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Posted by ブクログ
最後まで読み進めて思ったのは、解釈が難しいし多岐に渡るだろうということ。
タイトルが「猿」なのだから、物語の主題は猿なのだと思うのだが。表紙も角度を変えて見てみると、ドアップの猿の顔が浮かび上がってくる、面白い装丁だ。
語り手の祐美は、病んだパートナーと共に暮らしている。性格も面倒なそのパートナーを残していくのが不安ながらも、祐美は岡山の僻地にある、百歳で亡くなった曾祖母の遺産である土地を見学するために出かけて行く。
小さい頃にあったきりの又従姉妹・芽衣と共に、曾祖母の財産を管理しているという怪しげな弁護士に会う。
パートナーの猿にまつわる妄言、芽衣とあった喫茶店での不気味な描写、怪しげな弁護士、謎多き曽祖母の住んでいた土地、終始「不安」な祐美の心情。
様々な場面で様々な「怖い」を描写している。
ラストは解釈が難しく首を捻ったが…
この物語では、怖さとはなんぞや、というのを、様々な話、様々な舞台、様々な人生から考え、語られる。
怖いって、何?というのが主題なのかなぁと思った。
それが祐美にとっては特に猿なのではないか、と。
怖いという認識について、作中で登場人物たちが語る場面は冗長とも感じられるが、本書で描きたかったことを語るには必要だったのかなぁと。
その点で、良かったなぁ、と。
最後の一文は、私はなるほどと思った。
Posted by ブクログ
「分からない」状態は不安で怖いので、人は分かろうとする。考えても分からない、確証が持てないときは、補填してくれるものを探す。それは単純な因果関係であったり、ラベリングだったりする。自分の気持ちに沿ったものを受け入れやすく、客観的事実などは必要ない。それを信じ込む方がもう「分からなくならない」ので安定する。
などなど、「分からない」ことに対する人間の心理を連綿と説いていく。本当に途切れず延々とだ。ところが一気に場面転換して隙間に落とされる。「分からなくなる」のである。
本書における「猿」は思考停止した人間の象徴だ。しばしば現れる黒いものは、理解できない事柄を視覚化したものだろう。世の中で起きる事象には必ず説明できる原因があると思い込み、しかも自分に都合の良い答えに飛びつくことの危うさを感じた。それでいて、解らないことをそっくりそのまま吞み込むこともまた難しく危ないということなのかもしれない。
なぁーんて、訳知り顔で言いたくなるのである。一生懸命考えちゃうのである。なぜなら解んないからだ。ひー、怖いよ。
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