瀧井一博のレビュー一覧

  • 大久保利通―「知」を結ぶ指導者―(新潮選書)
     著者の瀧井氏は10年以上も前に伊藤博文を「知」の政治家としてとらえて中公新書に上梓したが、本書はその「知」を誰から、どのようなものとして継承したのかを明らかにした書といえる。
     それは攘夷という狂乱の騒ぎの中で福沢を始めとする洋学の徒が説いた近代的な意味の「公」publicという観念を大久保や木戸...続きを読む
  • 伊藤博文 知の政治家
    伊藤博文による政治とその再評価をするための本。

    これまでの歴史的な評価だと伊藤ってわりと一貫性のない、フレキシブルな(っていうと聞こえがいいけど、まあ尻の座らない)政治家というイメージで語られがちですよね。
    でも作者によると実はさにあらず。
    伊藤の頭の中には、世人の計り知れない深慮遠謀があった!
    ...続きを読む
  • 伊藤博文 知の政治家
    ブックファースト渋谷文化村通り店で
    購入しました。
    (2014年4月26日)

    ちょっとだけ読もうと思ったら、
    読み始めてしまいました。
    いやあ、大分読んだな、と思って
    ページ数を見たら、まだ14ページ目です。
    だけど。
    この本は、濃い。
    素晴らしい。
    (2014年4月26日)

    「思想家」としての...続きを読む
  • 伊藤博文 知の政治家
    これまでの研究史を十分踏まえた上で、著者は、これまでとはまったく逆の伊藤博文評価を試みている。やや伊藤を持ち上げすぎのようにも感じたが、一次資料に依拠した非常にすぐれた分析であり、説得力があった。

    副題にもある通り、伊藤を「知の政治家」としてとらえる視点は、韓国統監としての植民地統治の場面にも一貫...続きを読む
  • 伊藤博文 知の政治家
    国造りの難しさを感じた。伊藤はやはり胆力のある政治家だったのだなと思う。彼は主知主義の理想家だったが、漸進主義で譲歩もたくさんしている。それが、彼の一貫性のなさにも見えるが、基本路線として、文明化し国を豊かにし、国民に安全な生活を提供したいという考えがあったように思う。知識の吸収にも貪欲だったシュタ...続きを読む
  • 大久保利通―「知」を結ぶ指導者―(新潮選書)
    衆に動かされない、ある意味真っ直ぐな人として浮かび上がらせる視座からの本。違う見方もあるだろうとは思うが、木戸孝允への態度などはこのような見方からすんなりと頷ける
  • 大久保利通―「知」を結ぶ指導者―(新潮選書)
    これまで強権的な冷酷なリアリストと評価されてきた大久保利通を、「羊飼いとしての指導者」たる、知識の媒介者としての政治家であったと実証的に描く。
    大久保利通を通して幕末維新の政治史の理解が深まった。大久保利通日記など随所でナマの史料が引用されていて、説得性があった(本文には史料の現代語訳が記載され、註...続きを読む
  • 伊藤博文 知の政治家
    明治元老の中で、多大な功績をあげたにも関わらず、比較的低い評価をされているように見える伊藤博文の実像を探る書。 朝鮮総督を務め、暗殺の憂き目にあったためか、正当な評価をされていない、色眼鏡をかけた研究が多い、筆者は感じており、おもに本人の言行を含む当時の一次資料を元に、伊藤の実像を分析している。松下...続きを読む
  • 伊藤博文 知の政治家
    初代内閣総理大臣である伊藤博文の,生涯に渡る政治と「思想」を緻密に追った新書.本文全343頁とかなりボリューミーだが,幕末〜明治中期の政治を中心とした時代変遷をたどるには十分な分量である.

