夏石鈴子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「初心で胸を膨らませた新入社員と、初心を忘れたかつての新入社員へ贈る、初めての受付嬢小説」という白石一文さんの解説の一文に惹かれて購入。ちなみに私は今のところ、前者の立場だろう。物語自体は淡々と、極めて淡々と日々の新入社員の目線での毎日が綴られて行く。短大を卒業して出版社の受付嬢になった新人さんの話、というそのまま。でも、今のこの社会に踏み出して行く時に持っている希望というか、やる気というか、そんな気持ちを会社に入っても忘れないままでいたいな、そんな風に思わせてくれる作品だった。作中にもこんな言葉もあるからね。「会社で働く女の子にとって必要なのは、つまらないことも我慢できること、そして、その我
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Posted by ブクログ
出版社に入社し、受付嬢をすることになる新入社員みのりの目を通して、仕事とは何ぞや?ということが淡々と描かれる。一流の出版社に入社しても仕事とは楽しい、面白いことばかりではなく、『つまらないことでも我慢できること、そしてその我慢のなかでも何かを忘れないことではないか』とみのりは思うのだけれど、やせ我慢のように思うのではなく、例えばものを書く仕事も受付嬢も、事務の仕事も全てが相対化されている。その相対化のされかたがさすが、夏石鈴子さん!という感じ。ただ、若い女性でこんな風に思える人は少ないだろうなあと思わされるが、やはり仕事の対象(会社の内の人間や、人ではなくものであっても)に素直に向き合って、い