あらすじ
ネズミは地震の数日前に逃げ、渡り鳥は夜空で会話し、アシカの子どもは人間と動物の関係性を3年越しに記憶していた──。
本書は、最先端の動物追跡技術「ICARUS(宇宙を利用した動物研究のための国際協力)」プロジェクトを通じて明らかになった、動物たちの驚くべき知性と相互作用、そして人間との関係を描いたサイエンス・ノンフィクションだ。
著者のマックス・プランク研究所の生態学者マーティン・ヴィケルスキは、この研究のパイオニアであり、世界各地の研究仲間とともに20年もの人生をこのプロジェクトに費やしてきた。野生動物に超小型の無線タグを装着し、国際宇宙ステーションからその動きを追跡することで、鳥、アザラシ、キツネ、サメ、ゾウ、トンボに至るさまざまな生きものたちの生態をリアルタイムで「可視化」する壮大な構想として実現した。
そのビジョンが形になるまでの、現場で経験した笑いと涙のエピソードの数々。その結果導き出された深い洞察。自然災害の予測、感染症の拡大、気候変動への適応など、私たち人類の未来にかかわるテーマが語られている。
自然を愛する人、科学に心を躍らせる人、そして地球という奇跡の星に思いを馳せるすべての読者に。
【動物たちの目を通して見えてくる新しい世界】へようこそ。
■内容
キース・ギャディスによる序文
序章:アシカのベビー・カルーソ
第1章 大草原から宇宙へ、そしてまた大草原へ
第2章 鳥の情報ハイウェイ
第3章 小さなカマドムシクイから教わったこと
第4章 初期の追跡調査
第5章 カウボーイのような歩き方になったわけ
第6章 私たちのスプートニク的瞬間
第7章 知っているようで知らないネズミたち
第8章 イカロスへ続く長い道のり
第9章 ヨーロッパへ戻って
第10章 誰が主体か?
第11章 ICARUSの設計が始まる
第12章 野外で動物にタグを付ける
第13章 打ち上げに近づく
第14章 待ちに待った打ち上げ
第15章 タグ開発の険しい道のり
第16章 システムの明暗
第17章 遊ぶ動物たち
第18章 プーチンのウクライナ侵攻
第19章 アリストテレスからフンボルトにいたる宇宙の概念
第20章 地震予知をするウシ、ベルタ
第21章 動物たちのインターネット
終章:さらに速く、さらに遠くまで飛ぶICARUS
あとがき:明るい未来への展望
解説 佐藤克文
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Posted by ブクログ
動物たちのインターネット
動物追跡技術「ICARUS(宇宙を利用した動物研究のための国際協力)」プロジェクトを主導した生物学者が、イカロス以前のアナログ電波による動物たちの追跡から始まり、イカロスプロジェクトでの国際協力の困難や挫折などのエピソードを交えて、動物追跡技術が今後もたらすであろう人と動物が共存する地球という概念(念願)を語った本です。
宇宙開発のような華々しくだれにでも成果がわかる研究ではないですが、研究の技術や仕組みの基盤を整えることの大変さと重要性を教えてくれます。
現在、多くの天文台が連携することによって巨大な天文探査システムが稼働していますが、それと同じように動物たちの意外な行動や地球環境に与える相互作用などが明らかになっていくことを期待しています。
でずが、ちょっと残念なのが、著者の思い込みが強いための不正確で科学的とは言えない描写などが散見されることと、楽観主義に基づく未来予想など竹蔵的にはちょっと同意できない点も散見されました。
インターネットというバックボーンが整ったことにより、WEBシステムが人の生活を便利に豊かにそして人の邪悪さを広めているように、動物たちのインターネットから様々なビジネスモデルや科学的発見が成されることを願っています。
なぜならこれからの科学的な大発見は今までの還元主義的な研究からではなく、複雑系やネットワーク理論などから起きると竹蔵は信じているから。
竹蔵