北田暁大のレビュー一覧

  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    この本で語られていることの重大さに、今更ながらに気づく、というか、刊行当時に読んでおくべきだったと強く思った。今現在も尚、不況にあえぐ日本にとって、どこか変換点だったのかがよく分かるし、左派に対して何が足りないのか、もっと言えば民主党政権時代に、何が圧倒的に欠如していたのかがよく理解できた。刊行から年数は経っているし、世界情勢は今まさに大きく変動している中、今の日本に必要な経済に対する考え方が詰まっている。左派はあまりに経済に対して無頓着であったかを自らを含めて痛感させられた。

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    2024年10月13日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    (2018/7/11)
    ブレイディみかこ
    松尾匡
    北田暁大

    左派による反緊縮政策を!がテーマの本。
    保守、リベラル、右派、左派という言葉の定義が、
    今の政治家の振る舞いの中で意味不明になりつつある。

    保守本流を名乗る安倍政権の金融緩和政策が実はリベラル的だったりしているのがその証左。
    と言って安倍さんにリベラルな気持ちなど全くなく、
    ただ、国民受けする政策をして支持率を上げて、悲願の憲法改正がしたいだけ。
    自民党のその他の有力者は皆財政均衡、消費税増税派。
    田中角栄時代の自民党はもうないのだ。

    だからこそこの本は問う。
    今こそ左派は反緊縮政策を掲げ、現政権を倒せと。

    政治は経済だ。

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    2024年06月27日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    「左派」論者3名による経済政策論かつリベラル批判の対談書。日本のリベラル派を、経済成長政策を疎かにしてきたと批判し、文化的・制度的な面での公正性を重んじるだけでなく、「明日どうやって飯を食っていくか」に直結する経済政策もちゃんと考えろと指摘している。この本を読むことで、リベラルを自称し人権を重視し・・・と考えている人が、自分の視野の狭さに気付かされるかもしれない。僕はそうだった。

    対談の著者は三名。①『僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で有名なイギリス在住の文筆家、ブレイディみかこ。②マルクス経済学を専門にする立命館大学の経済学教授、松尾匡。③理論社会学でメディア史を専門にする東大大

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    2022年04月03日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    イギリス在住ライターのブレイディみかこ、経済学者の松尾匡、社会学者の北田暁大の3名による鼎談本。
    ブレイディさんのヨーロッパ政治経済の知識と、松尾さんの経済学をベースに、北田さんが整理している感じ。「アベノミクス憎し」で経済政策が混迷している左派に警鐘を鳴らしている。

    第二次安部政権のアベノミクスのうち、金融緩和はデフレ経済では当然の政策で批判されるものではないのだが、左派はアベノミクスに反対せざるを得ないので賛成できないという奇妙な立場にあった。

    続けて財政出動も、脱デフレを目指す雇用創出のための妥当な政策だった。
    これらは小泉政権の新自由主義ではなく、むしろ逆に左派的な経済政策なのだが

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    2021年02月28日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    いずれ読み返したくなるような、素晴らしい内容。
    結局みんな自分の生活が1番大切なんだよ!っていう当たり前のことなんだけど、きちんとそれを説明してもらった感覚で、とても勉強になりました。

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    2020年01月18日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    超面白い。
    流行った消費社会論が経済の方向に行かずにアイデンティティ論に終始したというのは本当にその通りだと思う。
    まだわからない部分が大きいけども、経済に興味が出てきた。

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    2019年12月11日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    反緊縮政策の有効性や左派の思想史などについて学べる本。

    ・左派の立場から、勢力を盛り返すために現在の安部政権を上回る経済政策を提案しなければだめだ。そのためには、いままでのような緊縮ではなく、反緊縮政策を提案し、福祉などしかるべきところに再配分をしっかりと行うべきだ。
    ・WWⅡ前後の左派の歴史を整理、レフトの思想が歩んできた歴史とその総括について。労働者の味方だった左派が、下層の人々を忘れ多様性に焦点を絞るようになってしまったこと。
    ・メリトクラシー(能力主義)が勃興した結果、下層の人々に対する差別が生まれたこと。「能力が無いのは自己責任」。グローバリズムについていけない人たちが新たな差別階

