佐藤克文のレビュー一覧
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動物の行動を記録するバイオロギング。
動物たちにカメラや計測器を取り付け、その生態を隈なく調べるというもの。
そもそもは、ある場面での生物の行動に注目したところから計測が目論まれたが、結果として何もしていない、注目していなかった時の行動も知るところとなり、そこから思いがけず「サボる」動物たちの姿が浮かび上がってきたのだという。
つまるところ、生物であるが故に、やたらなエネルギーの無駄遣いはせず、利用できるもの(ほかの仲間たちや自然の摂理など)は利用して効率よく生きている、ということなのだが。
いろいろな計測結果を披露したに留まった感はあるものの、写真や図解も多く、単純に楽しんで読むことができた。 -
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ネタバレ≪目次≫
はじめに
第1章 カメが定温動物でトリが変温動物?
第2章 浮かび上がるペンギンと落ちていくペンギン
第3章 研究を支えるハイテクとローテク
第4章 アザラシは何のために潜るのか?
第5章 ペンギンの潜水行動を左右するもの
第6章 ペンギンはなぜ一列になって歩くのか?
第7章 教科書のウソとホント
あとがき
≪内容≫
バイロギング(データロガーをつけた生物<特に海洋生物>の行動や生理、それを取り巻く環境を調べる研究)の第一人者の研究と体験の報告。ただ、著者が一番言いたかったのは、第7章のそれも最後の部分だと思う。世の中の金になる安定した職業を目指して大学に行くよりも、何のために役立つかわからない研究のために学問をする(大学で学ぶ)。それが結局は若者の生きる力になる、と…。 -
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著者の佐藤先生は、京都大学大学院農学研究科水産学でウミガメの研究の成果で博士号を取ったそうです。
水産学という学問は、食用にされる海や川の生き物をターゲットにするわけですから、ウミガメというのは異色だったそうです。
けれど、データロガーという小型記録装置を取り付けて、その生き物の速度や加速度などの行動データを解析するバイオロギングサイエンス(動物が記録する科学)がやりたくてウミガメを選んだようです。
その後、東京大学海洋研に所属し、様々な生き物の行動を計測し、その結果を分析したところ、タイトルにあるように巨大翼竜は(少なくとも継続して長時間は)飛べなかったという結論が論理的に導かれたというわけです。
★★★
ちょっと面白かったのが、逆上がりの話。
例えば、子供の頃に得意だった鉄棒が、大人になると苦手になったりする。子供の頃にはいとも簡単に逆上がりができたのに、小学生にお手本を示そうと思って久しぶりに鉄棒をしたら、逆上がりができなくなっている自分に気がついて愕然とした、そんな経験はないだろうか。これは、胴回りに醜く付着した脂肪層のせいだけではない。
─略─
もしも、子供のときから全く体系が変わらぬまま、身長が2倍になったとしよう。筋力は筋断面積に比例するので、腕の筋肉は子供の頃に比べて、4倍の力を生み出すことができる。しかし、悲しいことに体重は8倍になってしまっている。結果的に、鉄棒する大人の体重を支えるだけの腕の筋力は圧倒的に不足することになる。
なるほどね。ついこの間、アイススケートで異様に足首に力が掛かって「こんなはずでは」と感じたのも足の筋肉の成長が2乗倍なのに比べて体重の増加が3乗倍だったからなのかな。
★★★
さて、ジャンルは違えど、ソフトウェアでもデータロガーの考え方はありますね。
メトリクスというやつです。
昨年のSQiP研究会で、IBMの細川さんや、ソニーの永田さんが率いるレビュー分科会では、『間接的メトリクスを用いて欠陥予測を行うレビュー方法の提案』というタイトルで、プロジェクトのコンテキストに目を向けた間接的データからどこをレビューすると効率的かというユニークな研究をしていました。
とても、面白い研究で、きちんと相関が検証されるデータがそろえば、この本のように『巨大プロジェクトはリリースできたのか』といったタイトルでまとめられるんじゃないかなぁと思いました。
# 今回の、東日本大震災で、佐藤先生の研究室も被災されたとのことです。「津波によって、全ての紙資料とHDやCDに保存したデータが無くなった」という一文を読んで涙がでそうになりました。かける言葉もありません。 -
Posted by ブクログ
今日の帰りの長~い乗車中(台風15号)に読んだけど,やきもきしてて細かいとこはちゃんと追えなかった…。「バイオロギングサイエンス」の成果で古生物の常識を覆す!みたいな。
生物の生態を研究するのに,各種センサを搭載したデータロガーを個体に取り付けていろんなデータをとることが行なわれるらしい。最初は観察の難しい水生動物を調べる目的で,それが空飛ぶ動物にも有効になってきた。最新のは加速度センサもついてる。
しかし前フリが長く,なかなか翼竜の話にならないのはじれったい。まえがきでも断ってはいるが。二乗三乗の法則やそれが水生動物には成り立たないこと,ウミガメ,マンボウ,ヨーロッパヒメウ,オオミズナギドリなどで200ページを費やした後,いよいよ翼竜の話に。
空を飛ぶ動物は,大きくなればなるほど飛ぶのが難しくなる。重力と筋力の関係で。だから翼長10メートルもあるようなケツァルコアトルスみたいのは普通に考えて自力で飛ぶことはできないと結論する。一般に推定体重70キロとされているが,これは著者にとってあり得ない数値だからだ。
自力で飛べないなら,強風を受けて上昇すればいいかと思うとそうでもない。自由に離着陸できないようでは生き残れないと著者は言う。それならどうやって飛んだか?二つの可能性を挙げている。揚力と重力。
飛行するには揚力と重力が釣り合っていなければならない。揚力は空気の密度に比例するので,翼竜のいた時代の大気の密度が今より大きかったら重力にうちかつ十分な揚力が発生できたのではないか,という。もう一つは重力が昔は今より小さかったのでないか,というが,さすがにこちらは自分でもトンデモない説だと言っている。でも,大気密度にしたって,揚力だけでなく空気抵抗にも比例するんだから,抵抗が増えたぶん余分な推力が必要になるので,違うんじゃなかろうか。余計な筋力がいるよな…。
化石から翼長を推定するときに,現生のトリとか参考にしてるのが間違いのもとという話の方がしっくりくる。10メートルもなくて,もっと小さいと考えれば,推定体重が軽いのも案外納得いくのではないだろうか。
著者の研究遍歴が面白い。長らくウミガメ研究をしてきたそうだが,水産学科だったため,食べられないウミガメを研究するのに技巧的な説明が必要だったとか。「ウミガメが網にかかって死ぬような水産業ではダメ,持続可能な漁業を模索する為ウミガメ研究が必要」なんだって。
そのあと極地研に移るが,ウミガメはむしろ小笠原とか熱帯の海にいる。そこで「新装置をいきなり南極にもっていくのはマズイ。装置のテストにウミガメはもってこい。」という言い訳がいったとか。東大海洋研に移った今は,そういう心配がなくなったそうだ。