佐藤克文のレビュー一覧

  • ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ~ハイテク海洋動物学への招待~

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    「求む男女。ケータイ圏外。わずかな報酬。極貧。失敗の日々。絶えざるプレッシャー。就職の保証なし。ただし、成功の暁には、知的興奮を得る。」私のところに来たら、まずは身近な動物で修行を積んでもらうことになる。試行錯誤の末に晴れて学位を取得したら、データロガーと一緒に、世界中の僻地に飛ばしてあげよう。そういう佐藤氏はバイオロギングという手法で動物の生態を研究している。

    学校の教科書には鳥は恒温動物で爬虫類は変温動物だと書いている。しかしウミガメの体温は23℃でほぼ一定で逆にペンギンは深く潜るときに体温維持には最低限しかエネルギーを使わず酸素消費を抑えている。

    ペンギンは深さ500m時間にして最大

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    2014年02月03日
  • ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ~ハイテク海洋動物学への招待~

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    学校の教科書には「わかっている」ことばかりが並んでいるので、学校でたくさん勉強した人たちは、この世の中の大抵ことはもう「わかっている」はずだと信じて止まない。
    ところが、本当のところ、教科書に書かれていることのすぐ外側には「わかっていない」世界が広がっているし、教科書に書かれていたことが、後になって実はあまり「わかっていなかった」ことがわかることさえある。
    水族館などでお馴染みのペンギンやアザラシが、海の中で何をやっているのか。そんなことは、たしか生物の教科書のどこかに書かれていた気がするし、そうでなくても、とっくに誰かが調べているはずだ。そう思うのが普通だろう。
    ところがこれが大違い。海の中

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    2013年07月29日
  • ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ~ハイテク海洋動物学への招待~

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    海洋生物への関心は高い。でも、眺めて和むくらいの、かなり浅い興味かも。そんなの好きに入らないよって自嘲するくらい、熱い視線が感じられる著作。どんな分野でも、のめり込んだらそれなりに認められますよね。

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    2013年06月02日
  • サボり上手な動物たち 海の中から新発見!

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    佐藤克文さんの本は、エビデンスと自身の言葉がうまく混ざっていて面白い。それでいて過去への反省もあったりするので、著作は出来れば順に読んだほうがいい。
    最新作の「サボり上手な動物たち」は、カラー写真も多く、「サボる」という、バイオロギングによって見つかった動物の「動かない」ことに着目している。チーターが速い(のを、はかりに行くエピソードも面白い)、なんてのは、ある瞬間にそういうこともある、というだけで、そうじゃない時間のほうが長いのだ。スナメリのソナーも、ときどききちんと音を出さないことがある。サボるというのは、適度に間引きして、生活のコストを抑えること。
    しかしだから人間もサボろう、というのは

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    2013年04月04日
  • 巨大翼竜は飛べたのか

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    前著「ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ」も面白かったが、こちらはさらに楽しめた。カメとマンボウの相似形とか、羽ばたき周波数で採餌の結果を推定する方法とか、いろいろと面白い。例によって院生を騙して研究させる描写も秀逸で、これを研究すれば君も「ドクトルまんぼう」になれる、と口説く辺りでは吹いてしまった。前著で活躍した院生の楢崎友子嬢は今回も大活躍していて、その点も嬉しかった。

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    2013年03月14日
  • 巨大翼竜は飛べたのか

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    動物の体のつくりと行動の相関関係が緻密なデータで明らかにされていって、緻密なデータの部分はさっぱり??でしたが、おもしろかった。
    ウミガメからペンギン、アホウドリときて翼竜にまで広がっていく好奇心が、楽しそうでよい♪
    この先生、研究所が大槌町にあってご自宅が釜石だそうで・・・。あとがきに「2010年12月、この時期にしては妙に暖かい岩手県三陸沿岸にて」って書いてあるのが怖い…(津波で研究所にあったデータ等は流されちゃったけど、学生さん方もご無事だそうです)

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    2012年04月30日
  • 巨大翼竜は飛べたのか

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    種や生活環境の違いを越えて生き物たちの「サイズ」と「はばたき」に注目して比較研究された内容で、タイトルの巨大翼竜もこの関連で出てくる

