竜田一人のレビュー一覧
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今まで政治的に偏ってしか描かれてこなかった原発作業員の実際を,変に歪めることなく伝えてくれる素晴らしい作品だった。
作者が経験したのは「被曝労働」という意味では「平時の」作業員よりもずっと苛酷な仕事であるはずなのだが,登場人物にそんな悲哀は見られない。もちろん決して条件に恵まれた仕事というわけではないけれど,皆誇りをもってやってるし,現場の状況や自分達に対する世間の誤解を鼻で笑ったりもしていて,そこにはちゃんと人間がいるんだなという気持ちにさせてくれる。
地道で地味で単調な作業の中でも,「線量を食わない」ための現場の工夫の成功に喜びあい,見事な月と建屋の瓦礫のミスマッチに感じ入る。作業員同士の -
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福島第一原子力発電所での労働記、一時完結である。作者の方が働いてきた2014年までの労働については全て書き切っているとのことで、いまはまた呼び出しを待っている最中の様である。
それにしても、良いシリーズだったとしか言えない。こうしてディテールを見ていくと、確かに復興へと歩みを進めていく姿が如実に見えてくる。やはり知らねばならないし、それもアップデートしていくことが重要なのだと思い知らされるところだ。
大変興味深い内容だっただけに、また再開されることを願うのみである。下請けの皆さんにはお願い申し上げたい。
今回も星五つと評価させていただいた。本当に良いシリーズだった。 -
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現場作業のルポ漫画第二弾である。待望と言っていい刊行だっただろう。
相変わらず、非常に興味深い内容である。今回から現場作業でもより重要度の高いものへと移行し、物語的にも内容的にもより良い進行が見られる。
物語としては地味になりがちな題材だが(トラブルがあってはシャレにならないのだし)、そこにある実感が物語のリアリティとなって表れていて、物語の質自体も高いものである。
文句なしに星五つ。本当に興味深く読ませていただいた。
多少の箸休めや刊行速度の遅さはあってもいいから、これからも福島原発の廃炉作業の今や現地の様子を活写していってもらいたいものである。 -
Posted by ブクログ
福島第一原発の作業員となって働いた筆者の体験記。
福島第一原発で働くなんて大変なことだと思ってしまうが、筆者の働く仲間たちは、淡々と働いている。
それなりに訳ありそうな仲間たちだが、笑い話をしながら、力仕事をこなす。
この日常的ではない環境のはずだが、日常性を帯びてしまう雰囲気がこの漫画のリアリティーというか凄さなのだと思う。
正直絵は少し昔っぽい気がするが、体動かすことが好きという作者の人柄とも相まって、男臭い雰囲気が出てて、面白い。
体験漫画、エッセイ漫画にフィットした内容。
漫画というジャンルでルポすることで、不必要に重くならず、ビジュアルで直感的に疑似体験できる。
そこがこの漫 -
Posted by ブクログ
借りたもの。
福島第一原発の収束作業ルポ漫画。
具体的な作業内容ではなく、主に作業環境についての描写。
2012年時の就業に当たっての講習会が一度きりだった事(それでいいの?)。
装備の説明が現状のものは現場に行ってみないと分からないと言われ、著者は疑問を持ったり……
手探り状態での収束作業である事が垣間見れる。
それでもブラック企業の極端な例ばかりでは無いこと、地味な作業でもそれらがあってこそ収束へ向けて作業が進んでいくという自負がある事の言及は大切だと思った。
こうした地道な作業が「アンダーコントロール下」の実態なのだろう……
“完全に安全”な職場ではないが、男性ばかりの職場は“下請けの普