経済学・哲学草稿

経済学・哲学草稿

ビジネス・実用
748円 (税込)

3pt

働くほど、なぜ人は貧しくなるのか? 勃興する資本主義を鋭く分析・批判し、のちに『資本論』に結実する経済学的思考。そしてヘーゲル批判から発し、労働の意味を肯定的に捉え直そうとする哲学的思考。この二つの思考が交わるところで、26歳のマルクス青年は革新的な思想を打ち立てた。輝くような、そして生き生きと躍動する思考の瑞々しさが、明晰な訳文で鮮やかに再現される。

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経済学・哲学草稿 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    「経済学・哲学草稿」は、昔、岩波文庫を買ったことがあり、長い間――数十年間(笑)――持っていたのだが、結局、中をチラと覗いたっきり、1ページも読まないで棄ててしまった。

    なぜ読まなかったかといえば、もちろん難しかったから。

    いや、1ページも読んでないんで、難しかったかどうかもわからん。
    難しそうに感じたからというのが正確か。なんか漢字も多かったし。

    そして実際読んでもやっぱり難しかったはずである。
    なんせマルクスの本ですから。

    ところで、長谷川宏という人の名前は、ヘーゲルをわかりやすく訳した人らしいということをどこかで聞いていて、光文社古典新訳文庫もなかなか粒のそろったラインナップで、表紙のデザインもいいので、つい手にとってみた。

    冒頭、こういうふうに始まる。

    「賃金は、資本家と労働者の敵対する闘争によって決まってくる。資本家の勝利は動かない。資本家が労働者なしで生きのびられる期間は、労働者が資本家なしで生きのびられる期間より長いからだ。」(第一草稿「賃金」p17)

    なんと、非常に分かりやすい。

    「賃金を決定する際の、これだけは外せない最低限の基準は、労働期間中の労働者の生活が維持できることと、労働者が家族を扶養でき、労働者という種族が死に絶えないこととに置かれる。通常の賃金は、アダム・スミスによれば、ただの人間として生きていくこと、つまり、家畜なみの生存に見合う最低線に抑えられている。」(同p18)

    「労働者は、資本家がもうけるときいっしょにもうけにあずかるとは限らないが、資本家が損をすれば必ずいっしょに損をする」(同p19)

    「労働者と資本家がともに苦境にあるとき、労働者は生きていけるかどうかで苦しんでいるが、資本家は金もうけできるかどうかで苦しんでいる」(同p20)

    かっこいいなマルクス。

    「分業の細密化は、労働者をますます一面的かつ従属的な存在とし、とともに、人間同士の競争だけでなく、機械との競争までも招きよせる。労働者が機械に転落したとなると、機械が競争相手になるというわけだ。」(同p23-24)

    「国民経済学はプロレタリアを――つまり、資本も地代もなく、純粋に労働によって、すなわち一面的・抽象的な労働によって生きていく人間を――労働する者としか見ない。そこで、プロレタリアは、すべての馬と同じく、働くことができる程度に稼がねばならない。それが国民経済学の掲げる命題だ。国民経済学は働いていないときのプロレタリア――人間としてのプロレタリア――を考察の対象とすることがない。その考察は、刑事裁判所や医者や宗教や統計表や政治や乞食や取り締まり官にゆだねられている。」(同p28-29)

    正直、分からないところもあちこちあるが、ずいぶん理解しやすい。
    これはありがたい。

    マルクスがこの「経済学・哲学草稿」を書いたのは、なんと26歳のときだ。
    凄い人は凄いとしかいいようがないな。

    0
    2020年04月19日

    Posted by ブクログ

    マルクスが26歳の時に書き著した草案。

    全体を通して感じることは、
    労働者の隷属状態に対しての批判。


    これが書かれたのは1844年。
    産業革命は1700年代後半からイギリスでおこっていった。

    マルクスはドイツ人だ。
    この時にはドイツにも産業革命の波は届いていただろう。

    波とは、工業化の波である。
    前提として意識しておきたいのは、マルクスの批判しているのはこの時代の主産業が工業であるということだ。

    工場というのは、
    なるだけ24時間フル稼働させている方が工場にとって利益が出る構造になっている。

    すなわち、労働者にとっての長時間労働が工場主にとっての利益につながる。

    自然と労働者をできるだけ長時間働かせて、フル稼働で工場を動かそうとするインセンティブが工場側に働く。

    といった背景がある。




    マルクスは、
    労働者のことを奴隷とし、
    労働のことを奴隷労働と言っている。

    資本家が労働者を牛耳っていると見ているからだ。

    結果的には、
    失敗したマルクス主義であるが、
    何故マルクス主義はあれほどに世界を巻き込み影響を与えたのか?
    その中に含まれる今でも通用するような原則はなにか?

