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フジテレビ問題の検証を行った「第三者委員会調査報告書」はすべての企業に向けて「人権尊重に基づく経営」を訴えるものでした。『嫌われる勇気』の著者であり日本を代表するビジネス書ライターである古賀史健氏が、その報告書を独自の観点で振り返り、全ての日本人への警鐘としてまとめる〈新・社会派ビジネス書〉です。
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Posted by ブクログ
今回の某マスコミと大物タレントの事件に関して何かモヤモヤしたものを感じた方には是非一読をお勧めしたい。 これは単なる芸能人のスキャンダルに留まるべきではなく、自分たちの属している組織や社会でもしごく当然のようにはびこって心当たりのあるような組織構造や集団心理などを深く掘り下げており大変読み応えがあっ...続きを読むた。 重役たちは何を誤ったのか?別に犯罪を犯した訳ではない。一見被害者のプライバシーを守るためという正しそうに思える「思いやり」も、単なる中高年男性という凝集性の高い集団が勝手に考えた「思い込み」に過ぎなかったのではないか。その考えにいくプロセスに被害者の考えなり他の専門家なりの考えなどはあったのか?被害者の人権は考慮されていたのか? 多様性がなく凝集性の高い閉鎖的で硬直した集団においてはしばしばこのような集団浅慮が生じてしまう。 ではどのようにこの集団浅慮を防ぐことができるのか?簡潔に言うと組織の多様性と互いの尊重であると。 私が一言でまとめると薄っぺらく感じるのだが筆者なりの解決方法も含めてよく考察されているので是非本書や実際の「調査報告書」の一読をお勧めしたい。 「個人の狂気は稀なものである。しかし集団においてはそれが常である」 -フリードリヒ・ニーチェ- --------------------------------------------------------------- 集団浅慮 優秀であるはずの個人が集団になった時に発現する、あまりに愚かな意思決定プロセス ルボンの群衆心理 群衆の中に呑み込まれた人間は個人を抑制する責任観念が完全に消滅し自分の意思を持って自分を導く力のなくなった一個の自動人形 群衆は知能の点では単独の人間よりも常に劣る 群衆となった人々がいかにしてカリスマ的指導者に扇動されていくか 集団浅慮には独裁者は必要としない。集団のぼんやりとした熱狂や興奮とは無縁の生ぬるい空気の中で発現する。 その内実やメカニズムは日本社会のどの業界でも、企業、学校、政界、スポーツ界、どんな組織にでも起こりうる 同質性の高さと多様性の欠如こそが集団浅慮を招く ------------ G :女性Aが自らマンションに行ったのであれば、それはプライベートな男女間トラブルになるため上司への報告の必要はない、むしろするべきではないと判断した。 →対等な関係性ではなく断る事は容易ではないという状況を考慮していない。 コンプラ推進室が機能していない 女性アナウンサーの置かれた脆弱な立場 雇用上の報復を受ける可能性がある。ハラスメントをら訴えれば面倒臭い人のレッテルを貼られノリの悪いやつの烙印を押される。 H人事局長:社員に対する安全配慮義務とは労働契約法第5条に定められた義務で使用者・雇用者は労働者・従業員の生命身体心身などの健康を守るために安全な職場環境を提供し必要な配慮をしなくてはならない。 ただし彼は意思決定ラインから外されていた K弁護士 港社長とバラエティ部門のお抱え弁護士がこともあろうに加害者側である中井氏の代理人としてA氏に向き合う。本来自分の会社の社員を守るべき部門も弁護士もが、大手の取引先のサイドに立ってA氏に対峙する。二次被害とも評価しうる。 ------------ 集団凝集性 その集団にとどまらせようとする力 忠誠心、愛社精神、結束力、団結力、一体感 同調圧力(peer pressure)は凝集性が高いほど生まれる。 ①説得②疎外③排除 アメリカでは子供達が飲酒や薬物に手を染める要因として友人グループによる同調圧力が指摘されている。D.A.R.E. (Drug Abuse Resistance Education) 〇同調圧力の正体 PHP新書 太田肇 google のプロジェクト・アリストテレス パフォーマンスの高いチームにはどのような共通項があるのか ①心理的安全性:安心して発言できること ②相互信頼:メンバー同士に信頼感がある ③構造と明確さ:自分の役割を明確に理解している ④仕事の意味:個人として異議や価値を見出している ⑤仕事のインパクト 推薦図書: 〇1984 :ジョージオーウェル、ディストピア小説 newspeak と二重思考:矛盾した二つの信念を心に抱きそのどちらも受け入れる能力。