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Posted by ブクログ
伊勢新九郎盛時(のちの北条早雲)、室町幕府政所官僚・伊勢家の所領・備中荏原(岡山県井原市)のイザコザを解決するために赴任して来て約1年、父親の盛定が政争に敗れて隠居した為、5巻目終わりにして正式に御領主になった。
今回手に入れた7巻目までは読み切ったのではあるが、6巻目の感想を書いているのは、先日井原市荏原(えばら)への旅を敢行した為である。7巻目にそれをリポートしたい。これによって、若干16歳の領主新九郎の地方所領経営の大変さと巧みさ、大人の対応、青年としての悩みなどが、リアルにわかるようになった。
例えば、6巻冒頭で新九郎が京都で伊勢家東荏原領主を拝命して帰ってくると、西荏原と元荏原地区支配者・那須一族との間に境目争いが起きていた。「那須のやつら、戸倉館の対岸の山中に砦らしきものを築いてやがる。やる気満々じゃねーか」と伊勢九郎盛頼(西荏原の名代)は言っている。解説はないけれども、私の調査によると戸倉にはもともと那須一族のお城があったし、現有那須の城・小菅城の真下なので、彼らが領有を主張しても、決して根拠なきことではないと推察仕る。
実際に荏原を回ると、確かに九郎盛頼が自虐するほどのド田舎なのである。平地に限れば、荏原地区は歩いて1日で回れるほどの土地に過ぎない。それでも、その土地を先祖代々守ってきた彼らにはそれなりの矜持がある。一方、300年前平家討伐の際の那須与一の功で土地をゲットした那須一族にも、矜持があるだろう。守るべき、統一した法律はない。しかしそれなりの秩序を作っている。中世は正にアウトローたちの時代なのである。
新九郎はどうしたか?戦はしたくない。無駄な血が流れるからである。よって、先ずはお寺の古文書を調べて戸倉が伊勢家所領であることを示した上で、京都のツテを利用して手打ちを斡旋する。お陰で、初恋の人を失うことにもなるわけだが‥‥。
登場人物の性格付けは、ゆうきまさみ色が強いものの、史実的にあり得ない展開は一切ない。リアルな中世絵巻。物凄く読み応え、見応えある作品である。
中世の人々、強かで賢い。おもしれーじゃねーか。
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