本兌有+杉ライカのレビュー一覧
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ネタバレサイバーパンクディストピアSFニンジャ活劇。
悪の組織に妻子を奪われた男が、古代のニンジャの力を獲得し、その力の闇に呑まれないよう抗いながら復讐のため戦う、という筋の、王道なダークヒーローもの。「Wasshoi!」「のっぴきならぬマッポーの世」「インガオホー!」「ヨロコンデー!」など独特の言語センスに貫かれているため分かりにくい(し、そのような部分は読んでいて笑ってしまう)けれど、ドライでハードボイルドで、時には人間の業のままならなさを描いてしんみりとさせたり、少年少女の淡い恋や友情を描いてみせる懐の深さを感じる。
あえて時系列をバラバラにして並べてあるけれど、1巻の巻末に、すべての始まりとな -
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この巻は「アトロシティ・イン・ネオサイタマシティ」と「ストレンジャー・ストレンジャー・ザン・フィクション」のどちらも甲乙つけがたい。
アトロシティ、は荒唐無稽なキャラクターであるヤクザ天狗が好き勝手に暴れまわる話なようでいて、タロやヤマヒロが到底敵わない理不尽に立ち向かう話であることに気づく。
一見話が破綻しているようで一フレーズごとに周到な計算で組み立てられた話なのだ。
彼らの足掻きは無駄だったのか?そうではない。藁にすがってジタバタ足掻いて起こした波紋が巡り巡ってヒーローを動かす結果になったのだ。
ストレンジャー、はヒーロー物にお約束の負けイベント。だが本格的な集団戦であり、アンダーカー -
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サイバーパンクニンジャ活劇、ニンジャスレイヤー。これが何かというのはとても一言では表せないが、本筋は家族を殺された男が悪の親玉に復讐するという単純な話。
その単純な筋にこれでもかというほど多様な味付けをして出来上がった作品と言えるだろう。
サイバーパンクやアメコミの影響はもちろん、毎回個性的な怪人(ニンジャ)がでてきて死ぬと爆発四散するという特撮ヒーロー的お約束、繰り返される天丼にギャグ漫画的要素もうかがえる。
そのようなハチャメチャな世界観でも整合性を保って上手く日常感を表しているのは凄いし、そのような鬱屈した世界の中でも爽快感は決して失ってはいないのだ。
自分がこれ以上何を言ってもニンジャ -
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ネタバレ巷で噂のニンジャスレイヤー=サンの冒険はずっと気になっていた。
単行本の分厚さに躊躇していたが、今回イヤー!とキヨミズ・プラットフォームから飛び降りるつもりで買ってみたら大正解だった。
ツイッターに投稿された時とはストーリーの順序が変えられているようで、第一話にあらすじがあった時点でこれは普通の小説ではないことを実感した。でもまあ、基本ノリで読んでいくものだと思ってたので特に気にせず一気に読み進んでしまった。
140文字以下の短文が並んでるだけだが、登場人物とか誰が喋ってるのかとか案外分からなくならないものなんだな。
そしてやはり忍殺語は大変ワザマエである。
独特の忍殺語だけじゃなく、 -
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「ニンジャスレイヤーって、プロレタリアート文学ですよね」
私ではなく、ツイッターのフォロワーさん(書店員)がおっしゃった一言なのだけど、これってなかなか正鵠を射ているのでは。
忍殺語、世界設定、絶妙な言葉選び……というのは三巻目ともなると新鮮味も薄れて「もうあきた」となってしまいがちなのだけれども、このシリーズがまだそこまでいってしまってない。
その理由は、魅力的な主人公にはそれ以上に魅力的な悪役が必要とされるのと同様、超人的なニンジャやテンサイ級ハッカー達と並び立つ、まったく普通の一般人……否、「マケグミ」達のイキザマが、最底辺の生活をしていてもなおその中に残って一瞬の輝きをを放つ -
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忍殺語と呼ばれるオリジナル・スラングを交えた文体が楽しい、爽快ニンジャ・アクションかと思いきや……サツバツ! 変な日本語と突飛なニンジャに笑っていられたのは最初の十ページだけだった。
舞台は磁気嵐により世界から孤立し、重金属酸性雨が降り注ぐジゴクめいたマッポーの近未来日本・ネオサイタマ。繰り広げられるイクサ、イッキ、センタ試験!
ネオサイタマでは貧富の差が拡大し、カチグミとマケグミが明確に分かれ、だがカチグミだろうとマケグミだろうと絶対的権力・ソウカイ・シンジケートの前では虫ケラのように殺される。
この作品は、どこにも希望のない世界で、自分らしくあろう、人生の目的を果たそうとする人々を描 -
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そして二冊目。というか、書店にこれしかなかったので、最初にこちらを購入したのですが。
他のレビューでも絶賛されている「スワン・ソング・サング・バイ・ア・フェイデッド・クロウ」、ヤモト=サンとシルバークロウのエピソードが普通に名作で泣いた。ネタ小説だと思って手にしていたので、背後からのアンブッシュにもほどがあったというね……。
ただ、個人的に一番気に入っているのは、初邦訳エピソードの「パンキチ・ハイウェイ・バーンナウ」。
ニンジャでもカラテカでもない(スゴイ級のハッカーは出てくるけれど)タダの人が、相手を思いやってそのために決死の行動に出る ーーー そのエイユウ的行為が報われることは -
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きっかけはツイッターのTLに流れてきたことだったか……。元々カンチガイ系ファンタジーや、「ぼくの考えたさいきょうの××」ネタが好きなので即フォロー。そして今に至る。
忍殺語と称される作中用語の出来があまりにもよいし、ネタやツボを心得ているので、最初は「天外魔境」シリーズのように「自称日本通のガイコクジンが書いたという設定」で執筆したものではないか……と思ったのだけど、それはさすがに私の邪推だったよう。
閑話休題。
用語・設定・作中用語の言い回しから、どうしてもネタ小説、イロモノ扱いされることが多いけれどもどうしてどうして。こうした書籍のかたちできちんと(と、言っても時系列を無視して -
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ニンジャが出て殺す!
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Twitterで大好評連載中のサイバーパンクニンジャ小説『ニンジャスレイヤー』待望の第2巻!
1巻に引き続き、既存のアトモスフィアを維持しながらに、さらにマッポーのニンジャ世界観に磨きをかけている。
重篤なニンジャヘッズにはもちろん、ニュービー・ニンジャヘッズにも解りやすいような奥ゆかしい配慮が要所要所になされていて、読めば読むほどニンジャスレイヤーの世界に引き込まれる。
ニンジャを殺すニンジャ、「ニンジャスレイヤー」となった主人公フジキド・ケンジ。現れるニンジャを殺すうちに、ネオサイタマを影で操る存在が徐々に明らかになって行く。人々から無慈悲 -
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サイバーパンク・ニンジャ小説『ニンジャスレイヤー』第1部ネオサイタマ炎上の1巻です。
マルノウチ・スゴイタカイビルにて妻子の命を奪われたフジキド・ケンジですが、ナラク・ニンジャのソウルを宿すニンジャスレイヤーとなり復讐を誓います。
多くの登場人物がいる割に時系列順ではありませんが、目茶苦茶な世界観によりそんなことは全く問題になりません。
ネオサイタマで暗躍するソウカイヤ・シンジケート、バイオスモトリやクローンヤクザなどを秘密裏に開発するヨロシサン製薬、その他訳の分からない組織との熾烈な争いが描かれます。
1巻目ですが“アイエエエ!ニンジャ?ニンジャナンデ!?”などの多くのパワーワードが収録され