指導者を神聖化・偶像化する全体主義国家には実際に二重思考(国家や指導者の嘘を嘘だと知りながらそれを真実として受け入れる思考)が蔓延しているのかもしれない 凝集性の高い集団はリラックスした陽気で友好的な雰囲気であり選民意識を伴う。全会一致を求める。激しい議論や批判、対立、熟慮を嫌う。 ①集団への過大評価: ・不敗神話の幻想 ・道徳性や倫理性への(誤った)揺るぎない信念 「我々は善良な賢い集団である、正しい事をしている」倫理的な葛藤を最小化してしまう、結果戦争が勃発してしまう ②思考の閉鎖性: ・警告の合理性 正常性バイアス(自分に都合の悪い情報を過小評価する)、確証バイアス(自説を裏付ける情報ばかりを集めて反対意見を無視・軽視する傾向) ・敵のステレオタイプ化 敵対者を悪・愚か者、自らを善としてそれ以上の分析をしない ③全会一致への圧力 ・批判の自己検閲 相互不可侵条約、他人の意見に口を挟むということは条約違反という空気。自分も誰かに咎められたりそれによる心理的なダメージを受ける事もなくなる ・全会一致の幻想 〇なぜ皆が同じ間違いをおかすのか「集団の思い込み」を打ち砕く技術 門脇弘典 NHK出版 集合的幻想:自分は反対だけど他のみんなは賛成なんだろうと思い込むこと ・逸脱者への圧力 凝集性の高い集団において大事なことは、熟慮して正しさを議論し合う事ではなく、首尾よく会議を終わらすこと、クラブのような快適な雰囲気。余計なことを言うなという雰囲気。 集団的浅慮の解決方法 ①批判的評価者の割り当て 〇「空気」の研究 山本七平 文芸春秋 水を差せる自由がある事が大事 悪魔の代弁者(自分の意思とは関係なく考えうる批判や反論・リスクをぶつけてくる人)の配置を推奨する事で議論がブラッシュアップされていく。反対意見を言ってもいいんだ、率直な感想をぶつけてもいいんだ。 ②リーダーの沈黙 ③複数グループによる多層的な検討 ダイバーシティ研究 ①抵抗 ②同化(差別と公正性のパラダイム) ③分離(アクセスと正当性のパラダイム) ④統合(学習と有効性のパラダイム) 自分とは異なる意見を価値観を敬って重んじる。 黙って従うのでも感情的に反論するのでも説得するのでもなくまずは聴く。 意見が対立している時こそ対話を諦めず尊重というクッションを挟む。全ての個人を尊い存在として敬う事、その医師や洗濯を重んじる事、そこから本当の学び愛が生まれ心の多様性が生まれ集団浅慮が退けられる。
フジテレビの伝説の10時間記者会見を生放送で見ていた。湊社長はじめ、言っていることに嘘はなさそうだ。しかし、一人の社員を自死寸前まで追い込んだのは事実であり、なぜこのようなことになったのか、強い関心を持った。すぐにマスコミはこのニュースを報じなくなり、中居氏と女子アナのスキャンダル」という形で終わっ...続きを読むた印象を受けたため、もやもやしたまま時が過ぎた。そんな折、この本に出会い、とても感銘を受けた。個人的には、人権の意識を高く持つよう心がけていたつもりであったが、まだまだであることがよくわかった。人を変えることはできない、自分を変えることから始めよう。
今の与野党やトランプ政権、マンガワンの件など、注目されている組織の行動にも多く当てはまると感じました。会社に限らず多くの「集団」に属する1人の人間として、一度読んで見ることをオススメします。
#共感する
古賀史健。なんと直前に読んでいま嫌われる勇気の著者だった。書きぶりや内容は全く異なる2冊だっただけにこの本を強い使命感を持って執筆されたのだということが強く伝わってくる本だった。 手に取ったきっかけは「集団浅慮」という4文字の単語に何となく心当たりがあると感じたこと。フジテレビの第三者委員会の報告書...続きを読むがベースになっていたことは本を手に取って初めて知った。凝縮された共同体の中に働く力学と陥穽を説明しながらも、テーマの題材となったセクハラやジェンダーについても深めていく。自身の中にある「フジテレビ性」と向き合わざるを得ない、痛みを伴う学びのある本でした。巻末記載の参考文献が74冊と半端ないことからも、筆者が調べ、学びながら本書を書き上げたことがしっかり伝わります。多くに人に勧めたい。
