夏石鈴子のレビュー一覧
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題名だけ見ると「ええっ?!」と思うような本ですが、決して官能小説やポルノではありません(笑)
夏石さんのエッセイ「きっと、大丈夫」のほうを先に読んだのですが、エッセイを読んでからこの小説が読みたくて読みたくて仕方ありませんでした。
でも、この小説はエッセイが出る3年前に出された本です。
注文しようかどうしようか迷っていたら、その後すぐ、角川書店から文庫本で出版されたのです!
とてもうれしかったです。
今まで、自分はどんな恋愛をしてきたんだろう、人を好きになるって、本当はこういうことなんだよ。
自分を大事に出来るからこそ、相手にも思いやりが持てる。
自分を大事にできるってすばらしいこと。
そん -
Posted by ブクログ
夏石さんの作品を夏石さんと言う意識で読む最初の作品です。以前に「新解さん」と言う「新明解国語辞典」のユニークさを紹介した本を読みました。
あの本の視点をもっている夏石さんの「いらっしゃいませ」は出版社の受付係りとして配属された新人・鈴木みのりのお話です。この鈴木みのりの視点で書かれていることこそ、夏石さんの視点なんだろうと楽しみながら読むことが出来ました。案の定、解説では鈴木みのりは、彼女自身であると同期の白石さんが書かれています。鈴木みのりの新入社員としての初々しさと持ち前の正義感が気持ちいい作品です。
ちなみに、この本の表紙のイラストと言うか絵がなかなかほのぼのしていいものです。受付の絵 -
Posted by ブクログ
夏石鈴子は、みんなちょっと心の隅に持ってはいるけど、口にするとちょっと恥ずかしい感情をすくい取るのがうまい。本書もそう。
いろいろな奥様の、口に出しては言えない、だけど小説という形でコッソリ覗いてみると「そうそう、いけないとは思いつつ、そう感じちゃう」がずらり。
しかも、ある短編の登場人物が別の短編に「わかってくれない他人」として登場して、両方に共感してしまう、という離れわざ。
相田みつをの「いいじゃない、人間だもの」に通じる「ダメさを抱えた人間という存在」への愛が感じられる。
あとがきで著者の壮絶な結婚生活(の破綻)の顛末が書かれているけど、良し悪しかも。そんなひどい人、もっと早く別れればよ -
Posted by ブクログ
【本の内容】
楽しいかどうかなんて重要じゃない。
会社で働く女の子にとって必要なのは、つまらないことも我慢できること、そして、その我慢のなかでも何かを忘れないことではないか―。
短大の英語科を卒業後、出版社の受付に配属されたみのり。
初めての経験で戸惑うことばかりの毎日を過ごしながらも、持ち前の正義感でみのりは社内に新風をもたらしていく。
初心で胸を膨らませた新入社員と、初心を忘れたかつての新入社員へ贈る、初めての受付嬢小説。
[ 目次 ]
[ POP ]
会社のことについて、というか懸命に仕事をする人間について書かれた小説はおもしろい。
恋愛に夢中になるのは簡単な気がするが、 -
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ちんちんの短編集。
おちんちんは本当にわかりやすい。わたしのことを思って、わたしとしたいと思って大きくなっているおちんちんは、いつだってわたしの胸を打つ。かわいくって、ぐっとくる。まるで、しっぽを振りっぱなしのバカな犬みたいだ。
ばかばかしくて愛おしい、肌と肌を合わせる感覚。好きな人を喜ばせてあげられる、自分の、女の体がうれしい。山田詠美から「こんなにいいセックスをしている私はいい女でしょ」感を抜いた感じとも。山田詠美はこのジャンルの「切り拓いた者」だからあれでいいんだけども。
スピリチュアルな切り口から身体性に辿り着く田口ランディと、フィジカルな話が精神性と地続きな夏石鈴子。反転画