渡辺邦夫の作品一覧
「渡辺邦夫」の「メノン~徳(アレテー)について~」「エウデモス倫理学」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「渡辺邦夫」の「メノン~徳(アレテー)について~」「エウデモス倫理学」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
Posted by ブクログ
共通する章を持ちながら、その結末から『政治学』の方へ誘導する『ニコマコス倫理学』とは異なり、人生の幸福を説いて終わる『エウデモス倫理学』は、その成立時期が争われているそうです。
先に『エウデモス倫理学』をものしたアリストテレスが『政治学』へ導く必要性を感じて『ニコマコス倫理学』を顕わしたのか、『政治学』への発展を不要とする別パターンとして『ニコマコス倫理学』の後に『エウデモス倫理学』を顕わしたのか。
『エウデモス倫理学』がアリストテレスの自作であることが明確になった今、先後が問われることとなったとのことです。
いずれにせよ両者の顕わす価値はそれぞれにあるので、どちらも学べるのであれば、学んでおくのが良いと思います。
古今、何人がこの本を読んできたことでしょう?
その末端に繋がることができた喜びに心が震えます。
わたしの推しはアリストテレス。
在りし日のテレスの姿をいろいろ見てみたい♡
〔作品紹介〕
下巻では、快楽について、「すぐれた友とは『もう一人のその人』である」とする友と愛について、また幸運と幸福について、そして「善美の徳」について考察する。いずれも善く生きるための倫理学書でありながら、『ニコマコス倫理学』とは異なる結論が導かれる本書の解釈そのものについて、また『ニコマコス倫理学』に対する位置づけなど、世界的な論争も踏まえた詳細な解説が付く。
Posted by ブクログ
2300年前の人に教えを乞うことができる喜び。
万学の祖のアリストテレスは万人の師でもありました。まさにアリ師トテレス。
幸せな人生とするために何を大切にし、どう生きれば良いかを教えてくれます。
プラトン(ソクラテス)の対話編とはことなる緻密な論理構成は、近代哲学の素地となっています。
シンプルで現実的。神に祈るのではなく自身の行動で人生を切り拓いて行く。これぞ哲学。
素直に感動しました。迷った時に立ち戻りたい基地をもらったような安心感を得ました。
わたしの推しは、アリストテレス♡
アリストみのりと名乗りたいほど♡
〔作品紹介〕
アリストテレスの真作であることが確立され、近年、その評価、価値が高まっている『エウデモス倫理学』は、『ニコマコス倫理学』と並ぶアリストテレス倫理学の主著である。幸福について、また幸福のための徳について考察が進められ、その幸福を実現するうえで重要な「善美の徳」という「完全な徳」をどう身につけるかが議論される。『ニコマコス倫理学』とも重なる共通の部分とその相違、独自性について詳細な解説を付ける。
Posted by ブクログ
プラトン対話篇の中でまず最初に読んだら良いのは迷わず『ソクラテスの弁明』である。しかし、「プラトンとの対話」を、あるいは「プラトンの対話」を味わいたい読者に勧めたいのはメノン、それも渡辺邦夫訳のメノンである。本書は他書には見られない、プラトンに初めて出会う読者にとってあらゆる障壁を取り除く工夫がなされ、生き生きとした対話の様子を再現していることから、まず勧めたいと思う本なのである。
メノンは奴隷の少年が幾何学を習っていないにもかかわらず平方根を用いて問題を解くに至る様子を克明に記録した対話篇である。これは対話を通して少年が自らの内に宿している真理を見出していく様子を描き、真理が一人ひとりの人それぞれに内在していることを問いかけるのだが、この対話篇で有名な想起説が提示されるのである。メノンとソクラテスの対話の内に次々と問いかけられる、徳とは何か、知るとはどういうことか、知識とは何かと、その問いが深まっていく中で、プラトンが問いかけようとする徳の姿が明らかになっていくのである。
本書をまず勧めたいと思うことの一つに訳語の選択がある。従来「臆見」あるいは「思いなし」と訳されてきたドクサという言葉がある。本書の翻訳では「意見」といったニュアンスを含んだ「考え」という訳語が選ばれており、その理由が詳しく訳注で述べられ、かつ本文と等しい分量の充実した解説によって議論の全体の中でその訳語を選ぶ理由が知らされるのである。そしてその道行を通して読者は現在のプラトン研究の最前線へとも招かれる何とも贅沢な本なのである。
評者にとって印象的であったのはソクラテスの命題としても有名な「徳は知である」という言葉の「知」がフロネーシスであったことである。メノンという対話篇がゆたかなプラトン認識論の源泉である中、この「知」という言葉がフロネーシスであったことに非常に驚いた。たとえプラトンがこの対話篇で体系的な思考を目指していないとしてもアリストテレスが実践知として取り上げるそれとの結びつきを気づかせてくれる翻訳なのである。
古典は様々に翻訳される。一つの訳語を選べば従来の訳語と齟齬をきたすといったことは散見されることであり、アリストテレス研究に至っては日本語でも英語でも二つの言葉を巡って訳語が反転することすらある。しかしそういった中での読み解きを通して、古典の伝えようとするメッセージを読み解くこともまた哲学的営みに結び付いている。本書は古典を読むということの、古典を翻訳することの難しさと面白さを共に感じさせ、プラトンがメノンの中で読者に提示する対話そのものを生き生きと再現しているのである。繰り返し手に取りたくなる一冊である。
Posted by ブクログ
「徳は教えられるか」、それ以前に「徳とはそもそも何か」という問いに導かれて、
それらの問いに答えることはできるのか、そのような問いにどうすれば多少なりとも答えられるか、という方法の問題にも話題がおよぶ。
想起説、仮設の方法、行動における正しい思わく、など、色々な話題が出て来て面白かった。
また、岩波版の先行訳と比べると、ソクラテスのモノローグとして対話篇を読むのではなく、ソクラテスが相手に合わせて話題や議論の進行に彩をつけている部分にまで注意をはらう近年の研究成果をふまえて、解説や訳文が作られている。
そのため、先行訳とは読んだ時の印象が思った以上に変わったことに驚いた。
Posted by ブクログ
上巻では人柄に関す徳の話が続いたが、
下巻では下記の内容でバラエティに富んでいる。
6章「知的な徳」7章「欲望の問題」
8~9章「愛について」10章「幸福論の結論」
6章では魂自身の性向として
「技術」「学問的知識」「思慮深さ」「知恵」「知性」
の五つの性向に分けてそれぞれ解説している。
正しい行動のためには「思慮深さ」が必要だが、
「思慮深さ」は全てを支配下に置くわけではなく、
各々の性向は別物であるという結論を出している。
7章では抑制のなさと快楽を追及して、
抑制の無い人の快楽には苦痛が伴うが、
美しいものを愛したり、立派な行動をしたり、
という快楽には苦痛が伴わないと結論を出している。
8~9章はちょっと毛色が変わり愛について説き、
人が人を愛する理由を「有用さ」「快楽」「人柄」
の3つに分けて、「人柄」が最も優れたものとし、
善き人々の間でお互いに善を願い合うのが、
愛として完全なものだという結論を出している。
10章はまとめとして幸福は「徳に基づく生活」
であるという最初の結論に立ち返り、
そのままそれを実現するための政治の話が展開され、
アリストテレスの別の著作である「政治学」に続く。
現代でも人間そのものの本質は変わっていないので、
どう生きるか考えるのに大いに参考になる講義だろう。
特に8~9章は内容もそれほど難しくないため、
色々な人に読んで欲しい内容である。