元木泰雄のレビュー一覧
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後白河天皇という人は、
歴代120人以上いる(伝説の域を出ない人を除いても100人以上)天皇の中で、
非常に個性が強い人の一人じゃないでしょうか。
ベスト3に入ると思うんですよ。
(一人は後醍醐天皇、もう一人は白河天皇か光格天皇か…。)
で、同時代に生きたこれまた個性が光る平清盛。
二人がある意味では引き立てあってたにかもしれません。
二人を軸にそこに関わる重要人物、
平重盛や藤原信頼、藤原成親などを描いていく。
当時の武士と貴族の関係も含め、
定説とはやや異なる新しい平安時代末期の姿が、
この本を読むと浮かび上がってきます。
決して二人を英雄視するのでもなく、卑下するのでもなく、
淡々と書 -
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河内源氏は本格的武士政権の創始者・源頼朝を生んだことで、
一貫して源氏の嫡流だったという印象を多くの人が持っているのではないでしょうか。
しかし、それは結果から見た歴史でしかありません。
頼信の時代には頼光ほかの兄弟がいましたし、
義家にも義綱がいました。
平家と違い、血で血を洗う争いが耐えないイメージがある源氏ですがまさにその通りで、
嫡流を争う骨肉の争いがあったのです。
頼朝が叔父や弟たちを攻め滅ぼしたのも、
そんな嫡流をめぐる争いの一つに過ぎないのでしょう。
この本は、決して源氏の嫡流が一本の太い線で受け継がれてきたようなものではなく、
その中に様々なドラマがあったことを教えてくれます。 -
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清盛を盟主とする平氏政権についての本書のキーワードが「複合権門」、貴族と武士が一体化した勢力。
・後白河法皇幽閉という非常手段まで講じて独自の王権(高倉・安徳)を擁立したことは以仁王以下の反発を招いた。
・厳島神社の重視は、権門寺院との対立を招いた。
・知行国支配における家人の重視は他の武士団に対する圧力となり、反平氏の動きを全国に拡大する結果となった。
このように、王権も武力も内包した複合権門平氏政権の台頭により、多くの敵対勢力に対峙することを余儀なくされ、治承・寿永の内乱に突入していったと著者はする。
ifを言っても詮方ないが、清盛が生きていたら源平の戦いはどうなっていただろ -
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≪目次≫
はじめに
第1章 河内源氏の成立
第2章 東国と奥羽の兵乱
第3章 八幡太郎の光と影
第4章 河内源氏の没落
第5章 父子相克
第6章 河内源氏の壊滅
むすびー 頼朝の挙兵
≪内容≫
「河内源氏」は一般に言うところの「清和源氏」のことである。通説とは違う河内源氏の各世代の棟梁を詳説している。特に義家、義朝の話は面白かった。
著者のいう、武士も貴族の流れであり、当時の支配層に臣従するなかで、特に受領、地頭として生活をしていることと、平安後期から院政期の政治的流れ(戦乱など)に翻弄されていった様子がよくわかった。これを授業に取り入れるのは、ちょっと大変だが…