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Posted by ブクログ
何となく思った以上に厚めであった文庫本が4冊…読み始めると「続き」が気になってドンドン読み進めてしまう。作中に出て来る“呪”(しゅ)というような不思議な力で操られでもしているかのように、本の頁を繰る手が停められなくなってしまう。
「沙門空海」とは、かの弘法大師こと空海が生涯に亘って最も頻繁に用いたらしい自称で「僧侶の空海」という程の意味合いであるということだ。本作の主人公がこの空海である。
題名に「唐の国」と在るが、本作の物語は作中では「密」と呼ばれている、後に空海がもたらす密教、真言宗を学ぶべく唐に渡ったという時期に題材を求めた物語だ。
本作は空海に纏わる伝記的な事柄、空海が著したとされる書物に在る事、或いは空海に伝えられたとして綴られた書物に在る事、様々な言い伝えというようなモノを盛り込みながら、空海が遭遇する怪事件の顛末が語られるという「伝奇」の物語、ファンタジーである。
“主筋”は空海が出くわした怪事件の顛末という「伝奇」の物語だが、“副筋”は空海が至ろうとした境地、唐での経験を通じてもたらされた密教に関すること、真言宗を完成させて行くまでという「伝記」の物語という要素が在るように思った。「作中の空海による思索」という体裁で、真言宗で説かれている様々な事柄を要領良く語ってしまっていると思えるような箇所も見受けられた。「伝奇」と「伝記」とが絡まり合い、独特な作中世界が展開している。
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