松原隆彦のレビュー一覧
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「宇宙ハンパねえ……」
と、途中からずっと思っていました(笑)
宇宙って自分が思っていた以上に"SF”の世界だったんだなあ(意味通じるでしょうか?)
少し前に話題になったニュートリノや重力波、あるいは、ワームホールやビックバン、ブラックホールやダークマターといったお馴染みの用語たち。
そうした用語の解説から見えてくるのは、自分のちっぽけな常識が通用しない宇宙の姿です。
光がまっすぐに進めない世界。
時間も空間もない世界。
この次元とちがう次元にあるかもしれない、平行世界の宇宙。
SF小説や映画にはちょくちょく触れているので、こうした可能性があることは、なんとなく知っていました -
Posted by ブクログ
宇宙の大規模構造についての観測や、データを定量化・解析する方法について、まさに松原先生の専門分野をまとめた内容。観測の精度向上やデータ規模が宇宙観を変革させる可能性があることが分かるが、数学や各種相関関数、専門用語を使って説明されるため難易度は高い。フーリエ級数展開・パワースペクトル・スカラー場・インフラトン・トポロジー・ジーナス曲線など、あまり馴染みの無いものが多い。宇宙の空間曲率がゼロからわずかにズレているのか、一般相対性理論が大規模構造の重力作用にも高い精度で一致するのか、ニュートリノの質量が解明されるのか、今後の研究結果が楽しみ。 宇宙の晴れ上がり前のプラズマ原子由来の圧力がバリオン音
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Posted by ブクログ
最新の宇宙に関する研究を、一般人にも分かるように説明した本。著者は物理学の教授である。
世の中にはこういった研究に一生を捧げる人がいるのか…と感心した。物理学の世界では、数式などを用いて現象を説明でき、観測によって証明されることによって、初めて真実と見なされるようだ。本書の目的は、宇宙について、現在どこまで分かっていて、何が分かっていないのか、をはっきりさせることである。
すごいのは、数式などを全く使わずに、理論というか概念的かつ現実的にイメージしやすいように説明されていることである。それでも後半部分の時間とは何か、空間とは何か、人間に認識されることによってはじめて存在するのか、という議論の部 -
Posted by ブクログ
数学も物理も統計学も、兎に角数字には弱い文系なんだけれども、この手の理系の書物に引かれてしまう。世の中には自分の思い通りに出来る何か根本的な法則があるのではないか?もしその法則を知って、理解したら、もしかしたら成功してお金持ちになるのではないか?という邪な考えでついつい惹かれるのが、この本で解かれている相対性理論や量子力学。物理の本なのに数学音痴が目を回す数式が一切出ることなく、なんとなく解った気にさせてくれる。当たり前だけど著者の物理の知識、その理解度、そして文章力が半端ないものだからだろう。ついつい読み進めるスピードに加速がついてしまった。しかし、相対性理論から量子力学の深遠な世界へページ
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宇宙は今、どこまで理解できていて、何が次の問題なのかということが、わかりやすく書かれている。わかりやすく書かれてはいるが、10次元とか量子の揺らぎとか、日常で捉えられない観念はやっぱり理解が難しい。とりあえず、宇宙の始まりの方は、エネルギーが高すぎて、今の物理では想像できないらしい。宇宙の70%を占める未知のエネルギー、ダークエネルギーの存在も不思議。一番面白かったのは、ブラックホールに突っ込んだらどうなるかの話。自転がなければものすごい重力で麺状に伸びて素粒子レベルまでばらばらになるらしい。自転があればどっかにワープするらしい。でも外で見ている人は、時空が歪みすぎて、ブラックホール前で止まっ
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Posted by ブクログ
「宇宙」は想像を絶する世界という表現では全く表現が追いつかない世界で、ただただ呆然としてしまう。この本のおかげで、これから夜の星々を眺める時は今までとはまた違った感じで眺めることができそうだ。
あまりにもものすごい世界なので、ちょっとだけ本からピックアップするにとどめたい。
〈本から〉
太陽が直径10cmとすれば、太陽にいちばん近い恒星(プロシキマ・ケンタウリ)はタイ王国のどこかにあるビー玉に相当する(日本から見て)。
宇宙は138億年前に始まった。(略)
1年を1円の厚みである1.5mmとしてみよう。138億円分の1円玉を積み重ねていくと約2万kmにもなる。これはちょうど地球を半周する距 -
Posted by ブクログ
最終盤にさしかかるまで、工夫している例えは違うけれども、どこかで聞いたはなしばかりだった。
一つ言えることは、科学者が主張しているからと言って、どんな理論(仮説)も盲信は禁物と言うことか。
しかし、最終盤は、多世界に対して、情報宇宙が出てきたあたりから、俄然、面白かった。
・時空間そのものに単純に量子論をあてはめる試みはうまくいっていない。
・宇宙に通常の量子論の考え方を当てはめると、宇宙の誕生自体は、現実と非現実の間にある確率的な重ね合わせ状態となる。そして、それが観測されたときに実際の宇宙として、現実化することになるが、これが大きな問題になる。観測者とは一体誰なのか。
・ホィーラーの