組織の中で人がどのように考え、どのように判断を誤っていくのかを丁寧に描いた一冊である。私たちは組織の中で意思決定を行うとき、必ずしも「正しさ」を基準に議論しているわけではない。むしろ、会議を円滑に終わらせることや、集団の調和を保つことが優先される場面が少なくない。本書は、そのような状況で起こる思考の...続きを読む偏りを「集団浅慮」という概念で説明している。 凝集性の高い組織ほど異論が出にくくなり、結果として誤った判断に至る可能性が高まることが示されている。会議では「余計なことを言うな」という無言の空気が生まれ、議論の目的が「正しい結論を探ること」から「場を乱さず終えること」へとすり替わってしまう。このような構造は、日本に限らず、多くの組織で見られるものであるようである。 また、ダイバーシティの問題にも触れられている。例えば、女性役員が少ない組織では、女性が「トークン」として扱われ、象徴的存在として過度な注目や期待を背負わされることがある。可視性、対照性、同化性といった特徴を持つトークンの存在は、組織の中で本来の多様性を発揮しにくい状況を生み出すことが指摘されている。 さらに議論は、人権の問題へと進んでいく。本書が提示する人権理解の核心は、「尊重」という一つの原則に集約される。すべての人は固有の権利を持つ存在であり、それを尊重することが人権の本質である。人権とは抽象的な理念ではなく、日常の中で他者をどのように扱うかという態度の問題でもある。 人の思考が組織の中でどのように歪められるのかという構造をかいてくれている。そして同時に、その歪みを乗り越えるためには、個人を尊重する視点が不可欠であることも示されている。組織の中で起きる問題を個人の資質に帰するのではなく、構造として理解しようとする姿勢に、この本の価値があると感じた。 自分の思考がどのような前提の上に成り立っているのかを見直すきっかけを与えてくれた。
cross digで竹下さんが紹介していた気がする。 そうでなくても、書店でたくさん置いているから目についた。 タイトルが興味深かったので、手に取った。パラパラとめくるとフジテレビについての記述が目についた。なるほど、フジテレビの第三者委員会の報告書を読み解いたものか。それくらいの認識で購入した...続きを読む。帯の宣伝文句も多少なりとも購入の後押しとなった。それでも、フジテレビの話を今更本という形で読み通すのもなんとなく気が引けて、しばらく積読状態だった。 読んでいた他の本もひと段落ついて、手に取って読み始めた。やはりフジテレビのことか・・・。読み進めるとなかなか複雑な話で、まとめるのも大変だろうことが伺えた。途中フジテレビの話から、組織の意思決定についての話題になった。ここは最も興味のあるところだ。そのために過去の戦争での意思決定についての本を読んだりもした。これは現代の意思決定についての本だった。 集団浅慮。まさにそのタイトル通り、同質性の高いおじさん達による意思決定の偏りの構造が描かれていた。場の空気を優先して、本当に思っていることが言えない・・・。本件は、自分の領域の話ではないし・・・。まさに、あるあるの状況が描かれていた。この心理を「相互不可侵条約」と言うらしい。まさに・・・。 それで結果として、誰も責任を取らないフニャッとした意思決定がなされるのだ・・。 帯に書いている、山口周さんのコメント 「一体感のある組織」ほど恐ろしいものはなく、フジテレビで起きたことはどの組織でも起こり得る。すべての組織人に本書を読んでほしいー戦慄するはずだ。 まさに・・・。 自分が帯を書くなら、こんな感じかな↓ みんなで決めるー。特に日本でのそれは、時にハイコンテキストなもので、責任の所在も、決めた理由も曖昧なままの意思決定。ある意味で、阿吽の呼吸。日本文化の良さでもあった、ある種の非言語コミュニケーションは、時に強烈な同調圧力となって、「外」を排除し変化を拒み、頑固でアンバランスな意思決定を生み出す。「みんなで決める」にもアップデートが求められている。 現代の組織人は必読。
どこにでも起こる組織の病、集団浅慮。ハラキリ文化の日本では個人の責任を過度に追及しがち。問題は人と人の間にあるため、「自分が同じ立場なら、本当に同じことを繰り返さないか」を自問することが大事なのであろう。
