澤昭裕のレビュー一覧

  • 精神論ぬきの電力入門

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    震災後の感情論に振り回され、国家の骨組みをなす重要なエネルギー政策が、いかに本質的な議論ができていなかったか、そして、その危うさを感じた。
    かなり前に出版された本であるが、当時耳障りよく喧伝されていたことが、実はどういうものであって、エネルギー政策上どのような視点が欠けていたのかが分かり勉強になる。エネルギーの問題は解決したわけではない。今後の議論において基礎になる知識をこの本は提供してくれる。

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    2019年11月01日
  • エコ亡国論

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    「エピローグ」に「地球温暖化だけが、解決を迫られている問題ではない…温暖化の解決には、日本としてどの程度のコストと労力を注ぎ込んでいくべきか…もう一度、白紙から見直す時期に来ている」とある。
    世の「脅威派」とは一線を画し、冷静に見ようというのが著者の姿勢であろう。それには同意する。

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    2019年10月19日
  • エコ亡国論

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    「地球温暖化に騙されるな」を読んで以来、CO2削減に対する考え方がかなり変わったが、本書も地球温暖化と温暖化の政策について多面的な視座を提供している。
    本書に限らずだが、日本の政策はどこに向かっているのか、嘆かわしくなるばかりだ。「民主主義が一度もなかった国・日本」を読んだあと、産業をリードする意味でも、世界での枠組み決定に積極的に関わるために、民主党のより踏み込んだ温暖化政策が必要だと考えてきたが、本書を読むとを海外からの評判をよくしたい愚策に思えてきた。その意思決定の過程は、「日本辺境論」を早速思い出す。

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    2021年08月08日
  • 精神論ぬきの電力入門

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    原発廃止と声高に叫ぶのは簡単だが、ことはそううまくいかないということがよくわかる
    再生可能エネルギーも不安定さ、コストの高さ、日本の国土という立地条件の悪さなどなど様々な問題があって、とてもじゃないがメイン電源には出来ない
    かといって火力発電は地球温暖化の問題もある上に、政治的な話で輸送がストップするという地政学的なリスクも存在する
    安定供給や価格の抑制など総合的に考えると原子力、火力、水力、自然エネルギー等々をバランスよく組み合わせるしかない
    美しい解決策など無いのだ

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    2018年08月04日
  • 精神論ぬきの電力入門

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    元経産省の官僚であった澤氏による日本の電力問題について述べた本。原発が悪、再生可能エネルギーが善のような現代の風潮に疑問を持つ自分にとっては頭を整理するのに役立った。

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    2015年01月04日
  • エコ亡国論

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    ネタバレ

    鳩山元首相によって突如掲げられた「1990年比▲25%」の実際について。数字やデータのごまかし、見栄を分かりやすく暴きながら話を進めるところはさすが元官僚といったところ。

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    2013年08月08日
  • 精神論ぬきの電力入門

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    先日お会いした澤さんの本。8月以前に書かれているので、最近のゼロシナリオにはフィットしていないのだが、それでも電力をとりまく日本の状況についてわかりやすく書かれている。反対派が主張する「命をまもれ」というスローガンは抽象的すぎるというあたりがメディアには載せられない表現なので面白かった。

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    2012年10月13日
  • 精神論ぬきの電力入門

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    元通産省の著者が、電力問題を論じる。
    全体的に原発事故を踏まえての論調。

    原発、再生可能エネルギー推進賛成反対問わず、「命を守る」「既得権益へのNO」などといった、曖昧な論点ではなく、根拠、理論を述べるべきだというのは納得。
    同時に、世論がいかに昔から日和見的な意見しか持っていないかも実感した。

    いたずらに原発反対を叫ぶ前に、エネルギー安保、安定供給の程度、長期的なスパンでの電力政策をしっかり考えたい。
    半世紀ぐらいかけて原発ゼロ、変換効率8割ぐらいの太陽光パネルの開発とかにしたらいいんでなかろうか。

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    2012年10月10日
  • 精神論ぬきの電力入門

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    領土問題が燃焼中で最近やや下火な気がしないでもない脱原発運動・・・
    でも国民の意思は2030年代に原発ゼロなのだとか・・・
    7割だっけ?
    もちろんタダで・・・
    何の制約も無く、何の負担も無くゼロに出来るのであれば、そりゃ誰だって原発ゼロを希望すると思います・・・
    でもさでもさ・・・
    原発ゼロにしたら、それこそいろんな負担がボクらに降りかかりますよね・・・
    どんな負担が降りかかるのか・・・
    それを知らずして、考えずして脱原発なんて言っちゃあいけないよね・・・
    命が最優先じゃねーか、って言うけど・・・
    原発ゼロにして例えば経済的にさらにさらに苦境に立たされて・・・
    ただでさえ

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    2012年09月25日
  • 精神論ぬきの電力入門

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     法的な根拠もないまま原発を止め続け、毎年3兆円もの国富を垂れ流している日本。反原発派は、原発をゼロにすることだけが至上命題なようですが、今後のエネルギー政策について何か考えとかあるんですかね。放射能が原因で死んだ人は一人もいないのに、このまま原発を止め続ける理由が分からない。リスクを考えるんだったら、車も飛行機も電車も全てやめろ、という話になる。
     で、澤さんの「東日本卸電力」構想は、今の現状を考えると非常に合理的な案でしょう。反原発派の「原子力ムラ・地域独占・利権構造」のような考え方を、分かりやすいロジックで一蹴し、うまくまとめられています。すぐ読めるので、ぜひ一読を。

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    2012年09月08日
  • 精神論ぬきの電力入門