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    2012年03月21日
  • ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ~ハイテク海洋動物学への招待~

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    海洋生物の博物学。タイトルから流体力学の話を期待してたけど学術的な話は薄め。本題は”如何にして極寒の地で動物の行動履歴を取得したか”であり、知識探求のための冒険の物語。結びの一文がすばらしく、一言で本書を表してたのでまるっと引用する。シャックルトンの新聞広告のオマージュ。『求む男女。ケータイ圏外。わずかな報酬。極貧。失敗の日々。絶えざるプレッシャー。就職の保証なし。ただし、成功の暁には、知的興奮を得る』

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    2018年10月20日
  • ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ~ハイテク海洋動物学への招待~

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    ネタバレ

    バイオロギングサイエンス:
    ペンギン、アザラシ、ウミガメなどの水生生物に"データロガー"を取り付け、
    水中での動物の生態を分析する学問

    ペンギン:
    もぐる深さによって吸い込む空気量を調整している
    深くもぐる時ほどたくさんの空気を吸い込む

    空気量で中性浮力点を調整
     中性浮力点:浮く力と沈む力が拮抗する状態

    潜水浅い時:空気少ないため、中性浮力点が浅い→浅いところでエサをとりやすい
    潜水深い時:空気多いため、中性浮力点が深い→深いところでエサをとりやすい

    浮上する時は、体内の空気の浮力を使って浮上し、
    ヒレを動かさずに滑空するように斜めに海面から飛び出す

    アザラシ:

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    2011年09月03日
  • ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ~ハイテク海洋動物学への招待~

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    ネタバレ

    「体重30トンのクジラから,500グラムの海鳥まで,みな秒速1メートルから2メートルで海の中を泳いでいた!」(冒頭の一文)

    いい研究書だった.
    わかりやすく,面白く書いてある.
    著者が心から研究を愛しているのが伝わってくる.

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    2011年04月18日
  • ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ~ハイテク海洋動物学への招待~

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    口絵の可愛らしさに惹かれて手に取った。水中動物の生態は実は知られていないことが多い、と改めて知る。つい人に話したくなるような研究成果が半分、あとの半分は研究の苦労話・裏話が満載というお得感が得られる本。想定読者は高校生なのだろうか、7章やあとがきは特に筆者の情熱を感じる。「何かの役に立てようなどといった下心を持たず、おもしろい研究を突き進めていくのが、科学者として真摯な態度なのだ」とは、格好いいなあ。そして「世の中の動物好き」に「私の興奮を何とか伝えられないだろうか」という筆者。伝わりました、十分。

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    2011年04月17日
  • ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ~ハイテク海洋動物学への招待~

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    ペンギン、アザラシ、ウミガメなどの水生動物は、海の中でどのように活動しているのだろうか?
    その生態は、直接観察できないため謎が多かった。
    だが、今や日本発のハイテク機器「データロガー」を動物に直接取り付けることによって、本来の生息環境下で、己の生存をかけてきびきびと動き回る動物たちの姿が解明されつつある。
    この分野では、教科書を書き換えるような新発見が相次いでおり、「バイオロギングサイエンス」という新しい学問が誕生した。
    いま、生物研究のフロンティアは水の中にある。

    [ 目次 ]
    1章 カメが定温動物でトリが変温動物?
    2章 浮かび上がるペンギンと落ちていくアザラシ
    3章 研究

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    2011年04月07日
  • ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ~ハイテク海洋動物学への招待~

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    水中生物のことが本当はあまり分かっていなかったのを知った。
    世の中には分かっていないこと、仮設で常識とされていること
    がいっぱいあることを改めて実感した。

    教科書に書いてあることも疑う。
    大学に行けばいくほど表面上は難しくなっていってなんとなく凄そうだけど、
    ウソがどんどん大きくなっていくことは、言われてみれば納得。

    ペンギンもアザラシの写真も興味深いし、
    こんな仕事もあるんだなぁ、と最後まで楽しく読めた一冊だった。

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    2011年02月20日
  • 動物たちのインターネット 生きものたちの知られざる知性と驚異のネットワーク

