あらすじ
好奇心旺盛な篤蔵は、寸暇を惜しみ熱心に修行を続け、華族会館、そして上野の精養軒で働くことになる。フランス語も習得し、ついに西洋料理の本場、パリへ。各国の王室貴族などが集まる一流ホテルで下働きとしてスタートした彼は、人種や言葉の壁、文化の違いを乗り越えて、一人前の料理人として認められていく――。大正と昭和の時代、宮内省主厨長まで登りつめた男の生き様を描く感動長編。
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Posted by ブクログ
上巻に引き続き下巻もサクサク読めてしまう。
下巻は篤蔵が精養軒勤務を経て、いよいよパリへ料理修行に向かう。当時は料理修行のための留学は前代未聞。
篤蔵の情熱的な向上心がヒシヒシと伝わってくる。
留学中のエピソードはなかなか秀逸。
留学を終え、ついに宮内省出仕。厨子長に任を拝命する。普段天皇・皇族がどのような食事をするのかはまさに「雲居」のお話なのでイメージが湧かなかったが、本書「雲の上」では当時の宮内省大膳寮での仕事内容や雰囲気を鮮明に伝えてくれる。
宮内省出仕の身でありながら「トンチキ野郎」とか「オタンコナス」などべらんめぇ調な篤蔵には人間味を感じる。
八千代さん、フランソワーズ、兄・周太郎、新太郎さんとの間の人間模様はよく出来ているな、という感想。ちと無理矢理感も否めないが。
下巻でついに篤蔵の立身出世物語は完結。読後感は爽快であり、700頁があっという間であった。
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大正天皇即位の礼を控え、外国からの賓客に本格的なフランス料理を提供できる料理長として、パリの日本大使館の推薦により宮内省に招かれ宮内省大膳寮司厨長に任じられた福井県出身の秋山徳蔵をモデルにした物語。
年少の頃から天皇の料理番になるまでの話が魅力的で引き込まれました。時代背景も魅力的でした。後半は、時々挿入される歴史的な激動に比べて物語は少し駆け足で平板的に思えてしまいました。福井出身の方がこうした活躍をしていてうれしいものです(^^
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あっという間に、上下巻を読み終わりました。篤蔵の、何が何でも料理人になる、という決意と行動力に尊敬します。
一方で、篤蔵の料理人としての地位は、フランスに留学したことで、確固たるものになるわけですが、その費用をお父さんが出してくれているとのことで、何かをやり遂げるには本人と努力以外に周りの環境も必要なんだなと痛感しました。
「やり過ぎたことはあったかもしれぬが、やり足りなくて、あとに心を残すことはなかった。それが彼のやり方だった。」
そんな生き方が出来れば、理想ですね。
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下巻はフランスへ料理修行から宮中で働くことがメイン。当時のフランスや、日本の時代感、天皇のお料理を担当するということが、篤蔵を通して事細かに書かれている。けれども面白くないわけではなく、篤蔵のキャラクターが生き生きと描かれ、マイページ楽しい。
佐藤健主演のドラマとはかなり違う場面も多い。ドラマを見て小説を読んでいるので、ドラマの脚本というのも素晴らしいと感じた。(脚本だけでなく役者や裏方もだが)
また何よりこの本のあとがきが良かった。
天皇の料理番を簡潔に説明しつつ、情勢、筆者の書き方にも触れ、なおかつ感想も適所に記されている。あとがきの良さで☆を一つ増やしました。
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アラビア太郎を読んだ時にこの伝記作家に興味を持ち、この本に当たりました。誇大表現もなく淡々と書かれている、対象者は 実際は凄い人物ですが、のがドンドンと読み進められました。
今巷で炎上している料理人も、昭和だったら問題なかったんだろうと思った次第です。
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下巻はフランスでの修行から天皇の料理番としてのお話。
いろいろなエピソードが書かれていますが、美化したりしないで、どこか淡々として、でも味気ない訳では無い、私には丁度良い塩梅の文章でした。
最期の最後まで料理人として生きた人生に、それだけ打ち込めた情熱や信念を思うと羨ましくもあります。
久しぶりに伝記小説を読みましたが、思いのほかいろいろ考えさせられた一冊です。
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昭和の戦前戦後を生きたフランス料理の第一人者にして天皇の料理番になった篤蔵の力強い生き様に感銘を受けた。今とは時代が違うが、どこか懐かしい昭和初期の景色や人々が手に取るように表現される杉森久英さんの文章がとても良かった。
Posted by ブクログ
料理人がまだ認められていなかった時代に、
国賓をもてなす為に腕をふるった一人の料理人。
負けん気の強い篤蔵のキャラクターに惹かれます。
人の体を形作る食事という行為のために
真心をこめて料理を作る。
どうしようもない男だった篤蔵 のシンデレラストーリーとも言える
内容ではありますが
古き良き時代や天皇陛下の偉大さも感じられます。
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料理に挑み続ける姿は達人と呼ぶに相応しいが一歩、料理の道から外れれば只の人でしかなかった。
人生を料理という刀に捧げられたのだから幸福だったろうなぁ
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下巻はパリに行って修行して呼び戻されて天皇の料理番になるのだが、パリでのフランソワーズとの恋の話、呼び戻されてからの妻とのこと、ザリガニの話などドラマのほうがよくできていた。本は伝記として読むのにはよかった。