    内容は,大きく分けて以下のとおり
    渡欧・渡米での文明との出会い(~1873, M6),明治憲法制定まで(~1...続きを読む
  • 伊藤博文 知の政治家
    伊藤博文を国家制度構築の高いビジョンを持った
    思想家として見た評伝。
    そのビジョンは極めて理想的であるが、
    残念ながらそれは日韓両国で失敗し、
    かつ現時点においても成功しているとは言い難い。

    本自体は分かりやすく書かれており
    伊藤の行動を説明づけるものとしては納得がいくもので、興味深い。
    一点あえ...続きを読む
  • 伊藤博文 知の政治家
    筆者が15年の歳月をかけた研究の集大成的な新書。伊藤博文ビギナーの自分にとってはいきなりのフルコース。伊藤博文は、ひろーい幅の(何色も色をもちうる)思想をもって、うまくその時代時代の政治家や知識人と手を結び、明治憲法制定、政友会、韓国統監と渡り歩いたのだというイメージを得た。幅がとても広いだけに節操...続きを読む
  • 明治国家をつくった人びと
    「明治国家」をつくりあげていった人たち、明治天皇、伊藤博文、井上毅などをはじめ官僚が学んだドイツやオーストリアの法学の先生…どうやって明治国家という枠組みが出来上がって、それを肉づけていったか。
    それを法学、憲法、教育、明六社などの組織を通じて描かれています。
  • 伊藤博文 知の政治家
     本書では「伊藤博文」を「知の政治家」と高く評価している。
     明治の著名な政治家である「伊藤博文」については様々な評価があるが、本書はその中でもプラスに評価している最右翼の本であると思った。
     とにかく「伊藤博文」の政治活動を現在から見てもわかりやすく考察している。
     そもそも明治期の「政治情勢」は...続きを読む
  • 伊藤博文 知の政治家
    これまで,伊藤博文といえば良いイメージの評価が少ない政治家であった。著者曰く「戦前の日本の韓国支配をシンボライズする人物」としても捉えられてきた。

    だが,著者は伊藤の演説等の詳細な分析を通じて,その思想を浮かび上がらせ,伊藤が知を媒介とした漸進的な秩序形成を試みていたとし,再評価をしている。

    ...続きを読む
  • 伊藤博文 知の政治家
    [ 内容 ]
    幕末維新期、若くして英国に留学、西洋文明の洗礼を受けた伊藤博文。
    明治維新後は、憲法を制定し、議会を開設、初代総理大臣として近代日本の骨格を創り上げた。
    だがその評価は、哲学なき政略家、思想なき現実主義者、また韓国併合の推進者とされ、極めて低い。
    しかし事実は違う。
    本書は、「文明」「...続きを読む
  • 伊藤博文 知の政治家
    ・伊藤博文が単に何を為したか、という事実の羅列だけでなく、彼の行動における政治思想を記されていることから、読んでいても頭の整理がつく。
    ・明治時代に、新たに政治の枠組み、制度を創る立場にある政治家として、当然のことながら自らの軸をはっきりと有していた。
    ・理想を追うだけでなく、現実、詰まり、実効性を...続きを読む
  • 伊藤博文 知の政治家
    2010年度・サントリー学芸賞受賞。伊藤の考えていた政友会のかたちについて頁を割かれることが多かったので興味を引きました。政友会の時代への対応が気になっていたので、創立時には何を期待されていた党だったのか知る一つの手がかりになりました。
    やや伊藤ヒイキ気味に感じる部分もありますが(※伊藤の甘さもちゃ...続きを読む
  • 伊藤博文 知の政治家
    読めるところだけ読みました^^;
    世間的にはともかく、アカデミズムでも低評価なのか・・・。
    確かに伊藤はもっと評価されていい人物だと思う。

    司馬遼太郎の「世に棲む日々」を読んでいる限り、俊輔(伊藤博文)の評価は司馬遼好みのタイプではないにせよ、けして低くないと思うんだけどなあ~。
  • 明治史講義【グローバル研究篇】
     本書は、2018年12月に国際日本文化研究センターの主催した「世界史のなかの明治/世界史にとっての明治」と題した国際シンポジウムにおいて議論されたペーパーを中心として編まれたものとのこと。
     日露戦争の勝利が西洋列強に圧迫されていた非西洋諸国に希望を与え、日本の近代化=明治維新に関心が持たれたとい...続きを読む
  • 大久保利通―「知」を結ぶ指導者―(新潮選書)
    司馬遼太郎の大久保利通観というか、単なる私自身の偏った見方という方が正しい気もするが、大久保利通に対して、実行力や交渉力のある知的で理性的な存在として思い込んでいた。それが本著を読む事で揺らぐ。

    一例として、岩倉具視の大久保評。
    木戸は先見あるも、すねて不平を鳴らし、表面に議論をせず、陰に局外の者...続きを読む