荻上直子のレビュー一覧
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映画『トイレット』の原案となった表題作を含む2作の短編小説集。映像が浮かぶような描写が多くて、すらすら読むことができました。映画は未鑑賞ですが、予告編を見るに、小説とは印象が異なりそうです。
2作品とも、地味でコンプレックスを抱えた男の人が主人公。自分に自信がない人に優しい物語です。モリオは、開放感のあるラストが爽快でした。エウとシャチョウは、末期癌の猫”シャチョウ”が物語の鍵となるので、少し悲しいストーリーですが、”エウ”と”ヨーコさん”の優しさが胸に染み入ってよかったです。
登場人物のように、華やかさは無くとも自分なりの幸せを見つけて、日々を過ごしていけたら素敵だと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ映画「彼らが本気で編むときは」「かもめ食堂」の監督による、第一小説集。「モリオ」と「エウとシャチョウ」の中編2作。
子供の頃、一番お気に入りだった場所が母の踏むミシンのペタルの上だったという「モリオ」。母から花柄の布の端切れをもらい、うっとりとそれに顔を埋めた日々。
母が亡くなって、形見のミシンを独り暮らしのアパートに運び込み、モリオは思い出の中の花柄の布を買い求め、スカートを縫い始める。履きたくてたまらなかった花柄のスカートを。
モリオの下の部屋に住む少女は、モリオのミシンの音が聞こえているときだけ頭痛が和らぐモリオにミシンをかけてと頼む。少女は父親から買い与えられたピンクのランドセルが気に入らない。自分は、黒かブルーが良かったのに。
出来上がったスカートをこっそり自分の部屋で着るモリオを外に連れ出す少女。手をつないで前を向いて、堂々とスカートで町を歩くモリオと少女。少女もまた、嫌いなランドセルをビルの上から投げ捨てる。本当にありたい自分でいることの自由と清々しさと力強さが際立つ。
「エウとシャチョウ」のエウも、どんな職業もうまくいかない男だけど、猫の心を読むことに長け、猫のお相手をしている。彼にだけ心を許す猫たち。そして、癌で死んでいく彼の飼い猫・シャチョウとの日々。こちらも、淡々とした日々が描かれていながら、しみじみと心に浸透していく切なさがある。
二つの作品は、どちらも映画監督らしい言葉ですべてを説明しようとしない、立ち上る雰囲気で作品の世界を作り上げるような物語。どちらも、映画にすると素敵な作品になりそうです。そして、次の小説も期待大です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「モリオ」と「エウとシャチョウ」の2話立て。
一話目のモリオは死んだ母の形見の足踏みミシンを譲りうけ、小さい頃の思い出と共に花柄スカートを作っていくお話。(階下の女の子も登場)
二話目は僕(エウ)と彼女(ヨーコさん)とその彼女が飼っていた猫(シャチョウ)の話。
シャチョウは末期癌で、僕は猫のお相手という職業でヨーコさんは耳かきが天才的な耳鼻科医。
この一冊は主に布と猫の話。
個人的には猫にあまり思いいれが無いというか、興味がないので2話目にはあまり惹かれず。
1話目のほうが雰囲気好きだけど最後のオチがイマイチかなぁ。
まぁ1話目のモリオもミシンがしたいがために会社を休んだり、二話目のエウも何をやってもノータリンだけど猫のお世話だけで生計を立てられるくらいの収入。。。あたりが非現実的。