荻上直子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2022年映画化、荻上直子さん映画監督・脚本家
だからであろうか、読み初めからリアルに映像が浮かんでくる
ムコリッタ=48分(仏教における時間の単位)
登場人物の共通点は『死』
『死』は不意に訪れ、生と死の境は曖昧であり、空の色が青から紫に変わっていく程のもの
生と死の間の時間を『ムコリッタ』と表現
「生まれた時からついていない、なんで生まれてきちゃったんだろう」
そうそう、生まれてきた時から人生は平等ではない
訳ありの過去を持ち、誰とも関わらずに生きていくことを決め、イカの塩辛工場で働き始めた山田は、見知らぬ町の川っぺりのぼろアパート「ハイツムコリッタ」で生活を始める
しかし、山田と同様訳 -
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映画監督・脚本家である荻上直子さん作品。
主人公は、刑務所から出所間もない(凶悪犯ではありません)孤独な青年・山田。誰にも関わらずに、慎ましく目立たず、ひっそりと暮らしていこうと川べりの地へやって来ました。
世の中から取りこぼされたような古いアパートの住人等との交流を通して、自分を見つめ直し社会との接点を見出していく物語です。
誰かと一緒に食べるご飯、やむなく引き取った父の遺骨、孤独死した父が電話していた「いのちの電話」、単調なイカをさばく仕事、いろんな事情を抱えた周囲の人たち‥。
北陸の地域性もあるのでしょうか? アパートや職場など、小さなコミュニティーの穏やかな生活の中にも、小さ -
Posted by ブクログ
荻上直子監督の『かもめ食堂』『めがね』を観たことがあり、あの世界観が大好きです。
この小説も、きっと主人公は無表情だったり戸惑ったりしていて、周りの登場人物の突拍子もない動きにキョトンとしているんだろうなぁ、と妄想しながら読みました笑
家族も生き甲斐もない主人公の山田。唯一の望みは川っぺりに住むこと。台風で流されるかもしれないし、いざとなればいつでも飛び込むことができるから‥‥。
そんな山田が住むことになった川っぺりの“ハイツムコリッタ“にはワケありの人たちが住んでいて、図々しく部屋に上がり込まれたり、挙げ句の果てには昔から住んでいたおばあちゃん幽霊に会い、みんなに羨ましがられたり。
自分の人 -
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ミシンは楽しいよw
ってな事で、荻上直子の『モリオ』
モリオ
エウとシャチョウ
の2編の短編集。
わし仕事柄ミシン踏めるんよ。
モリオもミシンを踏んで自分でスカートを縫い上げるお話。
これ読んどると、わしも自分のスカート縫いたくなってくる
エウとシャチョウはネコちゃんの話。
どちらの話もダメ男の話じゃけど、何か1つだけの秀でた特技や才能を持つモリオとエウの話にホッコリするわ~
萩上さんってかもめ食堂、めがね、やっぱり猫が好き2005等の監督しとるのね
もう、小林聡美、もたいまさこ、片桐はいり、室井滋の大群が迫ってくる感じ(どの映画も観てないけどw)
映画も観たくなりまし -
Posted by ブクログ
映画『トイレット』の原案となった表題作を含む2作の短編小説集。映像が浮かぶような描写が多くて、すらすら読むことができました。映画は未鑑賞ですが、予告編を見るに、小説とは印象が異なりそうです。
2作品とも、地味でコンプレックスを抱えた男の人が主人公。自分に自信がない人に優しい物語です。モリオは、開放感のあるラストが爽快でした。エウとシャチョウは、末期癌の猫”シャチョウ”が物語の鍵となるので、少し悲しいストーリーですが、”エウ”と”ヨーコさん”の優しさが胸に染み入ってよかったです。
登場人物のように、華やかさは無くとも自分なりの幸せを見つけて、日々を過ごしていけたら素敵だと思います。