Posted by ブクログ
2020年04月18日
大正・昭和天皇の料理番となった秋山徳蔵の生涯を描いた話。
福井県の片田舎の裕福な家に次男として生まれ、養子に出された先でひょんなことから口にしたカツレツに衝撃を受け、洋食のコックを志す。思い立ったら即実行という生来の性質で大学在学中の兄を頼って東京へ。修行先にも恵まれ、日々勉強の毎日を過ごすが、本場...続きを読むのフランスで修行をしたいという考えに捕われ、実家の援助を受けて単身フランスへ。
現地では大使館の世話で一流ホテルで修行をし、その後転々とするが、ある日大使館からお呼びがかかる。それは、天皇の料理番にならないかという誘いだった。
それから宮中での奮闘がはじまる。戦時中は食糧難に苦労しながらも毎日の食事を切り盛りし、晩餐会などがあれば献立のみならず装飾などまでにも気を配る。そんな食に生涯を捧げた料理人を描く。
想像していたような人物とかけ離れていて、結構驚いた。しかしやはり大成する人というのは人並みならぬ情熱と勤勉さがあって、努力もかなりしているものなのだと改めて感じた。その努力が苦にならないほどの情熱を持っているというか。
結構淡々とあっさりと物語は進んでいくので重厚感がないのが残念。どちらかというと主人公の人となりに焦点を当てているが、天皇の料理番としての苦悩や苦労など、プロフェッショナル的な話がもっとあったらおもしろかったと思う。