あらすじ
私たちのまわりには空間が四方八方に広がっています。少なくとも、見た目にはどこまでも果てしなく続いているように思えます。果たしてこの空間は無限に続いているのでしょうか、それとも、十分に大きいだけで実際には有限に途切れているのでしょうか。(「まえがき」より) 宇宙は無限なのか、それとも有限なのか。宇宙に「果て」はあるのか、ないのか――。答えの出ていない“未解決問題”を、最新の宇宙論の成果を交えて考察。
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こんなに面白い宇宙の本は初めて
今までかなりの数の宇宙に関する本を読んできましたが、どうしても一般向けの本は似たような内容になってきます。
この著者の方の本も分かりやすく、非常に面白いため、全て読んでいますが、本書が特に面白かったです。
無限についての考察は、非常に分かりやすく、それだけに無限の恐ろしさ、面白さにドキドキワクワクしながら、最後まで一気に読み進めることが出来ます。
めちゃくちゃオススメです。
Posted by ブクログ
松原博士は6冊目になるが今回も読み応えのある満足行く内容で、一瞬で読み終えてしまった。
宇宙は有限か無限か。膨張している観測結果から行くと有限のように感じてしまうが、無限空間も膨張するということは想像が難しい。 ビッグバン前の特異点に、現在存在する全エネルギーが凝縮されてる状態ってのも理解の範囲を超えている。
さらば青春の光のぼったくり過大請求のコントで那由他や無量大数という単位は聞いていたが、華厳経ではもっと大きい単位が設定されていたとは・・ 10の100乗=グーゴルで、そこからグーグル名が来てたのは有名な話?
年周視差や光行差の発見を地動説発見の時系列にうまくまとめられており、分かりやすい。
宇宙の曲率の測り方についてはこれまでより突っ込んだ内容だったので勉強になった。三角形を使った測定になるかと思っていたが、相対距離が知られている天体はないため、バリオン音響振動を物差しにする方法が検討されているそうで、まさに筆者の専門分野か。現在の観測精度では宇宙の曲率はゼロに近いとのことだが、空間の曲がりが顕著になる距離スケールとして3000億光年以上必要とは・・やはり宇宙の理解は一筋縄ではいかないらしい。
ボンネ・マイヤーズの定理(空間曲率と有限について)や、ゼータ関数(無限を扱った計算から有限解を導く)に触れるなど、数学的な要素も紹介しているが、とくに高次元の想像が困難なため宇宙のトポロジーは難解。
宇宙像の新章として紹介されたのは情報の宇宙について。シミュレーション仮説はマトリックスやループの世界観でおなじみだが、物理学者が語ることで夢がさらに膨らむ。
Posted by ブクログ
宇宙は無限か有限か誰しも考えるし宇宙が始まる前は何なのか頭が痛くなるような問題。
面白かったのは仮に宇宙が無限だとすると可能性も無限になる。どんなかすかな可能性があってもいつかどこかで実現してしまうことになる。
自分と全く同じ人物がどこかで生存していると言うことになる。
宇宙が無限だと言う事は考えたくないし思考の放棄にもなりそうな気がする。
Posted by ブクログ
8章から面白くなった。
もし宇宙が無限ならどんなに小さな確率でも無数回起こり得る。地球に生命がいるのだから他の星にも無数の生命がいることになる。宇宙論なのか確率論なのかわからないが、ということは自分と完璧に同じ自分(他人?)が無数存在し、この瞬間にも新たな自分が無数産まれていることになり、マジキモい。
Posted by ブクログ
複雑怪奇な一冊にして、何かを理解したいという思いになる一冊であり、しかし、その実態はやはり難解な一冊。
物理学の専門的な知識を持ちえない自分自身にとっては、どこまでも見えないものがつかめないというもどかしい読書の時間になった。それでも、このようなことを考えることも悪いことではないという、妙な納得感を得られた。
宇宙は無限なんだろうと、なんとなく素人にはそのように考えてしまうことに対して、いや、有限なのだという仮説を得て実際有限なのだという結論に至る可能性もあることを初めて知った。
知らないことはまだまだ多い。
Posted by ブクログ
現代物理学で答えのない問い、宇宙は無限か有限か、をタイトルに据えている。理論の展開に興味を持ち、読み始めるが、深遠なテーマを更に印象付ける結果に終わる。無限とは?その概念理解にページが割かれていくが、どれだけの読者が議論に追随できているのだろうか。思考容量を遥かに超えるイメージ力が要求される。宇宙の始まりにも触れているが、量子ゆらぎと光速を超えるインフレーション、時間と空間が生まれる、不確定性原理に象徴されるように同時並行世界、測定して初めて確定する宇宙という人間原理など、これまで考えられてきた推論が紹介されているが、初級者以外には物足りない内容に終わっているのが残念である。