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消えることのない歴史の傷跡、癒えることのない父の秘密、奇妙な謎を通して子どもたちに託されたひとつの願い。知的たくらみと愛に満ちた、巨匠による記念碑的長篇。◎解説=円城塔 誰もが相手に対して、やられたくないことをやられる前にやる──。 世界が囚われた相互不信のジレンマから、脱け出す道はあるのか? 第二次大戦、日系人収容所、ウォルト・ディズニーの機密プロジェクト……。 病める歴史の連なりは、やがて家族の秘密を照らし出す。
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Posted by ブクログ
割と忙しく、寝る前にちみちみと読んでいたら上下で1か月くらいかかった。 個性的で何を問うても自分の意見を言わず、歴史的な事実や格言のみを返す、そして謎の深刻な病気を患う父。 そしてその奇妙な父に振り回される家族。家族ゆえに放っておけない面倒さ、窮屈さ、心配、そして愛情。 様々な感情が浮沈しつつ明ら...続きを読むかになっていく父の秘密。 ゲーム理論の一角をなす難題、囚人のジレンマを底に敷き、そのフレームで家族が人間関係が戦争が描かれる。 パワーズらしい博覧強記。 パワーズらしい隠喩の跋扈。 妄想的記述と圧倒的抽象度。 読みにくさ全開にもかかわらず最後は胸を刺す家族の愛の物語。 泣いてしまった。 パワーズの描く愛は癖になる。 最近のパワーズは読みやすくエモいんだけど、私はこの初期の圧倒的読みにくさの中のエモいパワーズがたまらなく好きだ。いい読書体験だった。傑作。
米国現代文学を代表する作家、リチャード・パワーズが1988年に発表した作品。歴史教師である父の謎かけに翻弄される家族の姿が、第二次大戦から1970年代に至る米国史と絡めて語られる。会社近くの文教堂書店員さんに、「これ、とても面白いですよ」と手渡され読み進めた。 連番表記で第三者視点から語られる章、...続きを読む年代表記で歴史上の出来事(但し架空あり)から構成される章、抽象的語句の表記で家族視点から綴られる章が入り乱れる。加えて、西洋古典や宗教書、ポップカルチャー等をもじった言葉遊びやギャグ、アメリカンジョークも満載で、初読したときは極めて難解に思えた。 だが、再読してみるとタイトルの意味が分かってくる。国家レベルの相互協調がもたらす悲劇。「非協力vs非協力」から成る世界にもたらされる一筋の光。長年会社員をやっていると、対クライアントは言わずもがな、社内でさえ互いの思惑を読み過ぎて諍いが生まれ、結果的に組織の目指すゴールから遠ざかることは珍しくない。そんな見慣れた情景を、よりミクロかつ普遍的な「家族」というシステムの中に転写し、戦時下の為政者に対する皮肉やウィットもてんこ盛りで浮き彫りにする。 SNS隆盛、「密から疎」の2020年代に翻訳されたことは大きな意義を持つだろう。作者の息遣いを伝える、柴田元幸さんの言葉選びが秀逸。
虚構商業(の王ミッキーマウス)と冷戦と大衆映画プロパガンダが並走する。他にもアメリカ史、ゲーム理論、哲学などの多くのモチーフに、ある家族の物語が多層的に織り込まれていく。構造や技巧自体が目的化している感は否めないが(そしてタイトルが全て集約しているが)、知的関心と物語構造を融合させる「ポストモダン文...続きを読む学」に身を委ねて、巨匠の初期作を楽しんだ。
W・ディズニーが作った虚構の町ワールド・ワールドで17歳の父エディは、ミッキーの助言を受けながら1939年13歳からの人生を1945年までたどる。1945年現実と思われる世界線ではアラモゴード基地におり、原爆実験の光を浴びたときに世界線は交わる。そこで現実の世界線に収斂したようだが、今度はエディは虚...続きを読む構の町ホブズタウンをテープに吹き込み始める。 1978年エディは病院を抜け出しアラモゴードを目指す。そこで世界線は再び融合したようで、エディは現実の世界線から消える。
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囚人のジレンマ
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リチャード・パワーズ
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