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    2019年05月03日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    野党の経済政策のなさや、成長が欠落していることに違和感がある人にはおすすめ。モヤモヤが無くなった。対話式だが読みやすい。章によって段組がバラバラなのが玉に瑕。

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    2018年09月30日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    ネタバレ

    専門の異なる3氏の鼎談で、主に欧州の政治、社会から日本のそれを分析しつつ、「左派」に対する提言が行われています。以下、要約です。

    <ネタバレあり>
    若者をして「『ビッグになろう』と考えたらあかんのかな」と言わしめる左派主導の脱成長的な風潮。左派はアイデンティティポリティクスや文化の問題に耽溺し、「下部構造」を忘れてしまったのではないか。

    一方、欧州ではドイツあるいはECB主導の緊縮政策に対し反緊縮(緩和的な金融政策と積極的な財政支出)を唱える左派(一部右派)が勃興。例えば英国では、2015年に労働党党首として強硬左派、”オールド・レイバー”のコービン党首が選出され、2年後の総選挙で善戦。か

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    2018年08月24日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    面白かった。
    今の野党に経済政策を仕込むより現政権に社会保障制度を手厚くさせるほうがハードル低いような気がする。保守支持層も読むべき。

    2023年4月現在の物価高が始まっている環境でどこまで緩和政策が続けられるのか、緊縮が始まったタイミングが野党の攻め時。

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    2023年04月05日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    岸田内閣が発足し総選挙が行われることになった。岸田内閣に期待すること、あるいは、衆院選の論点として考えるべきこと、という内容で、日本経済新聞が朝刊に連載をしているが、今日の朝刊のテーマは「成長か分配か。まずは成長を優先すべき」という内容のものであった。

    本書は、ブレイディみかこさんと、経済学者の松尾匡氏、社会学者の北田暁大氏の対談で構成されている。発行は2018年5月のことなので、今から3.5年前のことであり、岸田内閣はもとより、菅首相の前の安倍首相、経済政策で言えばアベノミックス時代の発行である。
    本書の大きなテーマの一つは、書名にもなっているが、日本の左翼・左派に対して疑問を呈する、とい

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    2021年10月16日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    ネタバレ

    「年収1000万円以下所得税免除」「消費税5%」=某野党の公約。本書が出された2018年からは大きな進歩。しかし、「プライマリーバランス」は”凍結”で、「消費減税」は時限的。両方とも廃止でよいではないか?英国でも労働党ブレア政権が緊縮だったが、現党首コービンは反緊縮で票を伸ばした。他の欧州各国も似たような動き。レフト2.0から3.0への進化とされる。米国で労働者の票を逃したクリントンに学んだバイデン政権。安倍一強に学べない野党。理想の啓蒙よりも目の前の暮らし。まだまだ本書に手にして欲しい左派がいる。

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    2021年10月11日
  • 社会学はどこから来てどこへ行くのか

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    現代社会学を巡る3つの潮流である質的調査・量的調査・理論をそれぞれ代表する社会学者に、どちらかというと社会思想史の研究者としての色合いが濃い稲葉振一郎を加え、それぞれの鼎談によって構成された一冊。

    社会学に対して多少なりとも興味関心がある人でないと全く面白く感じない本だとは思うが、登場する社会学者はみな、現代の日本の社会学におけるトップクラスの論客たちであり、知的な刺激は大いに得られる。

    大きく印象に残ったのは2点。
    北田暁大氏については私が大学生だったときから既に若手論客として名を馳せており、何の本に収められた論考だったかは全く忘れてしまったのだが、「社会的な問題にコミットする」という姿

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    2021年06月20日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    英国在住のライター・コラムニストブレイディみかこと、慶座学者の松尾匡、社会学者の北田暁大による、左派視点での経済談義。