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伝記小説というのを初めて読みました。
普通の小説に読み慣れているとちょっと違和感もありますし、どこまでがホントでどこからがフィクションなのかとか余計なとこが気になってしまいます。。
ドラマが大好きで原作も読んでみたのですが、ドラマとか結構内容が異なり、別の楽しみ方が出来たとは思いますが、ドラマの方が好きだなぁというのが正直な感想です。
後半が少しダラダラと羅列している様な印象を受けました。
Posted by ブクログ
下巻のほうが良かった。読んでて楽しい♪
ついにフランスへ!そして待ちに待った天皇の料理番。
篤蔵のすばらしさは料理の腕前だけでなく、前例を気にせず挑戦する前向きさ、行動力、真心、そして誰にも勝る努力なのかなあ。3代の天皇の料理番を全うした篤蔵はついに永眠。おつかれ様、と言いたい。
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フランスでの料理人修業に人間関係の取り方の修業も加わって大変。いよいよ宮内省主厨長としての仕事が始まる。持って生まれた性格がガラッと変わるわけもなく、自分の信念に基いた言動を貫く篤蔵さんには恐れ入ってしまう。周りの人達の目が怖くはないのだろうか?いやそれぐらいでないとあの立場での仕事は出来ないのかも知れない。テレビドラマがどう創っていくか楽しみです。
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下巻はどちらかというと、伝記や回顧録といった印象。少しかけ足で書かれていた気がするので、もう少しゆっくりが良かったなぁと。だけれど、所々笑えるエピソードがあって面白かった(新聞記者とも墓場の場面、スッポンを料理する場面とか)そして相変わらずの頑固さと、きかんぼうは健在。オタンコナス!なんて久々に聞いた(笑)でも、本人は至って真面目なんだからそれがまた面白い。"仕事も遊びも一生懸命に"なんていうけれど、まさにその通りの人間。
余談で、今週の日曜日からはやっとドラマがスタートするので、この人間臭いけれど魅力的なキャラクターを佐藤健くんがどのように演じるのか、非常に楽しみである。
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上巻の面白切ったんだけど、下巻で失速した印象。
パリでの修行までは面白かったんだけど、天皇の料理番になってからの主人公の描写が、粗筋か!?ってくらい淡々としすぎてて、あまり感情移入できなかった。
あと、主人公がだんだんくそオヤジ化してて、最後めっちゃ老害なっとるやん…と、思ってしまった。
正直、先行して読んだwikiの話のほうが面白いと感じたり。
皇室のやり取りで面白いエピソード結構あったと思うんだけど、皇室だから遠慮したのか、当時の反皇室の気風に遠慮して粗筋化したのか解らないけれど、少し残念な読後感だった。
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最初この本を手に取った時、すでに天皇の料理人になった主人公の物語だと思っていた。
実際読み始めると、生い立ちぐらいから書かれており肩透かしを食らった。
下巻を読み始めてすぐに、解説を読み始めた。まさか伝記小説だったとは・・・
淡々とした書き方で、少し残念な気がした。私は、もう少し生々しい物を求めていたらしい。
Posted by ブクログ
パリで修行した後は題名の通り天皇の料理番に抜擢されることになり、篤蔵の成長を楽しみに読み進めていった読者としては喜びの気持ちに。下巻でも篤蔵の人となりは変わらずで、人間味があって魅力的です。全体的に時代背景の描写が多く、個人的にはもう少し人間模様の描写が多い方が楽しめたかなという印象でした。ただ背景についてはとても分かりやすく、時代の中での料理の変化も分かります。変わらないものと変わっていくもの。その狭間に生きるということを考えさせられる一冊です。
Posted by ブクログ
大正・昭和天皇の料理番となった秋山徳蔵の生涯を描いた話。
福井県の片田舎の裕福な家に次男として生まれ、養子に出された先でひょんなことから口にしたカツレツに衝撃を受け、洋食のコックを志す。思い立ったら即実行という生来の性質で大学在学中の兄を頼って東京へ。修行先にも恵まれ、日々勉強の毎日を過ごすが、本場のフランスで修行をしたいという考えに捕われ、実家の援助を受けて単身フランスへ。
現地では大使館の世話で一流ホテルで修行をし、その後転々とするが、ある日大使館からお呼びがかかる。それは、天皇の料理番にならないかという誘いだった。
それから宮中での奮闘がはじまる。戦時中は食糧難に苦労しながらも毎日の食事を切り盛りし、晩餐会などがあれば献立のみならず装飾などまでにも気を配る。そんな食に生涯を捧げた料理人を描く。
想像していたような人物とかけ離れていて、結構驚いた。しかしやはり大成する人というのは人並みならぬ情熱と勤勉さがあって、努力もかなりしているものなのだと改めて感じた。その努力が苦にならないほどの情熱を持っているというか。
結構淡々とあっさりと物語は進んでいくので重厚感がないのが残念。どちらかというと主人公の人となりに焦点を当てているが、天皇の料理番としての苦悩や苦労など、プロフェッショナル的な話がもっとあったらおもしろかったと思う。
Posted by ブクログ
201504/ドラマは未見だけど気になって読んでみたら面白かった。ひどい男だなって思う箇所もあったけど、時代も考えると相当の情熱がないとこれだけのことを成し遂げられなかっただろうな。
Posted by ブクログ
今ドラマでやっている天皇の料理番の原作。
フランスのホテルでの修行から終戦後までを描いている。
上巻に比べると事実を淡々と述べていく印象が強かった。下巻だと宮内庁にはっきりと物申す人という印象で、上巻の方が特徴的な人物であったと感じられた。