あらすじ
映画『かもめ食堂』『めがね』『トイレット』の荻上直子監督、初の小説集! 母の足踏みミシンが大好きだったモリオの憧れは、花柄のスカートをはくこと。でもそんな自分を肯定できない(表題作)。末期癌の猫の面倒を見ているうちに、「僕」は自分に「猫と心を通わせる力」があることに気づく(「エウとシャチョウ」)。コンプレックスに苛まれる者たちが再生していく姿を、優しくユーモラスに描く、透明感に溢れた荻上ワールド。
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Posted by ブクログ
70ページちょっとのお話2つ♪
愛しくて素敵なそれぞれの主人公達…
ブク友ゆーき本さんのレビューに「拠り所」とありましたが、不器用な彼らが自分の拠り所となる大切な物を見つけ、心の支えが生きやすくさせてくれる。
そんな彼らも誰かをちょっとだけ支える。
癒されました〜:.゚٩(๑˘ω˘๑)۶:.
これからもちょっとの幸せを感じながら生きていこうと思いました♪
最近暑いからワンコの散歩は夜に娘と…
月が綺麗だ、目印星は金星だ、あの星座はなんだ?
わからんな……ウンチとって
などと話す時間はなんか幸せ(⑉︎• •⑉︎)♡︎
Posted by ブクログ
心と身体が疲れている今
ちょうどいい本に出会えた
内容もページ数もちょうどいい。うん。
心の拠り所って本当に大事だなぁ。
趣味でも人でもモノでも
私たちが日々の生活の中で壁にぶつかったり、辛いことがあっても、心の拠り所があれば、そこでホッとしたり、心の栄養をもらって元気になって、またがんばろうって思える。
ネットで「心の拠り所」=「安心基地」って書いてあったなぁ。わたしの心の拠り所ってなんだろ?
中編2作 収録 「モリオ」と「エウとシャチョウ」
主人公のモリオもエウも、社会生活に息苦しさ 生きづらさを感じていて、ひょんなことから「心の拠り所」に出会えるお話。モリオには「足踏みミシン」。エウは「猫のお相手」。このひょんなことが ちょこっとファンタジーっぽいんだけど、まぁ大丈夫。ほっこり。 モリオやエウが 実は周りの人の安心基地になってるってところも良い。
この作家さんは「やっぱり猫が好き」の脚本も書いてるんですね。日常の何気ないひとコマがクスッと笑えちゃう。このドラマ大好きでした。本書も似た感じかなぁ。
いつも思うけど ひょんってなんだろ。
Posted by ブクログ
とても、優しい物語だと思いました。
実直で、しかしどこか自分に引け目を感じている登場人物たちが、他者とのふれあいを経て、自分の弱いところを個性として認めてあげられるようになる…。
強い言葉や主張が出てこないので、全体的にパステルカラーな雰囲気を感じました。それゆえ、心に沁みます。
Posted by ブクログ
足踏みミシンを踏む母の傍らで、じっと聴いていた心地よいリズムとほんのり漂う油の匂い。
私の母もかつて足踏みミシンを使っていたので、私の中の記憶とシンクロする。
母が幼いモリオのために選んだ布は暖かい春の匂いのするような花柄。
亡き母から譲り受けた足踏みミシンで、今度はモリオがスカートを縫う。
「ひだり布地屋」のおばさんと黒猫の三郎さんが選んでくれた花柄の布で。
モリオにとって足踏みミシンを踏んでいる時が唯一の、大好きだった母と向き合える穏やかな至福の時。
人は安らぎの時間が持てれば心地好く生きていけるのかもしれない。
ちょっぴり不思議で、心の奥をきゅっと掴まれる文章がたまらなく好き。
もう一つのお話『エウとシャチョウ』も柔らかい雰囲気がとても好き。
人付き合いは苦手だけれど猫には好かれるエウと、余命三カ月の猫シャチョウとの穏やかに過ぎる時間。
その時が近づくにつれ切なくなるけれど、温かい気持ちにさせてくれる。
「僕もヨーコさんも、君を本気で愛しているよ」
「知ってるよ」
『かもめ食堂』『めがね』『やっぱり猫が好き』を監督した荻上さんの創る物語は、それらの映画の醸し出す雰囲気そのままに、ふわふわした独特の間のあるものだった。
両方のお話に出てきた「ひだり布地屋」のおばさん役はもたいまさこさん以外あり得ない。
Posted by ブクログ
