西村悠のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
あーこれはイイ!
感動したあ。
小説家になる夢を諦め、かといって就職もうまくいかない大学生の主人公が高校時代の憧れの先輩に頼まれてギャルゲーを作ることになるという、いかにもラノベっぽい物語。
でもここにはホンモノの創作の、しかも商業創作の苦しみと熱と想いが籠もっている。
その想いの強さに泣きたくなる。
いや、イイ話だなあ。
ゲーム制作は予定通りいかないトラブルの連続で、それでもより面白くしようと頑張るしかなくて、そんな登場人物たちの姿にある種の憧れと羨ましさと郷愁を感じた。
多分自分の中にこういう世界への憧れがあるんだ。
個人的ハイライトはラスト近く、どうしようもないトラブルに仕事を投げ出した主人公に同僚が怒鳴り込んでくる場面。
「負け戦だと思っても、少しでも面白くなるように全力尽くすんだ。ムリだと分かってても最後の一分一秒まで戦うんだよ!」にはグッと来た。
「お前の居場所はもうあの会社にはねえ。でもな、センはお前が逃げた後も1人で戦っている。まだお前を待っている。お前がメインライターだって言い張ってるんだよ」
これは泣ける。
誰かに信頼され待ってもらっているということのどれほど嬉しいことか。
ましてやそれが憧れの先輩なら、それで力が出なかったら、それはもう男じゃないでしょう。
この物語には決してミラクルでハッピィな展開があるわけではないけれど、これほど心が震える物語は久しぶり。
うん、面白かったあ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレメディアワークス文庫「妄想ジョナさん。」から遡って作者買い。
大当たりでした。
連作短編でどの章もじんわりと温かくて切なくて、凄く好き。
「九四三階の戦争」と「一〇五六階の幻想」、表題の「二四〇九階の彼女」が特に良かった。ほぼ全部だけども。
全編に漂う不完全さ、理不尽さと、主人公サドリの人間を根底的に肯定する温かさのギャップが、世界の危うさを際立たせているように思う。
読み進めるにつれて時系列を遡っていく構成が秀逸。ラストで明かされるかなーと期待していた「鍵と門」」については抽象的な表現に留めてあり、ちょっと取ってつけた感が気にはなった。
でも正統派に泣ける。絵に描いたようなセカイ系だし、ありがちと言ってしまえばそれまでではあるけれど。
「さようなら、また会いましょう」
何万回も使われたようなこのラストシーンの約束の言葉でシッカリじんわりと泣けるくらい、丁寧に積み重ねて描かれていると思う。
心に響く。
普段あんまり人にオススメ出来ないような本ばかりを愛読しているので、今度誰かに「なんか感動できる良い本ない?」と比較的無軌道に訊かれたらこれを推薦したいと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの物語は主人公のかなわぬ恋をえがいた物語である.
いつかはきえてしまうと分かっている.
絶対にかなわない恋.
現実世界から目を背けたいときに読むと元気をもらえる作品だと思う.
最後まで読めばきっと心あたたまると思う.
以下あらすじである.
主人公は,妄想に悩まされる男の子である.
過去のトラウマにより,現実から目を背けていた.
ある日,主人公の前に一人の女の子が現れる.
彼女の名前はジョナさん.
彼女は,主人公を現実から目を背けている主人公を助けるためにあらわれた妄想であった.
最初はジョナさんの存在を疎ましく思っていた主人公であったが,ジョナさんとの日々を過ごしていくうち,ジョナさんの存在は主人公にとってなくてはならない存在になっていた.
ジョナさんの努力の成果もあり,主人公は現実に少しずつ向き合うようになる.
ある日,ジョナさんの存在が消え始めていることに気づく主人公.
現実に向き合うことで,妄想をみる頻度が減った.妄想であるジョナさんも例外ではない.
主人公はジョナさんに消えてほしくはなかった.できることならずっといっしょにいたいと思っていた.
だんだんジョナさんと会う頻度が減っていく.
その日は,やってきた.
ジョナさんがいない.
いなくなって始めて気づく.ジョナさんの存在.
ジョナさんに合いたい.
主人公は再び現実から目を背け,妄想の世界に入り浸るようになる.そうすればジョナさんに合えると.
しかし,ジョナさんは現れなかった.
ジョナさんが望んだこと.それは,主人公が現実と向き合うことである.
ジョナさんにあう方法.それは,現実と向き合うことであったのだ.
再び,現実と向き合う決心をする主人公の前に現れたジョナさん.
ジョナさんは最後の別れを言いにきたのだ.
ジョンさんの存在を忘れることは決してないだろう.
ジョナさん「大好きだった」
主人公「僕もだよ」 -
Posted by ブクログ
ネタバレ妄想にとりつかれた僕。
街を歩けばただの道もレンガづくりになり、しゃべるカエルがキセルをくわえ、二足歩行のウサギが目の前にいる。
そのウサギ、ヒロインもやはり妄想。
そんなヒロインに心を奪われてく―。
…そんな感じでしょうか。
とにかく主人公の妄想がすごい。なんか尊敬できるくらいに。
妄想ってやっぱさみしいですね。妄想してるときは楽しくても戻るとさみしくなる。
ジョナさんは、妄想だけど妄想から現実に引き戻そうとする妄想。主人公のために必死になる彼女はかわいいけどかなしい。
彼女のためにがんばると彼女から離れなきゃならなくなる。
なんかもどかしいです。
ラストは、さみしいけど前を向かなきゃならなくなる。前を向こう、と思えます。
読んでよかったかな?
また時がきたらもう一度ジョナさんにあいたいです。 -
Posted by ブクログ
終盤の50ページ、登場人物の感情がぶつかり合うところでボロボロに泣いてしまった。書いてある通りの悔しさを味わって、それでも踏み留まってるつもりの人間の端くれとして。ズルいよこんなん。
読み始めはとにかくネガティブな主人公が苦手で、そういう性格だけならともかく後ろ向きな心情描写が執拗に続いたので「コイツ腹立つわー……」とクッション殴りながら読んでたけど、読み終わる頃にはそれも自分なりに受け入れられてた。最後の章で会社に呼ばれたときのマイナス思考には「まーたそういう事考えて(笑」って、友達みたいな感じで接することが出来てたし、実際口にしてた。だから前半☆2つ、ラストスパートで☆6つ、合わせて割って☆4つ。
しかし一つだけ言わせてくれ……今まで小説を書いていた経験があるとはいえ、初めて書いた一日のテキスト容量が70kbってお前一生食っていけるよ。バケモンだよ!