魔法の都とよばれる都市マジェイアにストレーン山脈を越えてグリモアからアダムという青年がやってきます。
アダムはマジェイアの手品師や奇術師が加入する魔術師名匠組合に加入する試験を受けるつもりでした。
百人の魔術師が受けて合格するのは3名のみ。
そこでアダムはマジェイアの市長にして魔術師の統領のロベー
...続きを読むルの娘で11歳のジェインと知り合い仲良くなります。
ロベールは息子のピーターを後継ぎにしようと可愛がりジェインのことは放っておいていました。
そしてアダムは無二無双ニニアンという下手くそな魔術師を助けてやります。
その時の魔術があまりにも鮮やかでロベールはアダムに手品の種を教えて欲しいと言い出します。
しかしアダムがやっているのは、魔術(手品)ではなく、どうも本物の魔法使いではないかという噂になってきます。
アダムはジェインとニニアンとものいう犬のモプシーとピクニックに出掛けてジェインに語ります。
「わからないかいジェイン。われわれのまわりには魔法がみちみちてるってことが。(中略)牝牛はこれをミルクに変えることができるんだ。そのミルクからクリームやバターやチーズができて、われわれがそれを食べたり飲んだりして大きくなるんだ」
「にわとりは偉大な手品師だよ。割った卵をもとへ戻すことならぼくにもできるがね。しかし卵を一つでも生み出すことはできやしない」
「それからまだひとつ、のこっているものがある」
「それはきみの魔法だ」
「眼をつむってごらん」
「さあ、どこか他の場所のことを考えるんだ。ーまえに行ったことのある、楽しかったところをいってごらん」
「海辺だわ!とてもよかった」
「きみはいま海辺にいる。そうだろう?」
「そうよ」
「じゃあ、眼をあけろ!」
「さあ、もうこうしてここにいる。けれどもたったいま、何百マイルも旅行に行ってきたんだ」
「何もかもこの中につまっているんだよ」
アダムは長い指で彼女の額にそっとふれた。
このシーンが一番、印象的でした。
以下、ネタバレですが、試験日に天井から金貨を降らせて悪い魔術師の手から逃れてそのままモプシーとともにいなくなってしまったアダム。
13歳になったジェインはばったり出会ったニニアンとともにアダムを探しにいこうとしますが、ジェインはあのピクニックの日の魔法を思い出しいくのを思いとどまります。