    などの視点を持って見てみても非常に面白い。


    マルクスはシンプルに言って何を書いてるのか?

    お金と人のこの世界で、
    在るべき関係性だ。

    0
    2019年03月26日

    Posted by ブクログ

    読みやすさに定評のある長谷川訳ではあるが、ついに読み通すことができたという感慨がある。
    経済学のほうはたいして見るべきことはない。経済学史の授業で習うような事がわかっていればよいのだろう。
    面白いのは、マルクスの疎外、外化の概念や類的存在の概念が説明されているところと、さらに面白いヘーゲル批判である。
    マルクスのヘーゲル批判は、まず、マルクスは人間と生活手段を非理性的なもの、ヘーゲルは理性的になりうるものと考えていたという前提の違いから始まる。そしてマルクスは、ヘーゲルの論は意識に始まり精神で終わり、理念の域を出ないものであると批判する。さらに進んで価値の点で、ヘーゲルの考える人間は神、絶対知によって確証を得るが、マルクスはその否定と破棄によって確証されるという(p193)。それは人間の現実的な本質を生成するような運動であるというのだ(p.197)。この辺りが最高に面白い。その本質とはなにかについてもこの本の中に散りばめられているが、やや具体性に欠ける。僕の読解力不足か。

    また、アレントの人間の条件を読んだあとだったので、アレントの概念に手伝ってもらいながら楽に読んだふしもあり、もう少し無垢な視点から読めるようになりたいとも思った。

    最後に付け加えれば、長谷川氏の解説は学者の良心に基づいて大変簡素にまとめられているが、もうちょっとボリュームがあるとよかったろう。あるいは、彼の『初期マルクスを読む』を読めということか。

    とにもかくにも、これは読める人は必ず読むべき本である。これは近代の最後の良心なのであるから。

    0
    2012年03月30日

    Posted by ブクログ

    岩波版の「経済学・哲学草稿」を一度通読した限りでは、さっぱりわからない事が多かったものの、光文社版では非常にわかり易い文章となっていた。
    マルクスの文章はまだ岩波版が多勢を占めているが、数少ない光文社版であることからも、初めてマルクスを読む人はこれがいいかもしれない。

    個人的には、経済学的思索の部分より哲学的思索の部分のほうが興味を持てた。例えばマルクスは、「資本主義のもとでは、労働者が作った商品が自分のものにならないことに『疎外』がある」と云った。元々労働は自分の為にあるのに、他人に強制されることは非人間的で非自然的である、ということだ。

    その疎外を克服するところに、社会主義があり、共産主義がある、ということになる。

    また「自然的性質」「人間的性質」を混同させ転倒させ、全てを金銭の関係に変えてしまうところに、貨幣の恐ろしさがある。かつこれは労働による疎外によって生まれるから、これは疎外そのものだ。
    以上がこれを読んで大体把握できたことである。

    最後にひとつだけ。相変わらずヘーゲルの精神現象学のページは、相変わらずよく分からなかったが、マルクスを通じて大体を把握した。ヘーゲルは抽象的精神的な段階でしか話をしないが、マルクスはそれを現実の話にまで持ってきたといころに意味があるようだ。

    0
    2010年11月01日

    Posted by ブクログ

    大学のマルクス経済学で購入した本。
    資本論につながる前段としての本であり、資本家が労働をせずに儲けられる仕組みが詳しく書かれている。

    資本主義経済の仕組みとその悪用について言及されており、少し内容は難しいが、物の価値という観点からも読み解くことができる面白い本。

    0
    2024年09月15日

    Posted by ブクログ

    いわゆる〈初期マルクス〉の拠点となっている草稿。
    経済体制に関する世界の批判が頓挫したあと、
    注目されたのは、『資本論』に結実するような、物の価値と流通=経済の論考ではなく、
    ヘーゲル哲学徒として出発した初期マルクスの、主体論であった。

    それは、ルソー→ヘーゲルの流れのある、
    自身の生が自己によっては充実しない=他律的な近代的人間の状況に関するものである。
    また、それは初期の吉本隆明がマルクスを意識して使ったと思われる〈関係の絶対性〉という状態でもある。

    搾取を論じるより、自己疎外を論じる方が、現在には性にあっているかもしれない。
    資本主義社会が生きづらい社会であることをわかっていつつ、それは自己の問題にすぎないと、この社会自体は肯定してしまっている態度のためである。

    この経済体制と主体の関係は、相互に絡み合っている。どちらに重点を置くにせよ、この2つは切り離して語ることはできない。

    ただ、この草稿自体は未完であり、
    数々の引用が大分の割合を占めている(特に第1草稿において)。
    この引用を分け入って、彼の意を汲んでいく作業は億劫であるかもしれない。