大スキャンダルとなった、中居氏によるフジテレビ女性局員への性加害事件。当時のフジテレビの記者会見は、その対応の悪さでも話題になりました。本書は、この事件の実態を第三者機関の報告書を紐解きながら明らかにし、さらに問題の本質である、企業が「集団浅慮(グループシンク)」に陥るメカニズムを解説しています。 ...続きを読む 事件自体が記憶に新しく、ショッキングな内容だったこともあり、報告書に記された関係者の言動も非常にイメージしやすいものでした。フジテレビ役員をはじめとするステークホルダーの行動の何が問題だったのかが的確に指摘されており、終始わかりやすく読み進めることができました。 本書では、集団浅慮を防ぐための処方箋に加え、日本における人権教育の歴史、「黄金の3割」の法則、そして「性暴力」がなぜ厳しく批判されるべきなのかが丁寧に解説されています。著者は今回のフジテレビの人権問題が起きた根本原因を「無知」であると結論づけていますが、私自身も本書を読むことで人権に対する認識が大きくアップデートされたと感じます。 特に印象深かったのは「女性を3割登用する」ことの真の理由が明確になった点です。また、集団浅慮は単に「男性だけの環境」で起こるのではなく、「同質性の高い集団」で発生します。そのため、いくら女性であっても、男性中心の価値観に同化してしまえば集団浅慮に加担する可能性があるという指摘は、同じ女性としてハッとさせられる大きな気づきでした。女性を単なる「女性としての象徴(トークン)」として扱い、役割を押し付けて消費しているという構造には深く考えさせられました。 本書は主に「性暴力」という人権侵害に焦点を当てていますが、学校などで起きる「いじめ」もれっきとした人権侵害です。そしてその背景には、集団の凝集性の高さや同質性、全会一致への圧力、そして無知があるという点で、発生のメカニズムや処方箋は本書のケースと非常に似ていると感じました。 子どもたちに正しい人権教育を行ったうえで、いじめが発生した際や議論が起こったときには、大人は「安易な中立的立場」に逃げることなく、明確な人権侵害として毅然と扱うよう導いていくことが何より重要だと強く感じました。
福岡出身のライターがフジテレビと人権という大きな主題に立ち向かい、令和の大スキャンダルの解剖に取り組んだ一冊。フジテレビという組織が持つオールドボーイズ的な雰囲気や企業文化を理解することができるとともに、人権が希薄になる時の人間の傾向や動き、特性を巧みに分析し、なぜ人は、集団は過ちを犯すのかを丁寧に...続きを読む分析している。フジテレビはある種のエリート集団であり、世界第三位の経済大国のエンターテイメントで第一線を駆け抜けてきた極めて凝集性の高い集団である。この凝集性の高さが日本人の人権への無知と相まって生み出されたのが、今回の一連のスキャンダルである。このスキャンダル自体はあくまで一例に過ぎず、本質から表象された現象に過ぎないが、私たちの社会について深く考える上でいい教材となる。この出来事を通して苦しまれたすべての方々の平穏と幸福をお祈りしたい。
2025年3月、フジテレビが設置した第三者委員会よる調査報告が公表された。フジテレビ在籍の女性アナウンサーが、タレントの中居正広氏から性暴力を受けたことに端を発する一連の騒動が検証され、組織としてのコーポレート・ガバナンスの問題が露呈した。この事件に衝撃を受けた著者は、膨大な調査報告書を丹念に読み...続きを読む込み、関連する資料や書籍から、問題の本質を検証してビジネス書としてまとめた。本書の書名「集団浅慮」とは、「同質性(集団凝集性)の高い組織は、外部からの視点や異なる意見を受け入れにくく、外部とは異なる内なるルール(内輪の理論)がまかり通り、集団浅慮に陥ることも多い」とする。本件の性暴力という「性的自己決定権」が侵害された際の管理監督者や職業カウンセラー、弁護士などのしなやかな対応を学ぶ事ができる。一方で、トップ幹部のメタ認知の欠如と保身による問題が会社「ムラ」組織としての課題で露呈する。戸部良一らの名著「失敗の本質」における日本帝国陸軍の人事・組織論の批判も引用し、集団浅慮に潜む問題を検証する。また、「集団浅慮」はカリスマ的指導者を必要としないとも指摘する。その背景は、異論を許さない組織の「空気(風土)」と、異論を呈した発言者への批判、無視、スポイルや退職勧奨による排除が起きるとも指摘する。改善策としては、組織や意思決定機関における男女比率を女性3割にすることで改善は得られるが、女性比率4割、5割へと増やし、多様性を尊重することが重要だと強調する。 おわりにで、「恐れのない組織」として、個人を尊い存在として敬うこと。その意思や選択を重んじること。そんな「尊敬」醸成から、本当の学び合いがはじまり、心の多様性が生まれ、集団浅慮を退けていけるのではないだろうかと投げかける。集団浅慮から多様性・ダイバーシティ、そして「ビジネスと人権」を熟慮する好著となった。
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