荻上監督の好む独特のクセ、個性というよりは変質とか変態の一歩手前の、普通の人にはあまりなさそうな、或いは違和感を覚えるであろう個々人の逸脱した部分が矢鱈と目に付くが、そこがどうにも心地良くて仕方のない作品。二本立てだが、同一世界の出来事のよう。以前、イトイ新聞で監督が紹介していた前川麻子さんの小説ほど重くもないが、独特のクセを持つ人々が醸し出す不思議な感じがイイ。荻上監督の持つ世界、やっぱり好きだな。
Posted by ブクログ
やっぱり荻上さんだなあ、と思った。
読んでいて何度もじわじわい涙が出てきてしまう。
モリオやエウのような人が近くにいるからかもしれない。
それを感じ取れるひと、その世界を理解できる人は、きっと「かもめ食堂」が好きだとおもう。
ミシンの思い出は、私の記憶にもつながる。
母のマンションを片付けながら、最後まで捨てられなかった足踏みミシン。
小さいころの記憶がよみがえってきた。
Posted by ブクログ
映画「かもめ食堂」や「めがね」の監督による初の小説作品。流れる空気感が映画と同じく温かく優しくユーモアに包まれていました。
表題作「モリオ」は映画「トイレット」の原案となったもの。母の遺した足踏みミシンでスカートを縫い、それを身に着ける青年の話。「エウとシャチョウ」は猫のお世話役を務める青年と耳かきの上手な女性耳鼻科医と癌におかされた猫の話。どちらも現代社会を生き難い人々を温かく見守る視点が優しいです。でもただ優しいだけでなく、登場人物たちは自分で自分を認めて、自分の足で立ち進んでいくんですけどね。自分のペースで。そこが素敵です。
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とびきりお気に入りの布地で、何かをつくりたくなる本。雰囲気ばかりの本は苦手なのだが、この本の空気は心地よく、読後しばらくは余韻にひたっていました。
エウの話は、淋しくなりがちなネコちゃんとの最後をちょっと違った角度から。シャチョウ最高。
Posted by ブクログ
女性映画監督で、小説も上手いというと、西川 美和さんがいる。 映画「ゆれる」、「ディァ・ドクター」も良かったし、小説「きのうの神様」はすごく良かった。 荻上直子さんもまさにそうだ。 「モリオ」は、映画「かもめ食堂」「めがね」「toilet」の荻上 直子監督の第1作目の小説。 「モリオ」と「エウとシャチョウ」の2作からなる。 まず、表紙。 この青年は、映画「toilet」の次男モーリーそのもので驚く。 じゃあ、お話はというと、ミシン、スカートといったモチーフは同じでも、全く違うお話だった。 モリオは人づきあいが苦手な会社員。 母が亡くなり、遺品整理をしてたら、古い足踏みミシンを見つける。 小さい頃、母がミシンをかけている音を飽きずに聞いていたこと、使ってない時は、台座のしたに潜り込んで過ごすのが大好きだったことを思い出す。 磨いて修理したら、そりゃ動かしたくなる、縫って見たくなる。 映画と違うのはここから。 人と違う自分を、どう認めて付き合っていくかという点に焦点があてられている。 ミシンを踏んで縫いあげることと、アパートの階下の女の子とのかかわりを通じて、モリオは少しづつ何が自分にとってたいせつなのかに気付いていく。 アイデンティティを認識し確立していくってことかな。 こころ温まる作品だ。 「エウとシャチョウ」 エウは自分に何一つ自信がない男性。シャチョウは、エウが一緒に暮らしてるヨーコさんの飼い猫。 シャチョウが末期癌におかされていることが分かる。 その看病の日々を通して、ふたりがそれぞれの持つコンプレックスを乗り越え、より結びついていく様子が描かれる。 自分の役割、自分の居場所がわかることって大事なんだな。 荻上作品では、映画でも小説でも、猫がやさしく描かれている。 それと、無口で意味ありげな人、どことなくユーモラスな人を描くのもうまい。 そのユーモアのさじ加減というか色合いが好きだ。 それが、暗くなりすぎずに、じ〜んとさせるポイントかな。 荻上さん、次作が楽しみだ。
Posted by ブクログ
心温まる本だった。
社会的に成功していなくてもすごく綺麗な心を持っている。
私の身内はモリオやエウのような人だ。
