青山拓央のレビュー一覧
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何かを議論しようとするとき、コメントしようとするときに、その領域でこれまで議論されてきたことがらをまず目の前に並べてみることが大事で、それはできれば複数の学問からの視点であるとなお良いです。本書は、時間とはどういうものなのか?について、論じていますが、なにか結論を出すようなことを目的としておらず、まずは情報共有、整理をしようと進んでいきます。青山氏は理科系も哲学系も、それぞれを縦横無尽に並べていきますが、その際に、言い過ぎたり否定しすぎたりを避けるよう、慎重に進んでいきます。世の中には、センセーショナルなデータが出ると、それが全てかのように言う人と、それを全て否定しようとする人の無用の対立が出
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Posted by ブクログ
作者の学問と人生の謎に対する真剣な姿勢に尊敬する。
難解でしたが、すごく面白かった。
「今の錯覚」、「自由意志」、「塵理論」とか
過去に戻って選択し直すことができないから
その選択が偶然だったのか必然だったのかは証明不能である。
反証も不可能である。
人間は自分の脳と身体のセンサーに限られている
「真理とは何か」を聞くのは答えようがないが、
「限られている人間の枠の中に真理’’とは何か」は無意味な問題とは思わない。
人間の枠の中から、その真理’が有限で認識可能と保証されたのだと思う。
限定語をつけて”心にとって”時間とは何かを問い続けることで
簡単に虚無と無限という深淵に食わられないよ -
Posted by ブクログ
・哲学:抽象的な言葉、概念をより具体的な行動、事象、名称などで説明すること
・なりえた→ありえた(時間概念を含む可能性→無時間で時間概念を含まない可能性)、初めから”ありえた”というものがあるように思うが、”なりえた”ということの経験や推測から”ありえた”は発生したもの。
・自己は他者との関わりで形成される。他者の考えは、原理的にわかりえない。(わからない部分がある)わからない部分が自分の中にも含まれる→わからないことが様々な可能性がある(自由に選択できる)と考えるようになる。
・やってはいけないとされること、やったほうがいいことについて。(社会規範)望ましい行為、望ましくない行為がある(あり -
Posted by ブクログ
テキストとしても使えるように書いたと書かれているように、分析哲学について厳密に、濃密に描かれていて凄い楽しかった
分析哲学の主な分野を多く扱っていてこの本から他の入門書・専門書への手引きとしても良質だと感じた
その学問の性質上、文字通り論理的に客観性を求めて書かれているためスラスラ読める感じじゃなくて、ペンと紙を用意して、詰まったその都度整理しながらじゃないと存分には楽しめないと思う
講義3の記述理論や、講義5の規則解釈の所は特に詰まりながら人に説明しながら自分も理解深めたって感じでどうにか理解出来た
講義7の様相論理・可能世界意味論はそれまでの講義を踏まえるとめちゃくちゃ面白かった -
Posted by ブクログ
山口大学の准教授である著者による「分析哲学の専門書。
講義の形式をとっており、順番に話が進んでいくためついていきやすい。しかし、そもそものテーマが哲学で抽象度が高いため非常に難解。目が滑る箇所が多かった。
理解できた内容は半分程度だったが、それでも面白い本だと思う。
分析哲学とは、言語の働きの解明を通じてさまざまな問題に答えるものである。
私たちは、何を論じるにも観察するにも、言語に依存している。分析哲学はこの言語を徹底的に掘り下げる。その意味であらゆる哲学やあらゆる思考と、科学や倫理や芸術と、連続的なものである。
分析哲学は開かれた学問であり、本書が取り扱うテーマだけでも、「言語の構造 -
Posted by ブクログ
一読しただけの状態で、実のあるノートが書けるとはとても思えない本だ。
でも、時間についてわかっていないことがこんなにある、と知り得ただけでも十分自分には意味があった(と思う)。
行動の意志を起こす以前に、既に何らかの脳反応がある。
そんな実験が結果が発表され、その後も研究が継続されていることが紹介される。
筆者によれば、現時点ではまだ人間の自由意思を否定するほど強い結果ではないそうだが、私にはそういう研究さえ、かなり驚いた。
本書では、その直後にチョイス・ブラインドネス(選択盲)の話に発展する。
自分が選択したものをすり替えられていても、気がつかず、すり替えたものを選んだ理由さえ述べる。