青山拓央のレビュー一覧
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分析哲学も、一般の読書人向けの入門書が乏しい分野だという印象があります。大庭健の『はじめての分析哲学』(産業図書)や、冨田恭彦の小説形式の本はたしかに読みやすいのですが、とりあげられているテーマに偏りがあって、分析哲学全般の入門書とは言いがたいところがあります。とくに可能世界意味論の登場以降の動向も踏まえた入門書というと、本当にかぎられてくるように思いますが、本書はその貴重な一冊です。八木沢敬の『分析哲学入門』三部作(講談社選書メチエ)に比べるとかなり読みやすいのですが、それでもクリプキの「本質」理解の検討をおこなっている第7講の議論は相当に難しく感じました。
第6講では、言語ゲームの実践に -
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最初の分岐問題から気持ち悪い
哲学系で卒論から、というので、研究が浅いのは仕方ないかもしれない
それこそ、物理学への理解として、カール・ポパーやブリゴジンの知見は咀嚼できていない
量子力学的な重ね合わせの現在であったりにも対応できないと思う
議論もまるでスコラ哲学か?と思うくらい安易に感じる
矛盾律を用いて議論を進められるほど包括的な検討ができてるとも思えない
悪い意味ですごく「哲学的」な域にいると感じた。
最後まで読めばそうは思わないのかもしれないが、1章を読む間に感じるストレスが大き過ぎてちょっと最後まで付き合いきれないな、と思った
物理学だけでなく、意識の脳科学的な理解もたり -
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テーマは興味深いが「時間とは何か」の前にそもそも「心とは何か」が私にとっては問題なのだけれど、そこは共通認識がある前提で書かれている…のかな?一通り読んでも「心」の定義(著者がどう定義して書いているのか、そもそも定義しているのか)がわからない。
「心」というよりは「意識」や「脳」に近いような気がした。確かに近いものではあるように思うが、イコールではないと私は捉えている。サブテーマを見る限り「意識」とも違うのだろうけれど、その辺りが何とも言えず、モヤっとした。
あとは、分かりやすい本ではないが難解な内容というより読みにくい文章だと感じた。まぁ慣れなのかもしれない。
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まず真っ先に指摘したいのはこの本の章立ての独特さだ。もちろん意欲的な試みだとは思うのだが、扱っている題材の重さと新書というメディアからするとやっぱり複雑すぎると思う。奇数章で時間の認識論及び存在論、偶数論で理論の現実世界への適用のあり方を扱うというのはいいとして、これをさらに前半と後半で2分割する必要があるのだろうか。結果として議論がぶつ切りになってしまい、僕には一つの統一した書籍として処理することができなかった。仕方なく本書を断章の集積としてエッセイ的に読んだのだが、やはりフラストレーションは否めない。ただ各章の内容それ自体は極めて示唆に富んでおり、興味深く読めるのは間違いない。
有名 -
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「幸福とは何か」「いかにして幸福になるか」「なぜ幸福になるべきか」という問いを哲学的に考察する道筋をわかりやすいことばで示している本です。
著者は、現代の哲学・倫理学における幸福論が「快楽説」「欲求充足説」「客観的リスト説」の三つについて紹介し、それらはたがいに対立するよりもむしろ「共振」するということに注目して、著者自身の幸福についての考え方が語られています。
あるいは、テーマそのものがこうした論じ方を要求しているところもあるのかもしれませんが、哲学的な方法によって幸福の概念についての考察を展開していくのではなく、もうすこしわれわれ自身の実感に寄り添うような場面に足場を求めつつ、議論が進 -
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「哲学」ならば、聞いたことがあるし想像もつく学問の分野だな、
という人は多いですよね。
じゃあ、「分析哲学」となると、どんな分野の学問なのか、
「分析」とつくだけで、多くの人にとって憶測の範囲の学問になります。
哲学よりも、細かいことを考えるんだ、と思う人もいるでしょう。
しかし、哲学は細かいこともちゃんと考えていく学問です。
なにか数式を使ってアナライズしていく学問かな、と思う人もいるでしょう。
確かに論理式を使ったりもすると書いてありますが、本書のような入門書には
ごくごく少ない数式の登場に抑えられていました。
かいつまんで「分析哲学」を紹介すると、
言葉を考えていく学問と言うことになり -
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分析哲学の本は、無未無臭でどうしても読み進めていくことが困難なものが多い気がするし、論理学とかきちんと勉強してないと、馴染めないものが多いので、これまで僕は敬遠してしまっていた。だけど、この本は、著者の体温が伝わってくるし、比較的平易な記述で問題の核心にズバッと入っているような気がして、面白かった。
分析哲学の出発点にもなっている、「言語論的転回」にもそれをどのように受け止めるのかが様々であるというのは、そうなんだ〜と。最後の「時間」分析のところは、「今」という時間をどのように考えるかという問題(マクダード)で、難しくついていけなかったけども、すごく面白そうなので、もう一度読み直す。この辺り