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Posted by ブクログ
【評価指標が真実を歪める】
研究成果の不正や捏造を暴く文科省職員・水鏡瑞稀。彼女が所属する不正研究調査チームが今回調査するのは、自己再生能力を有する人工血管の研究論文。その研究リーダーは、なんと幼馴染の如月智美だった――。
前作の短編形式から一転し、本作は長編作品。単純に研究不正を暴くだけでなく、瑞稀を取り巻く人間関係や組織の思惑も丁寧に描かれており、作品の印象は前作と少し異なります。(主人公以外は新顔ばかりなので今作から読んでもスンナリ読めます)
真相はどこにあるのか。この騒動はどのような結末を迎えるのか。関係者たちの思惑は複雑に絡み合い、瑞稀も八方塞がりの状況へ追い込まれていきます。それでも諦めない。組織の中では決して力のある立場ではない彼女の姿勢が、少しずつ周囲を動かしていく展開は見どころの一つです。
本作で特に印象的だったのは、副題にもなっている「インパクトファクター」という考え方。研究成果を評価するために作られた指標が、いつしか研究そのものを歪めてしまう。人類を前進させるための研究が、利権や研究費獲得のための競争へと変わり、不正や捏造を生み出していく構図には考えさせられますね。
不都合な事実を隠すことで一時的に利益を得られたとしても、その先に本当の進歩はあるのだろうか。本作は研究不正を描きながら、「評価とは何か」「成果とは何か」という問いが強烈に残る作品です。
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