前田英樹のレビュー一覧

  • 保田與重郎の文学
    とてつもない読書体験だった。
    一冊の本読み終えて、これほど深い感銘を受けたことがこれまであったろうか、とわが読書人生を振り返させられた。

    ここに描き出された保田與重郎という人物のなんと魅力的なことだろう。
    文学の歴史を語っても、美術の歴史を語っても、凡庸な学者が教科書的に知識を羅列すると全く対照的...続きを読む
  • 日本人の信仰心
    ずっと積読だった本を、日本人の原点について考えていてあらためて手に取り、読んで深く心を揺さぶられ、かつ、驚嘆した。
    日本人には宗教あるいは信仰心と呼べるものが希薄、というイメージが浸透しているが、著者はそうではないと言う。
    日本人にも信仰はある、などという軽々しいことを主張しているのではない。
    日本...続きを読む
  • 独学の精神
    二宮尊徳のことから始まって目から鱗の連続だった。自らの無知を恥じ入るばかりだ。目次から内容が予想できなかったここ最近初めての本である。最後は具体性をもって、幸福と平和の本質に迫っていた。

    ・畏怖や讃仰のないところに、教育は成り立ちようがない。
    ・人生のなかでほんとうに考え、学んだことは、みな口には...続きを読む
  • 独学の精神
    民芸品は芸術作品なのか、もやもやしていましたが、著者は明快に示してくれます。著者の価値観に共感できる人には、星5つ
  • 独学の精神
    ほんとうに大事な事は何ひとつ教えることなどできない。
    学ぶことは身ひとつで生きる自分が学ぶというあり方でしかない。
    こうした単純で大切な事実について、その当たり前の事実が行き着く先について、根っこから考え抜く。

    学問とは生きるために必要な事であり、それこそが大学で学ぶべき「教養」というもので...続きを読む
  • 愛読の方法
    趣味としての読書を排し、真理探究としての学問のための読書を排し、人としてどうあるべきかの読書を説く。読むことで考えなくなる。多くを知っていることで人間を知った気になる。「正典を持てる人生は幸せかな」という内田樹の言葉を噛みしめた。著者が死んでいる著書と向き合うというのも大事な観点だ。
  • 独学の精神
    文通を通して意見交換した「剣の思想」とは
    打って変わってこの本は遠慮のない文体なので
    読みやすいし気兼ねなく反論を覚えたり共感したりできる
    読み出しの「まえがき」からして愉しく読み出せた

    人間は産まれると同時に辺りを探り相手と出合うことの
    独学によって自分の存在を確認してきた

    それが歴史のある縄...続きを読む
  • 民俗と民藝
    柳田國男の民俗学、柳宗悦の民藝運動、それぞれの活動を並行して捉えつつも、その源泉が同じであるとする著者の主張はなるほどなと感じる。そこにはかつて多くの日本人が心の中に持っていた独特の自然観、生命観があるように思う。
  • 独学の精神
    二宮尊徳や本居宣長といった人物を取り上げながら、学ぶということについて、思索をめぐらす一冊。異端の学者による極端な説が開陳されるのかと思いきや、述べられている内容はうなずけるものが多い。特に、第三章の職人の話題はおもしろかった。一人ひとり人間が違うからやり方も異なるという話は、当たり前ではあるのだが...続きを読む
  • 独学の精神
    マニュアルに頼りすぎてるよな~と思う。
    もっと頭を使って、試行錯誤して、自分にあわせた技を身につけ磨きをかけなきゃと思う。
  • 独学の精神
    [ 内容 ]
    漢字が読めない、歴史を知らない、計算ができない…大学生の「基礎学力」のなさが言われて久しい。
    だが、「教育」に過剰なこの国の若者が「学力」を欠いているとは驚くべきことではないか。
    なぜ私たちはかくも「無教養」になったのか。
    本書は、現代の日本人が見失った「独学の精神」をめぐる思索である...続きを読む
  • 独学の精神
    独学とはなんぞや、に明確な定義を与えている。
    面白い。二宮尊徳、蘭学、朱子学、儒学。
    基本的な史実から、独学のあり方を提示している。
    必読。
  • 独学の精神
    正直、やや読みにくい文章だと感じた。しかし、筆者も書いているように、私立中学の試験問題などにも出される、いわゆる「読解力」を試される文章構成ということなのだろうか。筆者自身が「読解力」を試すことのおかしさをやや皮肉めいてかいている個所はおもしろい。
    全体を通して、勉強法や教育論というよりは、筆者が日...続きを読む
  • 独学の精神
     建築、大工、農業がいかに学問とむすびついたものであるか著者自身の言葉で書いてあり説得力がある。しかし近代西洋の合理的考えをやたらと排斥しているのがいただけない。東洋と西洋の間をとるのがいいのだと思うが。
  • 独学の精神
    目次より
    1身ひとつで学ぶ
    2身ひとつで生きる
    3手技に学ぶ
    4農を讃える

    教育、学校で教えることよりも、独学で自分から学ぶことの必要性をとく。二宮金次郎のことが語られている。「大学」を読む、繰り返し読むこと。過酷な環境の中でも学んだことはすばらしい。
    後半の3章4章は身にしみた。考えるおろかさ。...続きを読む
  • 独学の精神
    教養ある人間になりたい、と思いました。

    二宮尊徳がひたすら読んでいた「中庸」など、読んでみようかなと思いました。
  • 独学の精神
    古典は読まれることによってますます新たな古典になる。少なくとも繰り替えし読むに値するような本は、大工にとって木と同じである。
    教育について二宮金次郎、内村鑑三らを例示して述べている。
  • 独学の精神
    ちくま新書は思想系だと改めて感じさせてくれる著書。
    二宮尊徳が焚き木をしょいながら読んでいた本は、儒教の『大学』という著書とのこと。世俗に交えず、教本に没頭できた尊徳はあるいみでは幸せだったかもしれないという説明が印象に残っている。‘精神’という言葉が入っているように精神論になってきたので、途中で切...続きを読む
  • 独学の精神
    『独学の精神』というから、福澤諭吉の独立自尊のような内容を思い描いていましたが、内容は全くの逆。「学問とは何か」を、巷の学者がいうようなことと真逆のことを述べている、というより、本来の学問の『本質』を痛烈なまでに切り込んだ本だと感じました。
    そして、これまで僕が読んできた書物の中で、「肌身離さず持ち...続きを読む
  • 独学の精神
    第1章「身ひとつで学ぶ」
    日本人なら誰もが知っている二宮金次郎の勤勉さを、現代の子供との比較対象に出すことの浅はかさから始まり、学校の勉強なんておもしろいと思うほうがおかしいとまで語る筆者。

    昔の人から学ぶものの多さや大切さを、本書では書き綴っている。
    すごく、古典が読みたくなった。