コンセプトについて記された素晴らしい一冊。
◾️メモ
・身体的に進むべき方向を実感できることが優れたコンセプトの特徴。
・イノベーションには二つの相互作用が必要。ビジョンと具体策のいったりきたりの客観的論理的なマネジメント軸とターゲットと商品サービス間のいったりきたりの主観的で感覚的なコミュニケーション軸。これを両立させる思考法が身体的思考。
・イノベーションは単なる技術革新でなく、人の気持ちを動かして、行動習慣価値観を変えて初めて成立する。
・ビジョン無くしてコンセプトはできない。単なる金儲けを超えた基本的価値観と目的意識がビジョン。
・一見すると非合理だが、コンセプトからすると一貫した具体策をクリティカルコアという。真似できないのでなく、サーチライトが違うからまねしたくならないもの。
・課題はターゲットはなぜ商品を買わないのだろう?と表面的でなく気持ちとして描かれるようなもの。イノベーションはコミュニケーションの問題でもあるため。
・イノベーションを作る発想プロセス ぐるぐる思考。
感じる、散らかす、発見、磨く。
・ぐるぐるの準備
今の常識ってなんだろうを考えると。新しいサーチライトが欲しいので、まず古いサーチライトを知る。一旦今の常識に意識を向けることが効果的。
・ステップ1 感じるモード
食材を得るようにコンセプトの材料をあつめる。プロジェクトに固有の情報、あらゆる出来事に関する一般的な情報。
こびとの世界。あの人ならああしそうという感覚の集合体をつくる。判断せずになんでもふむふむととりこむ。資料から他人の脳みそを獲得し、自分の身体感覚を組み合わせる。とりあえずふむふむ重要。
・ステップ2 散らかすモード
どうすればターゲットの気持ちを動かせるかを目的に生々しく考え抜く。整理しない。問いをたてまくる。合理的でもなく、素直でもないこびとを口説くことを考える。商品サービスターゲットの間をいったりきたりする。
時代社会、生活者、商品サービス、競合という四つの切り口。
・ステップ3 発見モード
こびとの気持ちが動く身体的な実感を言葉に翻訳する。メタファーが感覚を現実世界で他人に通用する言葉に変換してくれる。空飛ぶバス、芸術は爆発だみたいな。
なお、ここでのコンセプトは複数見つかることも。文脈によって、変わってくる。
・ステップ4 磨くモード
新しいサーチライトに従ってその分野専門家を集め、ゼロベースで全体を構築する。こびとの感覚がコンセプトを通じて共有され常識を覆していく。具体化はプロに任せることが重要。
そこには死の谷が三つある。
理解の谷。脳みそと身体感覚のせめぎ合い
習慣の谷。今の常識を具体策に他の人がまねしたくならなきものを設定して乗り越える。
根気の谷。最後まで粘り強くとりくむ。
・一度これを回すと、情報がさらにふってくるため、再度感じるモードへ。ぐるぐるの連続へ。こびとの精度をあげてゆく。