角谷信太郎のレビュー一覧
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光栄なことに翻訳の査読をやらせていただいたので、本書に関しては発売前に一通り読むことができた。しかし、献本していただいたものを改めて通読してみた。一言で言えば、グッジョブすぐる。
そして、本書を読み始めてすぐ、「コレハ!」と思ったところに付箋を付けていく、という方法は早々に破綻しそう(付箋がいっぱいですごいことになりそう!)なことに気づき、アンダーラインを引いていくことに切り替えた。
最初のプラクティス「成果をあげるのが仕事」に従えば、監訳者の角谷さんと木下さんは、これを十分にクリアした。この本はただの翻訳書ではない。見事なローカライズがなされている。原著をあたる方がいい翻訳書はたくさんあるけれど、この本に限っては違う。
成果(アウトプット)について触れたけれど、この本ができていく過程に一部関わらせてもらった感想として、そのプロセスもまた素晴らしかったことを付しておく。この過程も含めて本書の評価に反映せざるを得ない。
本書は「プラクティス」という名前を関している。このプラクティスが指しているのは「心構え」であったり「習慣」であったりするのだけど、本書にはその具体的なインプリメンテーションは書かれていない。それでいてなお、実践的だ。
アジャイルプラクティスを実装するのはあなたのチームであり、本書はそのためのテストコードになると思う。本書を読み終えた段階はテストコードが揃った状態であり、最終ページに書いてあるように、「これからが本番」と言える。
監訳者紹介文に倣って、私もプラクティスベスト3を挙げておく(3つに絞るのはとても大変だった)。
5.「変化に付いていく」
34.「警告をエラーとみなす」
41.「メンターになる」
咀嚼して、飲み込んで、そしてまた反芻していきたい、そんな本に出合えた僥倖を素直に喜びたい。
本書を通じて、自分の中にメタファーを持つことの意義にあらためて気づいたけれど、それはまた別の機会に。 -
Posted by ブクログ
ソフト開発プロセスは、ヘビー級なもとのライト級なものに二分される。大抵のまともなプログラマーはヘビー級を嫌う。なぜなら、ヘビー級は、「ユーザに提供されるもの意外を沢山つくることを強制する」、「硬直的で、官僚的」、「チームの社会的側面を軽視する」、「聞いたこともないようないろいろな職種を定義する」などの非効率的アプローチであるからだ。本書は、この対極であるライト級プロセスの一般名称アジャイルプロセスのベストプラクティス集である。昨今、ヘビー級の失敗のおかげでアジャイルが注目されているため、「アジャイルXXX」なる本は偽物が多く出回っており、名前だけでプラクティスを選ぶとだまされることになる。だまされないためには、著者や監修者、コメンテータの欄に"Kent Beck"、"Andy Hunt"、"Dave Hunt"ら著名且つ有能なプログラマーの名前を探すことである。という意味で、本書は読む前から良書であることが約束された書籍である。従って、プログラマーなら内容を問わず取り合えず読むことをお勧めする。とは言え、折角私のコメントを読んでくれている人のために、少しだけ本書の内容に触れよう。 本書は45の厳選されたプラクティスから成る。各プラクティスは、それぞれについて ・最初に、そのプラクティスを皮肉るような「悪魔の囁き」が来る。 ・その後、そのプラクティスの詳細な説明があり、 ・続いて、「悪魔の囁き」に対する「天使の助言」が来る ・そして、このプラクティスが引き起こすであろう感情を「こんな気分」で説明し、 ・とは言え、「バランスが肝心」で、やりすぎは良くないと戒めるというような構成になっている。 本書が第一に紹介しているプラクティス「成果をあげるのが仕事」を、著者自体が忠実に守っているため、アジャイル・プロセスの解説書としての出来はすばらしい。また、リファレンスして便利に使えるような工夫も随所に見られるため、上級者の再学習用としても秀逸。ということで、繰り返しになるが、あなたがプログラマーなら取り合えず読むことをお勧めする。
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ソフトウェア開発をアジャイルに行うための習慣が45書かれている。 今まさにアジャイルにプロジェクトを進めている自分にとって、実に納得の内容だったり、頭ではわかっていても全然できていないことがあったりで、もやもやしていたところがある程度スッキリできてとてもよかった。 各プラクティスの冒頭には「悪魔の囁き」があり、よくありがちなアンチパターンがあり、終わりにはアンチパターンに対応する「天使の助言」がある。これらもよくまとまっててとても参考になった。 アジャイルな開発は個々の相乗効果を高めることを常に意識しておかないとダメだな、ということを再認識できた。変なプライド(がもしあれば)は捨てて謙虚にいかないとね。 タイトルは「アジャイルプラクティス」となっているけど、アジャイルでないプロジェクトでも実践すべきプラクティスがいくつか書かれているので、ソフトウェアエンジニアは必読の一冊だと思う。
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スウェーデン警察のプロジェクトという実在のプロジェクトで、どのようにカンバン・リーン原則を適用したか、これに対して何を学びどのように解決しようとしたか、が書かれた本。
リーンやアジャイルの原則に則り、自分たちでいろいろ試してプロジェクトに合う方法を見つけていった過程は非常に刺激になる。
本に書かれている基本的なやり方だけをやっているだけではだめで、自分たちで何が問題かを考えてそれをどのように解決したらよいかを実践することが大事であることを再認識させられた。
手法としては「因果関係図」が目から鱗だった。なぜなぜで掘り下げるだけではなく、ループ図を作るように事象の関係を結んでいくことで、システム思考的に自分たちの問題点が何かを浮き彫りにしていく手法はとてもしっくりきた。
自然にできるようになるためには相当な数の実践と訓練が必要そうだけど、意識して行うことでなんとかモノにしていきたいところ。
