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憲法制定と講和条約――米ソ対立が深まる中、戦後日本の新しい「国のかたち」を巡り、近衛文麿、幣原喜重郎、芦田均、吉田茂、白洲次郎らが、マッカーサー、ホイットニー、ケナン、ダレスらと激しい駆け引きを繰り広げる。世界史と日本史を融合させた視点から、日本と国際社会の「ずれ」の根源に迫る歴史シリーズ第二弾(前編)。
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Posted by ブクログ
卒論作成へ向けて。 以下、本書より。 戦後日本社会が抱えた明るさは、あまりにも深い傷と、悲しみと、そして挫折を覆い隠すためのものでもあった。 戦争を経験した日本人は、多くを語らなかった。そして、彼らが「上を向いて歩こう」としたのは、必ずしも希望に溢れていたからではなかった。「涙がこぼれないように」...続きを読むするためだった。上を向かなければ涙がこぼれてしまうのだ。人には自分の涙を見せたくない。自分は強く、明るくいたい。だとすれば、上を向いて歩こうではないか。悲しみの海の中では、希望への強い意志を抱いていなければ、すぐに深い海の底に沈んでしまうであろう。(中略) 本書は、戦争が終わり、占領を経験し、豊かさを目指した戦後日本の歴史を、国際社会の動きの中に埋め込むことで、新しい歴史像を提示することを目的としている。われわれは、色鮮やかな物語に溢れている戦後の歴史を語る際に、あまりにも狭い視野の中にそれを無理矢理位置づけようとしてはいないか。たとえば、「冷戦史」という米ソ対立の緊張と抗争のなかに戦後の日本を位置づけようとすれば、人々が感じたあまりにも多くの小さな、しかし大切な物語を見逃すことになってしまう。あるいは、戦前のファシズムから戦後の日本が社会主義や共産主義を拡大しようとする歴史として眺めるのであれば、それは人々がより豊かになり、より安心を感じ、安定を得ていった生活の姿を見逃してしまう。一つのイデオロギーに押し込もうとすれば、豊かな戦後史の物語はとたんに色あせた、単調で退屈なものとなってしまう。 先ほど紹介したように、「上を向いて歩こう」という昭和を代表する名曲の作詞家であった永六輔は戦前に生まれ、歌手の坂本九は真珠湾攻撃の二日前に生まれた。その歌が、冷戦が終わった今でも歌われ続け、愛されているのだ。「上を向いて歩こう」という曲は、それが発表された「一九六一年」という年を越えて長寿を保ち、そして日本の国境を越えて世界で愛されている。冷戦や階級闘争というイデオロギーからでは、その歌の魅力を十分に感じることはできない。たった一つの歌でさえも、われわれが通常歴史を考える際の境界線をはるかに超えた、五つの大陸まで延びる広がりを持っている。 また同時に、われわれは通常あまりにも国境の内側のことに目を奪われるため、国内の問題がいかにして国際的な問題と連動しているのかという視点を見失ってしまう。たとえば、終戦の過程はもちろんのこと、憲法の起草作業、自衛隊創設等、戦後史の多くの重大な出来事が、国際政治に翻弄されている。さらには、戦後の高度成長を支えてきた多くの人々が、実は戦前の教育を受けて、戦争を経験していたという事実を見逃してしまう。 このようにして、われわれは知らないうちに、「イデオロギー的な束縛」「時間的な束縛」「空間的な束縛」の中から歴史を語ろうとしてしまう。それによって見えなくなるものがあまりにも多く、それによってゆがめられる事実があまりにも多い。だとすれば、そのような束縛からわれわれの視点を解放することで、より広い視野を手に入れて、より豊かな歴史が語れるのではないか。
◆日本の敗戦は、それまでの「大日本帝国」という巨大な領土を持つ国家が日本列島のみを領土とする小さな「日本国」へと一気に縮小する過程であり、東アジア地域に「力の真空」を作り出し紛争の火種となった。 ◆日本の占領はアメリカが主導したが、その陰には日本と東欧を「交換」したモスクワ外相会議があった。 核開...続きを読む発の観点からルーマニアとブルガリアのウランを欲していたソ連は、これら地域の支配を黙認させる代わりに日本統治をアメリカに譲り渡したのである。 ◆日本国憲法の起草において、松本や実際の起草者である宮沢俊義は国際情勢を把握しておらず、連合国内での天皇訴追や責任追及の動きや世界における日本の敗戦の意味を全く理解していなかったために保守的な改憲案しか出せず、自らの手で憲法を作る機会を自ら逸した、と批判されている。 宮沢俊義は今では「八月革命説」と護憲派で知られているが、戦前は戦争を讃えて反英米の論陣を張り、戦後も改憲不要論をとって松本改憲案のような保守的な改憲案を出している。八月革命説以降の「変説」は自らの失敗(憲法を自ら起草するチャンスを失ったこと)を覆い隠して大衆に迎合するものではないか、と批判している。
三浦 瑠麗(国際政治学者・東京大講師)の2018年の3冊。 国際政治の視点を交え現代史を振り返る。
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