瀧井一博のレビュー一覧

  • 明治国家をつくった人びと

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    ・幕末の福沢諭吉、玉虫左太夫、ジョセフ・ヒコ等の欧米・ハワイ王国でのconstitution(国制)の感得。
    ・幕末・明治の伊藤博文等の国制の感得。シュタインは福沢の時事小言の国制・行政二元論を評価
    ・井上毅の天皇親政絶対論vs伊藤の「行政権ハ帝国内国ニ於イテ統一ス」
    ・「(天皇)は日本国をrepresent(表彰す)by伊藤~対外的表象であり、国民統合の象徴


    ・合衆国は、まずは合・衆国=連邦United States であり、合衆・国=共和国

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    2025年05月16日
  • 大久保利通―「知」を結ぶ指導者―(新潮選書)

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     著者の瀧井氏は10年以上も前に伊藤博文を「知」の政治家としてとらえて中公新書に上梓したが、本書はその「知」を誰から、どのようなものとして継承したのかを明らかにした書といえる。
     それは攘夷という狂乱の騒ぎの中で福沢を始めとする洋学の徒が説いた近代的な意味の「公」publicという観念を大久保や木戸も倒幕の嵐を潜り抜けるうちに体得し、それがあってはじめて尊皇攘夷の薩長が新政府になると尊皇開国に転じて文明開化の新政府を演ずるという曲芸もどきの大転換ができたのだろう。
     たいへんな労作である。

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    2023年02月18日
  • 伊藤博文 知の政治家

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    伊藤博文による政治とその再評価をするための本。

    これまでの歴史的な評価だと伊藤ってわりと一貫性のない、フレキシブルな(っていうと聞こえがいいけど、まあ尻の座らない)政治家というイメージで語られがちですよね。
    でも作者によると実はさにあらず。
    伊藤の頭の中には、世人の計り知れない深慮遠謀があった!
    つまり、(現時点では政党政治とか無理だけど、いずれは実践していくべきだよね)とか(軍部の権限をできるだけ制御して、内閣中心の政治をおこなっていくつもりだけど、軍部と話し合いしてある程度お互いに妥協するのも大事だよね)とか・・
    漸進的で平和主義的な伊藤らしい政治のかじ取りの仕方だと思います。
    そういう

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    2016年03月29日
  • 伊藤博文 知の政治家

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    ブックファースト渋谷文化村通り店で
    購入しました。
    (2014年4月26日)

    ちょっとだけ読もうと思ったら、
    読み始めてしまいました。
    いやあ、大分読んだな、と思って
    ページ数を見たら、まだ14ページ目です。
    だけど。
    この本は、濃い。
    素晴らしい。
    (2014年4月26日)

    「思想家」としての伊藤博文を堪能しました。
    (2014年5月24日)

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    2014年05月24日
  • 伊藤博文 知の政治家

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    これまでの研究史を十分踏まえた上で、著者は、これまでとはまったく逆の伊藤博文評価を試みている。やや伊藤を持ち上げすぎのようにも感じたが、一次資料に依拠した非常にすぐれた分析であり、説得力があった。

    副題にもある通り、伊藤を「知の政治家」としてとらえる視点は、韓国統監としての植民地統治の場面にも一貫している。ややもすると伊藤のような政治家は、その行動面だけで変節だとか妥協だとかいう説明がされやすいのだが、あくまで思想・理念をもった人物として描ききっているところが挑戦的でもあり、久々に知的興奮をともなう読書であった。

    途中、やはり知の巨人である福澤の顔が何度もちらついたが、最後に著者は、「(伊

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    2011年03月09日
  • 伊藤博文 知の政治家

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    明治初期の政党政治のプレイヤーとして大隈重信や板垣退助が名高いが、その政党政治の制度設計をしたのが伊藤博文という印象。立憲政友会を作りプレイヤーとしても参加しているが、高い理想と現実の政局のギャップに苦しみ、党運営はあまり上手くいかなった。
    滞欧憲法調査を経て、大隈重信ら在野の知識人や井上毅ら政府内の知識人を凌駕するほどの立憲制についての見識を得た。まさに副題のとおり、知の政治家である。

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    2025年01月25日
  • 増補 文明史のなかの明治憲法 ──この国のかたちと西洋体験

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    現在は英米法が大陸法に対して圧倒的に優位だ。
    本書で明治14年の政変を知ったが、もし政変がなければ日本はもうちょっと英米法寄りになっていたのだろうか。それとも大隈重信は政党政治にのみ関心があり、法制度としての英米法には無関心だったのだろうか。
    誰か解説してほしい。

