酒井泰介のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
経済の話というと何となくとっつきにくく、専門家(エコノミスト)の言っていることが唯一の正解と認識してしまうことが多々あった。
本書を読み、そもそも学派がいくつもある(新古典主義派、マルクス学派、行動経済学…)時点で、考え方次第で何とでも言えるし、政治的なものだということがよく理解できた(これも、何となく今までそういう認識がなかった。自分は建物の耐震に関する研究を仕事にしているが、例えば地震による建物の損傷過程について、人によって考え方が違うということはないし、そもそも学派など存在しない)。
経済の話は難しいと敬遠せず、専門家の意見がどういう考え方に基づく理論なのか、よく吟味する癖をつけていきたい。 -
Posted by ブクログ
用いられているのは欧米の統計なので、どこまで日本社会に当てはめられるか疑問だが、面白い視点を多数得ることができた。
人が結婚やセックスに関わる決断を下す際に、経済的因子による影響を多く受けているという大胆な説に、疑いを持っていたが、読み進めると納得できた。
以下、印象に残った点を記録。
※ネタバレ注意※
○女性は経済で、男性は外見で相手を選ぶ
→魅力的でない男性が女性とデートをするためには
魅力的な男性以上の稼ぎがあることでクリアできるが
魅力的でない女性が男性とデートをするためには
いくら稼いでいてもダメ
→男性は女性の外見を非常に強く気にしていて、
収入はさほど気にしていない
※但し、国や社会によっては、
信仰や身分(ex.カースト)などの評価軸もある
○娘に貞操を守らせたいなら、
女子学生より男子学生の多い大学へ行かせるべし
→男性が少数派になると、男性側の決定権が強くなる
男子学生が少ない場合、女子学生は彼氏に
セックスを待たせられなくなる。
○性行動の減少は性病の増加を招く
→人を3つのタイプに分けると、
①リスク回避型②日和見型③リスク志向型
このうち①が不特定多数とのセックスを控えると
③が②もしくは③とセックスすることになる
③はともかく②は、③に決定権を委ねるため
性病予防措置が取られないままとなる
結果、性病の蔓延を招く
○一夫一婦制は貧しい男のため
→一夫多妻制をとると、独り身となる男性が増える
→性にあぶれる男性の怒りをなだめるため、
時の為政者は、単婚を法制化する
(自らの地位の安定のためでもある)
○男性間の所得格差は一夫多妻制を促進する
→男性の所得格差が大きいければ大きいほど
女性は一夫多妻制の世帯に入ることを望む
→貧しい男性と結婚するより、豊かな男性と
結婚したほうが経済的安定が見込めるため
○女性の質(高学歴・高技能)の格差は
一夫一婦制を促進する
→工業化に伴い、肉体的な強さを持つものより
高技能を持つものが稼げるようになった
→男性が自分の子にも高技能を授けるためには
高技能の女性を妻にするのがひとつの方法となる
→結果、質の高い女性の市場価値が高まり
女性の発言力も高まった
★工業化社会において一夫一婦制が主流なのは
必然であると言える
○一夫多妻制は売春を招く?
→性にあぶれる男性の増加により売春の需要が増す
→売春で稼げるため、結婚するくらいなら売春を
望む女性が出てくる
○黒人女性の婚姻率が低い理由
→黒人女性は同人種のパートナーを強く望む
黒人男性の収監率が高い
黒人女性は黒人男性より大学進学率が高い
→希少な高学歴黒人男性は市場で優位となるため
結婚を急ぐ必要がない
カジュアルセックスを楽しんだ後でも結婚できる
○制度とは社会的行動の規則=信念
→信念が変われば制度も変わる
ex.同性婚の容認
-
Posted by ブクログ
経済学の理論を用いて「SEX」と「恋愛」行動について読み解こうという、野心的な経済学の本。日本では「草食男子」「肉食女子」という概念が定着して久しいが、海の向こうでもそうだったのね。そして、男子に一定の経済力を求めるのも万国共通なのね。私みたいな「中年フリーター」は、読んでいて精神が鬱状態になってしまったわい。恋愛傾向が人種によって大きく違うのは「ああ、やっぱりね」と思ってしまう。経済力が高い階層ほどいい教育を受けられ、低ければ低いほど、まともかつ真っ当な教育を受ける機会が低い現実を、この本でもイヤというほど認識させられる。だが残念ながら、この本では「貧乏な人間が、どうやって恋愛を楽しめばいいのか」という視点では書かれていない。貧乏人は恋愛を楽しむな、ということなのだろうか。
-
Posted by ブクログ
様々な理由で失敗した企業(多くはまだ存続している)の失敗とその原因と背景、理由が書かれた本。
アメリカで出版された本だが、その中に雪印の「私は寝てないだ!」と言う有名なせりふが書かれていた。うーん複雑・・・。
もし第2弾が出ればきっと東電、オリンパスもケーススタディとして俎上に乗せられるんだろうなぇって思いながら読んでいた。
今回出てきた企業のCEOは、実はすでに問題点や変化の兆候が分かっていたケースが多かったようだ。しかし、すぐに元通りになるだろう。とか自分の考えは間違ていないという考えや、周りにはCEOに厳しい意見を言う人がいなかった(そういう人は排除されたり、握りつぶされる)などの理由でそれに対する対処を怠り、取り返しのつかない事態になってしまっている。
また失敗の原因を見ると、なぜもっと早く対処をしなかったのかと思ってしまう。トップに立つ人の決断は、様々な人の人生にまで影響するので、軽率に判断できないこともあるのだろうが、やはりトップは広く周りの意見を聞いたうえで、責任を持って決断することが仕事だと読んでいて感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ一時代を築くほど成功した経営者が失敗した理由が様々に乗せられている。分析というほど事例が多くないので、雑多な印象は受ける。成功するための製品開発力や強力なCEOの統率力など、強みが空転している事例が多い。
アナログ→デジタル、ワープロ→PCなど現場から要望が出ていても、今の事業の成功体験から離れられずに、取り残されると致命的な波に乗れない事例や低軌道衛星電話で顧客を集められなかったモトローラ、成熟している車事業に後参入しようとして失敗したサムスンの事例など、トップが判断を誤ってしまう。
周到な準備をして誤って見方を壊滅させた軍隊の例を挙げ、「ビジネスにおける失敗とはたいていそんなものである。本書のために調べた様々な事例の中で、業務の遂行能力に問題がある例は一つもなかった。いずれの場合も真の問題は間違った作戦を展開したことにある。」と述べるくだりが印象的。
処方箋もいくつか上げられるが、組織を風通し良くし、否定的な情報や意見を謙虚にトップが考慮する事が必須という結論。
まあ、妥当でしょうか。