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    本書の内容は、3.11以前のエネルギー事情のベース。いわば常識。これを前提に日本のエネルギー政策は遂行されてきた。
    3.11以降もこの常識は正論となりうるか。私は現在でもこれが正論であると思う。
    極論はびこるエネルギー論が多々あるが、議論する際は、本書の内容を前提としなければならない。
    果たして、多々ある極論の仮説は、本書を論破できるのであろうか。
    クルマの存在を否定する現代が成り立たないのと同様に、今すぐ原発をゼロにすることはできない。
    人類は原子力なしでは成り立たないところまできてしまった。

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    2012年08月26日
  • 精神論ぬきの電力入門

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    日本の電力に関するこれまでの歴史、他国の現状、各エネルギーのメリット/デメリットが分かりやすく書かれています。この問題を考える上での大事な情報源の1つになると思いました。

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    2012年08月29日
  • エコ亡国論

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    [ 内容 ]
    地球温暖化交渉は、夢や理想を語る場ではなく、国益をめぐる激しい外交の場である。
    そこへ、鳩山首相によって突然打ち上げられた、「一九九〇年比CO2▲25%削減」構想。
    「ハラキリ」とさえ評される“公約”が推し進められるならば、日本経済はまちがいなく沈没する…元政策責任者として、温暖化問題の内実を知悉する気鋭の論客が、国民生活を襲うエコ不況に警鐘を鳴らす。

    [ 目次 ]
    1 スキャンダル続出で揺らぐIPCCの信頼性
    2 京都議定書が抱え込んだ重大な欠陥
    3 宣伝上手のEU、アメリカの使い分け、それぞれの外交術
    4 鳩山「一九九〇年比▲25%削減構想」への重大疑問
    5 暗礁に乗り上げ

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    2011年05月23日
  • 精神論ぬきの電力入門

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    いやほんと、まったくの正論だと思うんだけど、ではなぜ今の日本でこういった議論ができないんだろうなあとちょっと悲しくもなる。

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    2016年03月31日
  • エコ亡国論

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    出版が震災前であり、COP21の結果が出る前なので、内容が古いことはいた仕方ないが、日本の交渉戦略や方針、トップダウンの削減量策定の失態が、理路整然と指摘されており、大変参考になった。

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    2016年03月05日
  • 精神論ぬきの電力入門

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    電力について、感情論を排し、現状を知り、問題点をきちんと把握したうえで、地に足の着いた冷静な議論を進め、現実的かつ具体的な構想を導くことが必要という著者の問題意識はもっともだし、電力問題では「多様化」が重要というメッセージはよく理解できるのだが、著者の議論にはやはり、原発ありき、再生可能エネルギーの過小評価というバイアスを感じてしまった。それは、例えば、原発について、その致命的欠陥である放射性廃棄物の問題にほとんど触れていないことなどに表れている。自分も、原発の即時撤廃は求めないが、中長期的には原発の稼働はゼロにし、再生可能エネルギーの技術革新を進めるような電力政策が必要であると考える。

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    2016年02月04日
  • エコ亡国論

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    鳩山元首相の1990年比でCO2を25%削減する構想など、地球温暖化問題を批判的に検討している。地球温暖化問題の「外交ゲーム」としての性格を鋭く指摘している。
    著者は、経産官僚出身であり、論調にかなりバイアスは感じたが、エコだから優先という短絡的な思考に陥るのではなく、いろいろな政策課題がある中で地球温暖化問題など環境問題をどう優先順位づけするのか(どれだけコストをかけるのか)という視点は大切だと感じた。

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    2014年08月30日
  • エコ亡国論

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    序盤を読んで最近よくあるエコを標榜する諸政策に対してただできない理由を模索する、乾いた雑巾的論説かと思いきや、そうでもない。環境政策のウラにある政治的意図がデータと意図的すぎない考察をもとに語られている。環境という表面上聞こえのいい言葉の裏にある真意を見抜き、真の環境政策考察する上でこのような知識は必要不可欠だろう。

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    2012年12月06日
  • 精神論ぬきの電力入門

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     FB友達のどなたかが推薦していたので、読んでみた。

     まじめに電力事情を分析していて好感が持てる。

     彼の提案する政策スキーム。

    (1)東日本と西日本にわけて大規模卸売り電気会社をつくる。

    (2)小売りは自由化する。

    (3)原発は、国と民間出資の会社がまとめて所有し管理する。

    (4)電気事業者の監督は公益事業委員会が行う。

     その他、自然再生エネルギーについて固定価格で高めに買い取る方法は、技術革新を阻害するのでよくあいという指摘もそのとおりだと思う。現状で通常の電力より高い分を利用者が強制的に支払わされるのは理屈にあわない。

     先日、NHKのワールドWAVEでもやっていたが

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    2012年10月09日
  • 精神論ぬきの電力入門

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    即時の脱原発は非現実的だという論旨には賛成。ただ、「再生可能エネルギーに技術革新は起きない」と断言していいのだろうか。確かに買い取り価格は固定されているが、発電効率が上昇する可能性をなぜ完全に排除するのだろう。確かに現時点ではその発電量は原子力の数十分の一であり、生活基盤を維持するのには如何にも心許ないが、100年後を見据えて技術革新に賭けても良いのではと思う。それまで原発には十分に稼動してもらえば良いのだ。

    なお、「全部の卵を一つのカゴに・・・」の喩えには次のようなアンチテーゼもある。

    …見よ、愚者は「全部の卵を一つの籠に入れるな」と言うが、それは「あちこちに投資して、注意を散漫にせよ」

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    2012年09月08日