Posted by ブクログ
2020年09月26日
松原博士は6冊目になるが今回も読み応えのある満足行く内容で、一瞬で読み終えてしまった。
宇宙は有限か無限か。膨張している観測結果から行くと有限のように感じてしまうが、無限空間も膨張するということは想像が難しい。 ビッグバン前の特異点に、現在存在する全エネルギーが凝縮されてる状態ってのも理解の範囲を...続きを読む超えている。
さらば青春の光のぼったくり過大請求のコントで那由他や無量大数という単位は聞いていたが、華厳経ではもっと大きい単位が設定されていたとは・・ 10の100乗=グーゴルで、そこからグーグル名が来てたのは有名な話?
年周視差や光行差の発見を地動説発見の時系列にうまくまとめられており、分かりやすい。
宇宙の曲率の測り方についてはこれまでより突っ込んだ内容だったので勉強になった。三角形を使った測定になるかと思っていたが、相対距離が知られている天体はないため、バリオン音響振動を物差しにする方法が検討されているそうで、まさに筆者の専門分野か。現在の観測精度では宇宙の曲率はゼロに近いとのことだが、空間の曲がりが顕著になる距離スケールとして3000億光年以上必要とは・・やはり宇宙の理解は一筋縄ではいかないらしい。
ボンネ・マイヤーズの定理(空間曲率と有限について)や、ゼータ関数(無限を扱った計算から有限解を導く)に触れるなど、数学的な要素も紹介しているが、とくに高次元の想像が困難なため宇宙のトポロジーは難解。
宇宙像の新章として紹介されたのは情報の宇宙について。シミュレーション仮説はマトリックスやループの世界観でおなじみだが、物理学者が語ることで夢がさらに膨らむ。