川越敏司のレビュー一覧
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ネタバレゲーム理論はもともと、ジョン・フォン・ノイマンらによるポーカーについての分析から生まれ、有名になった理論です。いまでは医療の世界であたらしい医者の配属の仕方に用いられていたり、建築業界などで工事の入札を自分の会社が赤字にならない金額でうまく権利をものにするために使われる論理だったりするそうです。
そうじゃなくても、有名な「囚人のジレンマ」(別々に取り調べを受けるAとBの両者のうち一人だけ自白しもうひとりが黙秘すると前者は無罪放免で後者は長期の刑期に服すことになり、ともに自白するならば刑期は免れないが情状酌量の余地がもたらされ、両者が黙秘だと両者とも軽微な罰だけで済む状況のなかで、AとBはどう -
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著者のバックグラウンドから結論は見えていたと言うべきか。
私もご多分に漏れず行動経済学の存在を知った時に「こんな面白い学問があるのか!」と興奮を隠せなかった。すぐにでも社会に還元できる実用的な考え方に見えたし、当然そうなることを期待した。
コロナの専門家会議に阪大の大竹先生が入っているのを見て、いよいよ行動経済学の成果がこの目で見られるのかと思ったが、結果は期待外れと言わざるを得ない。もちろん政府の発表の仕方に何らかの影響を与えたとは思うが、感染者の推移はそんなものとは全く無関係に見える。
仮に伝統的経済学との統一理論で学会内の対立が解消しても、そもそも「ナッジなんて大して効果ないんじゃないの -
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市場は商品の値段の均衡によって効率的な配分を実現する。しかし現実には、需要と供給を操作することで自己の利益を増やす戦略的行動が可能である。
これはゲーム理論として研究されているが、そこから派生して、人々が戦略的行動を取ることを前提に、システムとして理想的な状態、つまり財の配分を実現する仕組みを設計するのが、マーケット・デザインである。
著者は、実験経済学の研究者であり、マーケット・デザインにおいても理論だけでなく実験が重要と考える。本書においても、理論上は最適なアルゴリズムとされるものが、実際には良い配分にならないケース、その理由の考察に紙面を割いている。また、研究室の閉じられた実験と、実際 -
Posted by ブクログ
企画、構成の工夫がすごく良い。この書き方にするなら、数式とそのグラフが別ページにレイアウトされてるのが残念。数式とそのグラフを必ず同じ場所に載せるフォーマットだと、もっと良かった。ただ、根本的な話として、意思決定の話を個人に当てはめようとしても、状況によるブレも大きいし、都度で情報を整理して制約から判断を導出する手法を使うと個人の判断傾向はあんまり意味がない気もするので、この本が提示する世界観にあまり納得感がなかった。理屈を分かりやすく説明してくれるけど、その理屈の使い場所が見えない感じ。自分にマーケの観点が大きすぎるのかも知れないけど、ミクロにはこうしたモデルがあって、その上でマクロでの振る