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Posted by ブクログ
形としては残らないが、人の心に残るサービスの職人たち9人の物語。
ふらりと販売店に入って来、場違いな雰囲気の20代前半の若者にも
「客」として接するロールスロイスの営業員。今はほぼ絶滅したと言って
もいい大型キャバレーのナンバーワン・ホステス。東京大空襲で焼け野
原となった東京で、阪神淡路大震災の被災地で、必死に電報を届けよう
とする配達人たち。
物作りでこそないが、彼等・彼女等には「職人」の心が生きている。
本書で取り上げられている東京都千代田区神田の天ぷら屋の2代目の
エピソードがいい。
父の店に弟子入りした2代目は婚約を期に、父から鍋前の花台を受け
継ぐ。ある日、昼食の天ぷら定食を食べいた常連客が血行を変えて
突進して来た。
「今日のかき揚げ、誰が揚げたんだ」
自分であると、2代目は蚊の鳴くような声で答える。すると常連客は
泣き出した。
「そうか、よかった。もう大丈夫だ。ずいぶん長い間、まずい天ぷらを
食わされたけど、やっと一人前になった」
客が店を育てた時代があったんだねぇ。ぐっと来るものがあったぞ。
気持ちが温かくなる1冊である。
Posted by ブクログ
職人や作家、芸術家などは歴史に名を残すが、サービス業におけるプロフェッショナルは中々に少ない。
しかし、人間が存在する限り、サービスの職人とも呼べる達人たちが存在する。
そんな斯界に名を馳せる九人の達人たちのノンフィクション。
明治や大正期から続く生業もあれば、時代の隆盛と共に消えたものもある。
2023年現在では、多くの仕事がAIに取って代わられている。また、かつては安い労働力をアジア諸国に求めていたが、今では日本の労働力が安くなり買われてる状態。
本作に登場する達人たちは替えが効かない存在だ。
それでも、どこか殿上人ではなく、彼らの存在が庶民の延長に感じられるのは人との繋がりを持つサービス業ゆえなのだろうか。
Posted by ブクログ
読む前に想像していたよりいい本だった。いわゆるビジネス系の安手の自己啓発本みたいなものかなと思っていたんだけど、各人の生い立ちなども紹介しながらその人ならではのサービスのありようを紹介している。
いってみれば、彼らは(……そう、彼らはであって彼女にあたる人は本書にはいない。おかまはいるけど)その道一筋の人たちであり、そういうのってけっこう男性的な感じがする。なぜなら、男はいろんなことをいっぺんにやるのがあまり得意でなく、一つことを突き詰めていくほうが向いている気がするから。
彼らにしてみれば功名心とかスキルとかいう意識でやっているのでなく、ただただやっている……というかそういうふうにしか生きられないのではないかしらん。だから効率的なスキルを紹介するばかりの安手な自己啓発本とは一線を画しているのかと。
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