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    非常に面白そうなテーマだったが、野生動物の行動をリアルタイムで追跡するネットワーク構築の話で、肝心のネットワークの機能や使い方などは、まだこれからの話だった。野生動物の行動を認識して人間社会に役立てるのはとても魅力的だが、まだ実装できていないようだ。それも含めて発展途上の科学。いつの日か日の目を観れると良いのだが、どうだろう。

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    2025年11月27日
  • ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ~ハイテク海洋動物学への招待~

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    海洋生物にデータロガーをつけて行動を把握する生物学者が書いた本。
    まあ中身自体は他に無数にある生物学者の本と同じで、動物の生態は奥深くて面白いですね、という情報感である。
    この本が特別なのは、筆者にはシュール系ギャグセンスと、普通のことを哲学的に書き起こす筆力があるということだと思う。
    世界で一番面白い/勉強になる生物学本だとは思わないが、自信を持ってオススメできる読後感である。

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    2024年12月26日
  • ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ~ハイテク海洋動物学への招待~

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    バイオロギングという海洋生物学の最新手法を活用した研究の様子を伝えてくれる。研究の息吹とでもいうものを感じる好著。研究者というものはどういうものかを知ることのできる本と思う。巻頭のペンギンのカラー写真が可愛い。

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    2018年11月12日
  • ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ~ハイテク海洋動物学への招待~

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    水中の世界は陸上動物である人には、まだまだ未知な世界だと感じた。
    ペンギンやアザラシの潜る深さについて、ペンギンは中性浮力(無重力のような状態)で楽に餌探しをするために予め吸う息の量を加減しているというのは驚く。また、アザラシは体の大きさで潜る深さが決まっているとのこと。同じ潜って餌を探す動物でも、自分の特性に合わせて生きるすべを持っている。生きているっていう結果は凄いな。と感じる。背後には揺るぎない仕組みが備わっている。

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    2014年01月04日
  • サボり上手な動物たち 海の中から新発見!

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    動物の行動を記録するバイオロギング。
    動物たちにカメラや計測器を取り付け、その生態を隈なく調べるというもの。

    そもそもは、ある場面での生物の行動に注目したところから計測が目論まれたが、結果として何もしていない、注目していなかった時の行動も知るところとなり、そこから思いがけず「サボる」動物たちの姿が浮かび上がってきたのだという。
    つまるところ、生物であるが故に、やたらなエネルギーの無駄遣いはせず、利用できるもの(ほかの仲間たちや自然の摂理など)は利用して効率よく生きている、ということなのだが。

    いろいろな計測結果を披露したに留まった感はあるものの、写真や図解も多く、単純に楽しんで読むことがで

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    2013年07月04日
  • ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ~ハイテク海洋動物学への招待~

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    ネタバレ

    ≪目次≫
    はじめに
    第1章   カメが定温動物でトリが変温動物?
    第2章   浮かび上がるペンギンと落ちていくペンギン
    第3章   研究を支えるハイテクとローテク
    第4章   アザラシは何のために潜るのか?
    第5章   ペンギンの潜水行動を左右するもの
    第6章   ペンギンはなぜ一列になって歩くのか?
    第7章   教科書のウソとホント
    あとがき

    ≪内容≫
    バイロギング(データロガーをつけた生物<特に海洋生物>の行動や生理、それを取り巻く環境を調べる研究)の第一人者の研究と体験の報告。ただ、著者が一番言いたかったのは、第7章のそれも最後の部分だと思う。世の中の金になる安定した職業を目指して大学

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    2014年07月28日
  • 巨大翼竜は飛べたのか

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    著者の佐藤先生は、京都大学大学院農学研究科水産学でウミガメの研究の成果で博士号を取ったそうです。

    水産学という学問は、食用にされる海や川の生き物をターゲットにするわけですから、ウミガメというのは異色だったそうです。
    けれど、データロガーという小型記録装置を取り付けて、その生き物の速度や加速度などの行動データを解析するバイオロギングサイエンス(動物が記録する科学)がやりたくてウミガメを選んだようです。

    その後、東京大学海洋研に所属し、様々な生き物の行動を計測し、その結果を分析したところ、タイトルにあるように巨大翼竜は(少なくとも継続して長時間は)飛べなかったという結論が論理的に導かれた

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    2012年05月01日