    本書を読むまでは、緊縮財政はしょうがないよね~、プライマリーバランスは大事だよね~、などをうすぼんやりと信じていたが、本書を読んでそれらが必ずしも正しくないことを知った。

    学者2名の知識量が膨大なため、ときどき言っていることについていけなくなったが、それを差し引いても再分配と経済成長は対立しない、や左派、右派という視点だけでなく、上か下かのの視点を忘れてはいけない、等の提言は非常に腹落ちした。

    本書の著者たちと、右派経済の論客の人たちで討論し、それぞれの主張とそれらに対

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    2020年12月19日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    経済、つまりどうやって食べていくか、がまず大事なことなのだということを考えさせてくれる。グラスルーツとか地べたというけどさ、理念うんぬんよりもまず食べていく不安をどうするのか。ナチスが支持率では決して高いわけじゃなかったにもかかわらず、強くなったのは、食べていくことへの不安になんとかしてくれるという信頼を勝ち得たからだ、という。そしてそれは現代においても、見られる話でね。

    右とか左とかわかんないけど、面白かったな。自分が右か左かなんて、わかんないし、どうでもいい。ただ、生活していかなくてはいけない以上、いろいろ考えることは必要だよな。

    ふだん見過ごされているような人たちに対して、何を求めて

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    2020年05月20日
  • 社会学はどこから来てどこへ行くのか

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    凄いボリュームの本なので圧倒されてしまいますが、頑張って読んでみて欲しい本です。岸政彦さんの文章から感じるやさしさが好きで、それがいったいどこからきているのか少しわかった様な気がしました。

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    2020年03月24日
  • 社会にとって趣味とは何か 文化社会学の方法規準

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    最初のブルデューについての説明が詳細である。しかし、それ以降の分析について、特に数量的な分析については突っ込みどころ満載なので、学生が卒論を書く場合に、この論文に不足するところを論文とすることができよう。その意味では、卒論を書くためのいい素材となるであろう。

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    2020年02月29日
  • 社会学はどこから来てどこへ行くのか

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    社会学を専攻していないとわからない”雰囲気”はあるものの,問題の骨子は刺激的。

    たとえば,事例研究における代表性をどう考えるか?というトピックは社会学だけに留まらないであろう。

    対話記録であるため,会話感覚で読めるのも本書の良いところ。サクサク読めてしまう。

    しかし,内容の深みはあるので,しばらく知識をつけた後に読み返すと,また違った感想を抱くような気がする。

    ちなみに,著者らの情報量(知識)がすごすぎて圧巻,もっと勉強しなければと思わされました。

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    2019年04月17日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    「リベラルは自由や平等や人権を訴える金持ち。レフトは自由と平等と人権を求める貧乏人」とは著者の一人の英国人の夫が息子に言った言葉らしいが、支配層であるリベラルの意識がレフトから乖離し、経済成長に気を配らなくなったことが特に欧州の経済停滞の原因だというのが、著者たちの共通認識だ。

    経済政策を初め、安倍政権の政策に理由も示さず否定的コメントをするところはいかがかと思うが、それ以外は、欧州の実例を踏まえつつ、経済政策の変遷をまとめていて、参考になるし、ブレグジットやトランプ支持の背景がよくわかる。

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    2018年12月06日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    3人の論者が「反緊縮派」という立場から日本の取るべき経済政策について、議論した本。現代政治経に関心はあるけど知識がない私にとっては格好の入門書だった。現代の国際政治では何が起きているのか、旧民主党系のどこが問題なのか、安倍政権の長期化の要因とその問題とは何か、など現代政治の様々な問題について経済政策の観点から一定の見識が得られるし、彼ら「反緊縮派」の主張には説得力もある。ただし、現代政治経済の入門になるとはいっても著者たちの議論が、「反緊縮派」という特定の政治的立場に立ったものであることには注意が必要ではある。いずれにしても、この本は現代政治に関心のある人に真っ先に勧めたい良書である。

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    2018年11月14日