Posted by ブクログ
2017年06月29日
『普通に働け』っていうタイトルがまず、秀逸。
短いのに、インパクトがある。サブタイトルもなし。
長くて明らかに狙ったようなタイトルが多い新書の中で、これは良い。
脳内にガツンと響いた。
そして、割と骨太の本だった。
普通の定義が読んでいても難しかったけれど、大企業でも外資系にも勤めていない、天...続きを読む才でも秀才でもない人たちが世の中には大半いて、その人たちが世の中を動かしているということ。
一部の信憑性の薄いデータや都合のいい部分だけをピックアップした、絶望感を煽るもの、反対に奇跡的な成功を夢見させるもの、センセーショナルな話題性を作るための結論ありきの記事に踊らされない(論じられている元のデータを確かめる)こと。
天才も秀才も成功者も、謙虚さを失わずに陰で惜しみない努力を重ねており、努力できるのも才能だということ。
なるほどなぁ、と思う。
情報に翻弄され、一喜一憂することがある。でも、その情報は一元的に都合のいいように切り取られた断片に過ぎないかもしれないし、それで絶望する必要は無いけれど、一部の天才たちが起こした奇跡に自分を無理に寄せることも出来ないのだ。
今できることをしよう、ということが「普通の人」の幸せなのだろうな。
第三章からが特に面白い。
第四章の鹿毛康司氏との対談、海老原嗣生氏の解説まで、なるほどなぁが詰まっていた。