ヘッセの作品一覧
「ヘッセ」の「ガラス玉演戯(上下)合本版(新潮文庫)」「さすらいの記」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
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Posted by ブクログ
あまりにも良すぎて、語り尽くせない……
短いのに、物語としても詩としても哲学としても、いっぱい心に訴えかけてきて、深く深く心を満たしてくれる。特に後半は、感極まって涙があふれてしまった。
この本の大切なメッセージは、シッダールタが川から聞いたこと、そして最後のゴーヴィンダとの会話だと思う。言葉にはできないので、言葉にせずに心にしまっておこうと思う。
物語でシッダールタが知っていったもの、教えや我慢や放蕩や愛の施しや執着……。それらは、大きな川全体の一部の完全な瞬間だった。
読者である自分も、例えば「避けたいな」「避けたかったな」と思う出来事や状況を、そんな見方に変えられるのかもしれない。
シッダールタがそんな見方を手に入れたのは、彼が観念的な真理だけでなく、いま目の前に見えている世界を蔑ろにしなくなったからだと思う。ほんとうにこういう生き方をしたい、と思った。
シッダールタの物語だけれど、この本でいちばんお気に入りなのは、後半で出会う渡し守。シッダールタが彼に心の内を話していくように、自分自身の心のことも同じように受け入れてくれたような気がする。
この作品を読んだのは、手塚訳に続いて2回目。最新の訳なのでとても読みやすかったし、巻末に載っている翻訳のこだわりについての記載もおもしろかった。