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    2024年07月07日
  • 伊藤博文 知の政治家

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    国造りの難しさを感じた。伊藤はやはり胆力のある政治家だったのだなと思う。彼は主知主義の理想家だったが、漸進主義で譲歩もたくさんしている。それが、彼の一貫性のなさにも見えるが、基本路線として、文明化し国を豊かにし、国民に安全な生活を提供したいという考えがあったように思う。知識の吸収にも貪欲だったシュタインとの出会いは大きかったものと思われる。
    福沢諭吉や大隈重信のような自由主義、政党政治のような理想は、現代からみればそちらの方が主流だけれども、江戸幕府が終わってすぐの混とんとした状況の中で、ある程度の強い権力を保持し、国民統合の象徴としての天皇をおき、徐々に政党政治を取り込もうとしていったのは、

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    2023年03月21日
  • 大久保利通―「知」を結ぶ指導者―(新潮選書)

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    衆に動かされない、ある意味真っ直ぐな人として浮かび上がらせる視座からの本。違う見方もあるだろうとは思うが、木戸孝允への態度などはこのような見方からすんなりと頷ける

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    2023年01月02日
  • 大久保利通―「知」を結ぶ指導者―(新潮選書)

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    これまで強権的な冷酷なリアリストと評価されてきた大久保利通を、「羊飼いとしての指導者」たる、知識の媒介者としての政治家であったと実証的に描く。
    大久保利通を通して幕末維新の政治史の理解が深まった。大久保利通日記など随所でナマの史料が引用されていて、説得性があった(本文には史料の現代語訳が記載され、註でその原文もつけるという形式が多用されていたが、とても丁寧なつくりだと思った)。
    伊藤博文が漸進主義者だとの認識はこれまでも持っていたが、大久保利通こそ明治政府の漸進主義の淵源であったとの認識を新たにした。近代日本でまがりなりにも立憲制が定着したのは、大久保や伊藤の漸進主義的方針の賜という面が少なか

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    2022年12月25日
  • 伊藤博文 知の政治家

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    明治元老の中で、多大な功績をあげたにも関わらず、比較的低い評価をされているように見える伊藤博文の実像を探る書。 朝鮮総督を務め、暗殺の憂き目にあったためか、正当な評価をされていない、色眼鏡をかけた研究が多い、筆者は感じており、おもに本人の言行を含む当時の一次資料を元に、伊藤の実像を分析している。松下村塾での、吉田松陰の伊藤に対する評価は必ずしも高くはなかったが、高杉新作の功山寺挙兵、英国への密航留学、語学を生かした明治新政府での対外折衝、憲法制定の主導、議会制民主主義への移行の企図等、当時の日本の近代化に多大な影響を与えたのは間違いがない。初期には早急であった改革への行動も、時流を見極めての漸

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    2016年04月29日
  • 伊藤博文 知の政治家

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    初代内閣総理大臣である伊藤博文の,生涯に渡る政治と「思想」を緻密に追った新書.本文全343頁とかなりボリューミーだが,幕末〜明治中期の政治を中心とした時代変遷をたどるには十分な分量である.

    内容は,大きく分けて以下のとおり
    渡欧・渡米での文明との出会い(~1873, M6),明治憲法制定まで(~1889, M22),立憲後(1899, M32),立憲政友会設立(1900, M33),憲法改革(1899~1907, M40),清末革命(1898, M31),韓国総監(1906~1909, M39~M42)
    明治時代の立憲政治の確立に関しては 1~3章に伊藤の考え方や,そのきっかけが描かれている

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    2015年01月14日
  • 伊藤博文 知の政治家

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    伊藤博文を国家制度構築の高いビジョンを持った
    思想家として見た評伝。
    そのビジョンは極めて理想的であるが、
    残念ながらそれは日韓両国で失敗し、
    かつ現時点においても成功しているとは言い難い。

    本自体は分かりやすく書かれており
    伊藤の行動を説明づけるものとしては納得がいくもので、興味深い。
    一点あえて疑問に感じた点をあげるとすれば、
    伊藤博文ほどの人間がナショナリズムに理解が薄かったとは
    考えにくいのではないかとも思う。

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    2014年01月12日
  • 伊藤博文 知の政治家