不器用でもその良さを知ってくれる人に出会い、彼らのように自分なりの幸せを感じて欲しいな…
Posted by ブクログ
映画がとても面白くて荻上さんの初めての小説でもあるということで読んでみた。
映画とは設定も違っていた(映画は外国だけれどこちらは日本、それにちゃんとサラリーマンしてる)けれど、底の方に流れる優しさみたいなものは変わらず…どこまでも不器用な人への視線が温かい。
もう一つのお話もじんわりくる。耳掻きが上手な耳鼻科医の女性の話。
耳掻きしてもらいたいなぁ。
Posted by ブクログ
薄いので、寝る前ちょっとした時間で読めちゃいました。
「モリオ」と、「エウとシャチョウ」の2本立て。
足踏みミシンに花柄のスカート、布地屋さんに猫……
好きなものがたくさん出てきたので、薄くても満足でした。
Posted by ブクログ
荻上直子監督の作品が好きだ。何度も繰り返し見て飽きない。派手な展開はないが、登場人物が持っている必要最低限の矜持を生き切っている姿に感動する。荻上氏の処女小説集である。映画と同じように、生きる上で本当に大切なものを見出して、静かに守り育ててゆく人々が描かれる。ステレオタイプな人生からは、むしろ嫌われてしまう人びと。映画「トイレット」を見るのが楽しみ。
Posted by ブクログ
足踏み式のミシン、懐かしいです。子供の頃、それで遊んだことを思い出しました。「踏む」という上下運動が、弾み車を回すという回転運動に変換するのが楽しくて。猫の耳掻きというのも、理論的には「あり」ですよね。でも、猫の相手という仕事が成立するかどうかは微妙ですが。ほんわかした気持ちになれます。
Posted by ブクログ
ミシンは楽しいよw
ってな事で、荻上直子の『モリオ』
モリオ
エウとシャチョウ
の2編の短編集。
わし仕事柄ミシン踏めるんよ。
モリオもミシンを踏んで自分でスカートを縫い上げるお話。
これ読んどると、わしも自分のスカート縫いたくなってくる
エウとシャチョウはネコちゃんの話。
どちらの話もダメ男の話じゃけど、何か1つだけの秀でた特技や才能を持つモリオとエウの話にホッコリするわ~
萩上さんってかもめ食堂、めがね、やっぱり猫が好き2005等の監督しとるのね
もう、小林聡美、もたいまさこ、片桐はいり、室井滋の大群が迫ってくる感じ(どの映画も観てないけどw)
映画も観たくなりましたし、萩上さんの他の本があったら読みたいな
2021年26冊目
Posted by ブクログ
映画『トイレット』の原案となった表題作を含む2作の短編小説集。映像が浮かぶような描写が多くて、すらすら読むことができました。映画は未鑑賞ですが、予告編を見るに、小説とは印象が異なりそうです。
2作品とも、地味でコンプレックスを抱えた男の人が主人公。自分に自信がない人に優しい物語です。モリオは、開放感のあるラストが爽快でした。エウとシャチョウは、末期癌の猫”シャチョウ”が物語の鍵となるので、少し悲しいストーリーですが、”エウ”と”ヨーコさん”の優しさが胸に染み入ってよかったです。
登場人物のように、華やかさは無くとも自分なりの幸せを見つけて、日々を過ごしていけたら素敵だと思います。
Posted by ブクログ
ムコリッタがすごく面白かったので、こちらも読んでみました。
表題作は、とても好きでした。
エウとシャチョウはもう無理でした。
猫とともに暮らす身としては、読むのがしんどくて…泣きながら読みました。
Posted by ブクログ
映画「彼らが本気で編むときは」「かもめ食堂」の監督による、第一小説集。「モリオ」と「エウとシャチョウ」の中編2作。
子供の頃、一番お気に入りだった場所が母の踏むミシンのペタルの上だったという「モリオ」。母から花柄の布の端切れをもらい、うっとりとそれに顔を埋めた日々。
母が亡くなって、形見のミシンを独り暮らしのアパートに運び込み、モリオは思い出の中の花柄の布を買い求め、スカートを縫い始める。履きたくてたまらなかった花柄のスカートを。
モリオの下の部屋に住む少女は、モリオのミシンの音が聞こえているときだけ頭痛が和らぐモリオにミシンをかけてと頼む。少女は父親から買い与えられたピンクのランドセルが気に入らない。自分は、黒かブルーが良かったのに。
