これは先の凛子や詩月の話と比べると、真琴達にはどうにか出来る余地のある問題。けど、プロミュージシャンを納得させるわけだから、実際にどうにか出来るかは別問題
ここで活きてくるのは朱音の詩作か。朱音は詩を作る上で「I need you」をどう訳すかを悩んでいた。この言葉の対象が誰であるか、何であるかは読者にとっては明瞭なのだけど、物語としても真琴としても不明瞭なまま。すると、真琴にとっての「I need you」の対象である美沙緒の話題になって、当然朱音はより真琴から必要とされたいとの想いを強くする事になって…
この必要とされたいとの感覚は双方向のものだね。勘違いしている真琴は当然として、不要と言われた朱音達にとっても互いを必要としている。このような感情から、PNOはバンドという形をしている事で楽園に成るわけではなく、あの4人で成立している事で楽園としても成立しているのだと見えてくる
そうこうしている内に真琴の中でキョウコを倒すという感覚が優先度の低いものになっていく様は印象的。キョウコから戦力外通告された事もバンドを解体されそうな事も腹が立っている。けれど、キョウコに認められたいとかそういう想いは何処かに置いてきてしまった
真琴が音楽を届けたい「たったひとり」、それはあの瞬間において間違いなくPNOの為だったのだろうなと思ってしまうよ。真琴にとっての居場所であり、凛子も詩月も朱音も居る居場所。そしてあの曲の詩を書いたのが朱音であるならば、朱音に最も届けたい歌となって
それを思えば、朱音が最後に告げたかもしれない言葉が「I love you」ではなく「I need you」に連なる言葉であるだろうと思えば、真琴の歌はきちんと朱音に届いたのだろうと思えるよ