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    筆者が15年の歳月をかけた研究の集大成的な新書。伊藤博文ビギナーの自分にとってはいきなりのフルコース。伊藤博文は、ひろーい幅の(何色も色をもちうる)思想をもって、うまくその時代時代の政治家や知識人と手を結び、明治憲法制定、政友会、韓国統監と渡り歩いたのだというイメージを得た。幅がとても広いだけに節操がない、政治家としての理想がないとの評価をまま受けるそうだけれども、この本は、伊藤博文には理想がないわけでなく、その理想がひじょーに柔軟であるがゆえだということを明らかにしたものと理解した。そして、一般に言われているらしい図に乗りやすいというかお調子者みたいな人物像の一方で、この本がテーマにしている

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    2013年12月23日
  • 明治国家をつくった人びと

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    ネタバレ

    「明治国家」をつくりあげていった人たち、明治天皇、伊藤博文、井上毅などをはじめ官僚が学んだドイツやオーストリアの法学の先生…どうやって明治国家という枠組みが出来上がって、それを肉づけていったか。
    それを法学、憲法、教育、明六社などの組織を通じて描かれています。

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    2013年10月12日
  • 伊藤博文 知の政治家

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     本書では「伊藤博文」を「知の政治家」と高く評価している。
     明治の著名な政治家である「伊藤博文」については様々な評価があるが、本書はその中でもプラスに評価している最右翼の本であると思った。
     とにかく「伊藤博文」の政治活動を現在から見てもわかりやすく考察している。
     そもそも明治期の「政治情勢」はわかりにくい。「憲法」や「政党」が政治の中心にある現在から、それが存在しない当時の政治風景をみても理解しにくいのだ。
     「大隈重信」が失脚した「明治14年の政変」にしても、どのような政治主張の違いがあったのか。
     国会開設が2年後と9年後との主張の違いがなぜ国を揺るがすような争いになったのだろうかと

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    2013年06月01日
  • 伊藤博文 知の政治家

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    ネタバレ

    これまで,伊藤博文といえば良いイメージの評価が少ない政治家であった。著者曰く「戦前の日本の韓国支配をシンボライズする人物」としても捉えられてきた。

    だが,著者は伊藤の演説等の詳細な分析を通じて,その思想を浮かび上がらせ,伊藤が知を媒介とした漸進的な秩序形成を試みていたとし,再評価をしている。

    特に,伊藤が韓国統治を本国の憲法改革と連動して捉えていたとの指摘は興味深かった。

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    2011年10月11日
  • 伊藤博文 知の政治家

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    幕末維新期、若くして英国に留学、西洋文明の洗礼を受けた伊藤博文。
    明治維新後は、憲法を制定し、議会を開設、初代総理大臣として近代日本の骨格を創り上げた。
    だがその評価は、哲学なき政略家、思想なき現実主義者、また韓国併合の推進者とされ、極めて低い。
    しかし事実は違う。
    本書は、「文明」「立憲国家」「国民政治」の三つの視角から、丹念に生涯を辿り、伊藤の隠された思想・国家構想を明らかにする。

    [ 目次 ]
    第1章 文明との出会い
    第2章 立憲国家構想―明治憲法制定という前史
    第3章 一八九九年の憲法行脚
    第4章 知の結社としての立憲政友会
    第5章 明治国制の確立―一九〇七年の憲法改革

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    2011年04月06日
  • 伊藤博文 知の政治家

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    ・伊藤博文が単に何を為したか、という事実の羅列だけでなく、彼の行動における政治思想を記されていることから、読んでいても頭の整理がつく。
    ・明治時代に、新たに政治の枠組み、制度を創る立場にある政治家として、当然のことながら自らの軸をはっきりと有していた。
    ・理想を追うだけでなく、現実、詰まり、実効性を念頭に置いてきたところが伊藤博文を大政治家とする所以だろう。
    ・先ずは行政力を高め、その為に教育を重視し、帝国大学を創設した点は、伊藤が近代日本の礎を築いたといっても過言ではない。名実共に大久保利道を志を継いだのだろう。

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    2011年03月21日
  • 伊藤博文 知の政治家

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    2010年度・サントリー学芸賞受賞。伊藤の考えていた政友会のかたちについて頁を割かれることが多かったので興味を引きました。政友会の時代への対応が気になっていたので、創立時には何を期待されていた党だったのか知る一つの手がかりになりました。
    やや伊藤ヒイキ気味に感じる部分もありますが(※伊藤の甘さもちゃんと指摘されてはいます)これも一つの解釈として参考にしたいと思います。

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    2011年02月14日