出来上がったスカートをこっそり自分の部屋で着るモリオを外に連れ出す少女。手をつないで前を向いて、堂々とスカートで町を歩くモリオと少女。少女もまた、嫌いなランドセルをビルの上から投げ捨てる。本当にありたい自分でいることの自由と清々しさと力強さが際立つ。
「エウとシャチョウ」のエウも、どんな職業もうまくいかない男だけど、猫の心を読むことに長け、猫のお相手をしている。彼にだけ心を許す猫たち。そして、癌で死んでいく彼の飼い猫・シャチョウとの日々。こちらも、淡々とした日々が描かれていながら、しみじみと心に浸透していく切なさがある。
二つの作品は、どちらも映画監督らしい言葉ですべてを説明しようとしない、立ち上る雰囲気で作品の世界を作り上げるような物語。どちらも、映画にすると素敵な作品になりそうです。そして、次の小説も期待大です。
Posted by ブクログ
映画『トイレット』の原案小説。舞台が日本だし兄弟も姉が一人に変わっている。情緒が不安定で弟に当たりが強い所が好きになれない。不器用に生き、自分の大切なものを誇るというテーマは映画も小説も変わらない。
併録の『エウとシャチョウ』も、社会に適合出来ないが自分に精一杯出来ることでひっそりと生きていく姿を描いている。ひだり布地屋さんはどうしても、もたいまさこさんで想像してしまう。
Posted by ブクログ
「モリオ」と「エウとシャチョウ」2つの短編。
モリオは映画「トイレット」の原作。
モリオもエウも内気な性格だけど、不思議とじれったいと思うことなく読めた。モリオと少女のやり取りに心ほっこり。
ぽかぽか陽気の中、気持ちよくまどろんでいるような心地よい空気感。
ミシン、ほしい。。
Posted by ブクログ
テイストは荻上映画そのもの。「ああ、これが、もたいまさこの役ですね」というのも、すぐにわかる。でも、映像なし役者なしで見る荻上ワールドは、けっこう理屈っぽいというか、ストーリー展開が律儀というか・・・。まぁ、悪くはないですが・・・。ちなみに荻上映画は大好きです。
Posted by ブクログ
この方の映画、淡々としてるけどドラマがあって、すごく好き。中でも トイレット が好きだから、この本の表紙を見て、すぐに読むことにした。
予想どおり、文章も淡々とした感じ。
私は割と好きだったけど、
そうじゃない人も多いのも頷ける。
2本立てで、後者の方が面白かったかな。ちょっと前後関係がわかりにくかったりしたけど。
トイレット が見たくなりました。
Posted by ブクログ
表紙みてトイレットの狂いお兄さんみたい~と作者紹介みたら、監督だった。
ゆったりの雰囲気で良かった。
でも映画の人だからか、文章はふつう。やっぱ小説というより、脚本みたいになっちゃうのかな。
Posted by ブクログ
「モリオ」と「エウとシャチョウ」の2話立て。
一話目のモリオは死んだ母の形見の足踏みミシンを譲りうけ、小さい頃の思い出と共に花柄スカートを作っていくお話。(階下の女の子も登場)
二話目は僕(エウ)と彼女(ヨーコさん)とその彼女が飼っていた猫(シャチョウ)の話。
シャチョウは末期癌で、僕は猫のお相手という職業でヨーコさんは耳かきが天才的な耳鼻科医。
この一冊は主に布と猫の話。
個人的には猫にあまり思いいれが無いというか、興味がないので2話目にはあまり惹かれず。
1話目のほうが雰囲気好きだけど最後のオチがイマイチかなぁ。
まぁ1話目のモリオもミシンがしたいがために会社を休んだり、二話目のエウも何をやってもノータリンだけど猫のお世話だけで生計を立てられるくらいの収入。。。あたりが非現実的。
Posted by ブクログ
うーむ。
ふわふわしてるなぁ。
ファンタジーで良いのだけど、現実はそんなに甘くないって思ってしまうのは...今の私に合っていないということか。
Posted by ブクログ
小さい頃から母と、母のミシンが大好きだったモリオ。
母の遺品の足踏みミシンを修繕し、自分が思い描いていたスカートを作り続ける。
同じアパートに住む少女は雨の日に起きる頭痛がミシンの音で紛れるという。モリオは少女のためにスカートを縫い上げる。
現実から少し距離感のある二人を結ぶカタカタという音が聞こえる気がする。