「ループ図」などのバズワードを使わない、といったところもその通りで自分たちのシチュエーションに合わせて言葉を選ぶというのは非常に大切。
訳者あとがきにもぐっときたけど、平鍋さんの解説はほんとに素晴らしい。
リーンの定義もそうだけど、大野さんの「トヨタ生産方式」がアジャイルの源流であることは知っておいたほうがいいと再認識できた。
これから自分が遭遇するコンテキストの中で絶対に失ってはいけないものを再確認できたということで、この時期に出会えたことに本当に感謝。 -
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非常に実践的な内容で学ぶべきところが多かった。アジャイルの難しい所は、どう実践すればよいかが分からない、これに尽きると思う。ここでは実際のプロジェクトでどのように問題を解決してきたかの一端を見ることができる。プロジェクトの規模、内容が違うのでこのまま使えるわけではないが大いに参考になると思う。そして一つのやり方にとらわれることなくプロセスも常にカスタマイズするべきであることもわかる。決まった手順にとらわれがちであるが、組織、チームに合ったやり方というものもあるし、全ての開発フェーズで同じやり方で良いわけではない。プロセスを変えることを恐れてはいけないし、むしろプロセスを適切に変化させることが開発を成功に導くカギであることが分かる。
技法そのものの説明としては「テスト自動化の戦略」「因果関係図」が特に有用だった。「テスト自動化の戦略」はプロジェクトの途中からテスト自動化をするという難しい問題に対する一つの解が示されている。テスト自動化を導入する手順書は多くあるが、プロジェクトの途中から導入するということを扱ったものは見たことがなく、大いに参考になった。また、「因果関係図」はいわゆるトヨタの「A3シンキング」であるが、具体的な例と主に気をつけるべきポイントが端的に示されており、ほんの数ページであるにもかかわらずそれの意味するところ、有効性、やり方までがしっかりと示されており、すぐにでも使えるようになっていた。 -
Posted by ブクログ
ソフトウェア開発における一種の態度である「アジャイル」のバイブルとでも呼べる一冊.経験豊富なプログラマである著者たちの実体験から引き出された,往々にしてプログラマたちの手から離れ怪物と化してしまうソフトウェア開発をいかに制御するかというノウハウ,心構えが述べられている.
一読した上での最初の印象は,こういったソフトウェア開発の新しい態度を導入するための最大の障害は,同じプログラマの同僚やマネージャであろうということ.アジャイルなソフトウェアの本質は,「変化を恐れない」という態度にあるが,この変化を恐れないという態度を受け入れるのは人間にとって容易なことではないと思われる.アジャイルな態度に出発するには,そういった頑迷固陋な同僚を啓蒙するような力が必要になってくるが,それはもう本書のスコープとは異なったものであろう.
そんな職場はさっさと辞めろ,というのが本書にはある.よりよい環境のためにリスクを取って今の環境から抜け出るのもアジャイルな態度なのだろう. -
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デブサミ関西2013にて、本書訳者の藤原大さんのセッションを聞いて以来、発売前から楽しみにしてました。そしたらなんとRakuten Technology Conference 2013で、@jcoplienさんに質問させていただいたのがきっかけで発売直後に頂きました。嬉しすぎてわけわからないです。
で、内容はとても生々しくて良いです。現場で考え続けてきたことを、なぜそのように考えたのか、どんな課題があったのか、つぶさに書かれています。200ページ弱の薄めの本ですが、内容はとても濃かったです。
「スクラムを取り入れたチームに起きる問題は、スクラムを採用したことが原因ではない。むしろ、抱えている問題がスクラムによって掘り起こされたんだ。(p.24)」
「あらゆるキューを制限する(p.57)」この考え方は目から鱗でした。これがないとWIP(Work In Progress)が無制限に増えていき、なおかつその状態が見えないとフォローも不十分になって、デスマに突入するんだろうな。
「プロダクトのバグは、プロセスのバグから生み出される症状だ(p.58)」プロセスのバグをほっとくと、プロダクトのバグが増え、その対応に追われてプロセスのバグを直す時間がなくなり、さらにプロダクトのバグを生み出すってゆう悪循環に陥ってしまう。継続的にプロセスを改善することが重要。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かったのは「コードレビューのパターン」で、3つの模様を紹介している。コード見直し模様。
オールナイタ
お奨めしないそうだけど、年に1回はやりたい。ちょうど、昔のJUSE、今のSWESTみたい。徹夜とすればよかったかも。
ピックアップゲーム
SHIP ITを参照せよとのこと。日本語版の書名は「Ship It! ソフトウェアプロジェクト 成功のための達人式ガイドブック」。読んでみます。
ペアプログラミング
ドライバとナビゲータだそうです。運転者と道案内とすればよかったかも。
ps.
安価な教材を探してみると,本書が候補になりました。
大事なことは漏れなくかいているし,具体的な方策についても提案がある。 -
Posted by ブクログ
[○11/09/25完読]遅ればせながら読んでみた。間違いなく良書です。個人的な経験から重厚長大なプロセスに力点を置いている開発組織よりも、アジャイル(本書にあるような事にしっかり取り組んでいるアジャイルで現場・現物・現実主義)開発に力点を置いている組織のほうが、うまくいっていると感じる。作っているものの特性によっても違うと思うのですが、これを勘違いして他人のふんどしで相撲をとろうとしてしまっているチームも多いのも大間違いではないかと。巻末にまとめられている「天使の助言」の意味が腑に落ちるように自らのものとし、着実に現場に入れていくことが肝要と思いました。本書もJolt Awardsを受賞しているようで、他の受賞作もやはり読むべきかもしれない・・。