    0
    2012年02月14日

    Posted by ブクログ

     名高い「経哲草稿」の長谷川宏による新訳である。マルクスの著作にはこれまでほとんど親しんでこなかった手前、彼の思想について立ち入ったことは述べられないが、まだ若いマルクスが、資本主義社会のなかで働くことのうちにあまりにも深く巣くってしまっている矛盾を、その思考がどこか割り切れていない分いっそう鮮烈に浮き彫りにしている印象を受ける。この矛盾が今なお、いや今日ますます苛酷に働く人々を苦しめていることは言うまでもない。この草稿に示されるマルクスの思考が割り切れていないように見受けられるのは、ヘーゲルに見られる抽象的に理想化された労働観や、彼に先立つロマン主義者たちの土地信仰とも結びついた自然との一体性の安易な理想化を批判して、産業社会のなかに人間の新たな自然を見届け、「産業の生みだした自然こそが、疎外された形を取ってはいても、真の人間的な自然なのだ」として、それを準備した自然科学の活動は、「人間の生活を改革して人間の解放を準備するものとなっている」と述べる──そのことに潜む「進歩」信仰が後にベンヤミンによる批判の対象となる──一方で、この新たな自然のなかで人間どうしの、あるいは産業の手前にある自然と人間の生き生きとした交流を回復し、人間が社会的存在として自己を解放し、実現することへの──もしかするとロマン主義者よりも──強烈な憧れが、この時期のマルクスのなかにあるように思えてならないからだ。それはとくに貨幣批判に表われていよう。また、そこから取り出される技術と労働の省察を、ベンヤミンの「第二の技術」やE・ブロッホの「同盟技術」の概念と絡めつつ検討することも、今日それこそ生産的かもしれない。それは今はともかくとして、若きマルクスの具体的な──あるいは「唯物論的」と形容すべきだろうか──解放への憧憬が、資本主義社会における労働の矛盾を鋭く抉り出している点は、今とくに若い人々にあらためて読み直されてよいのではないか。「人材」という言葉が示すように、「労働者としてかろうじて存在する人間にとって、人間としてのさまざまな特性は、自分の外にある資本が認めるかぎりでしか意味をもたない」。そのように疎外された人間は、「自分の生産する富が大きくなればなるほど、自分の生産活動の力と規模が大きくなればなるほど、みずからは貧しくなる」。こうして「使える」人間は、資本そのものによって使い尽くされ、使い捨てられるのだ。そのような「安価な商品」へと人間を追い込むものとして、マルクスがこの草稿で当時の「国民経済学」の禁欲主義的道徳を挙げている点も、注目に値しよう。彼によると、「それが真の理想として掲げるのは、禁欲的だが欲張りの吝嗇漢と、禁欲的だが生産に励む奴隷なのだ」。これらを美化する「国民経済学者」を、「ネオリベラリスト」と呼び換えてもほとんど違和感がない。もしかするとマルクスが解放と呼ぶものは、ニーチェがそれこそ「奴隷道徳」と呼ぶその禁欲主義的道徳に取り込まれる前に、それを指弾しうるこの草稿のマルクスにもある「若さ」をいかに取り戻すかにかかっているのかもしれない。では、その回路を、師走の訪れとともに始まった「就活」の手前でいかに見いだせるのか。この「草稿」は、教育に携わる者に重い問いを投げ掛ける一冊とも言えよう。訳文は非常に読みやすいが、やや読者に媚びて、その分原文から離れていると思われる箇所があるのは惜しまれる。

    0
    2011年12月02日

    Posted by ブクログ

    哲学ビギナーの私には敷居が高かったか・・非常に難しかった?
    そんな中でも気になるワードはいくつか拾えた。
    「人間が自分の活動を不自由だと感じているとすれば、そのときその活動は、他人に奉仕し、他人の支配下にあり、他人に強制され拘束される活動となっているのだ」
    「労働者と資本家がともに苦境にあるとき、労働者は生きていけるかどうかで苦しんでいるが、資本家は金儲けできるかどうかで苦しんでいる」

    0
    2026年08月15日

    Posted by ブクログ

    初マルクス。
    言葉は平易だが、内容は難しい。
    この本はある程度マルクスを読んだ人が読むものではないか。音楽で言うとブートレグ版みたいな。もうスタジオ・アルバムやライブ盤は一通り聴いていて、なんでもいいから新しいものを聴きたい人が手に取るもの。

    0
    2021年04月30日

    Posted by ブクログ

    マルクス26歳の草稿とのこと。
    「私有財産の否定という人間主義」という共産主義。

    ヘーゲルを読みたい。

    0
    2014年08月15日

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