資本主義の起源をプロテスタントの職業倫理の中に見出すという理論を展開する社会学者ウェーバーの有名な著書。著者も言及しているように、あくまで宗教的な影響が資本主義の出自にどの程度寄与しているかを考察しているに留まり、資本主義の本質の一端を明らかにしたに過ぎない。また肝腎の、当初神への信仰から産まれた資本主義の精神がその後いかにして世俗的で現世的なそれへと移行していったかについては詳らかでない。あまりにも議論されてきた理論で新鮮味に欠けるけれどやはり鋭い着眼点と意外性のある結論においては傑出している理論なのかも知れないと思った。