Posted by ブクログ
2019年07月11日
アドラーの心理学を高齢者の生き方に重ねた本。新しく聞いたことはあまりない。ダンスを踊るように生きるのが老人には一番。一本の直線と思ってはいけないという話が印象的。
「年をとってすっかり欲がなくなったという人もいます。この場合の無欲は、時として無気力という合併症を引き起こし、それが身体的な衰えを加速...続きを読むすることもあります。
理想からの減点法ではなく、自分が積み上げてきたことを加点法で評価する目を持つ(過去の自分を理想として見るのも同じこと)」
「時間や人生を一本の直線として捉えている。「あなたは今、人生のどのヘンにいますか?」と訊ねると、若い人は直線の視点に近い方を、年配の方であれば終点に近いほうを指す。
しかし、たとえどこかに到達しなかったとしても、そのプロセスの一瞬一瞬が完全であり、完成されたものであると考えることもできます。喩えるならダンスのような動きです。ダンスは、踊っている一瞬一瞬が楽しいのであって、踊り切らなければ楽しめないというわけでもどこかに到達するために踊っているわけでもありません。」
「我々は我々の愛する者に対して、自分が幸福であることよりなお以上の善いことを為し得るであろうか」-三木清
『人は誰かを幸福にしたり、誰かに幸福にしてもらってりすることはできません。家族の幸福を思うなら、まずは自分が幸福であること。それ以上のことはできないのです。』
『人は幸福に「なる」のではなく、幸福で「ある」のです。』
『朝から不機嫌で怖い顔をしている人は、その人自身がその日をつまらなくしているばかりか、腫れ物に触るように接しなければならない周りの人の気分も悪くします。生きていれば、時には嫌なこともあるでしょう。しかし、そのことに心を奪われ、不機嫌を露にしても、事態が改善されることはありません。幸せな老年を望むのであれば、まずは毎日を機嫌よく迎え、機嫌よく過ごすことです。』
『歳を重ねると、人生がこの先長く続くことに俟つことはできません。人生を先延ばしにせず、今したいこと、できることは今しようと決め、そうすることで、今ここに生きることの喜びを感じることも、老いの特権といえます。』