックな相互作用の成果なのである。
知識創造プロセスにおけるミドル・マネジャーの役割は重要である。彼らは、第一線社員の暗黙知とトップの暗黙知を統合し、形式知に変換して、新しい製品や技術に組み入れるのである。日本企業で実際に知識創造プロセスを管理しているのは、ミドルマネジャーなのである。
●日本企業の知識創造の特徴は、せんじつめれば、暗黙知から形式知への変換にある。ある個人のきわめて主観的な洞察や勘は、形式知に変換して社内の人たちと共有しないかぎり、会社にとっては価値がないに等しい。日本企業は、とくに製品開発でのこの暗黙知から形式知への変換が得意なのである。 -
Posted by ブクログ
日本における…というか、世界的なナレッジマネジメントの巨匠・野中郁次郎氏。
本書はその古典であり教科書的位置付けのもので、読んでおくべき一冊だと思います。
…とはいえ、自分は本書の核となる内容がまとめられた「ナレッジ・クリエイティング・カンパニー」という論文(ハーバード・ビジネス・レビュー掲載)は熟読したものの、本書は拾い読み程度ですが。
知識創造理論は、1990年代に野中氏らによって提唱されたもので、日本企業のイノベーション事例の成り立ちを分析したことから始まりました。
調査の結果、欧米的な考え方では日本のイノベーションの説明が十分にできないという疑問が生じ、欧米的組織は形式知を用いる情報処理型であるのに対し、日本的組織は暗黙知から形式知への変換を行う知識創造型であると結論付けました。
このような経緯から、知識創造のスパイラル・プロセスを示した「SECIモデル」が生まれます。
そこでは、知識には「暗黙知」と「形式知」という二つのカテゴリーに分けられ、両者の相互作用(暗黙知⇒暗黙知:共同化、暗黙知⇒形式知:表出化、形式知⇒形式知:連結化、形式知⇒暗黙知:内面化という4つの段階)を経て、新たな知識が生み出されると指摘しています。
また、知識創造の特徴として、①表現しがたいものを表現するために、比喩(メタファーやアナロジー)や象徴が多用される②個人の知識が他人にも共有される③新しい知識は曖昧さと冗長さのなかで生まれるということです。
哲学的な内容を多く含む上、400ページにもなる書籍ですので、読むのは結構大変だと思います。
なお、本書の“ケーススタディ”編として、「イノベーションの本質」が大変読みやすく、知識創造のプロセスが具体的に13事例紹介されており、ミドルアップダウンの重要性なども理解できると思いますので、そちらと合わせて購読されることをオススメします。