梶井基次郎の作品一覧

「梶井基次郎」の「乙女の本棚」「檸檬」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

ユーザーレビュー

  • 檸檬

    Posted by ブクログ

    基次郎が捉えて描いた亜現実は、確かに退廃感のある目線で覗かれている。しかし、絶望、疲弊、苦悩に溢れる心情には沸々とした湧き上がる熱量が潜んでいる。この陰鬱な精神の底に流れる力強い熱量は「生命の価値観」が呼び起こすものであり、純粋な生への憧れが溢れている。この憧れが強いからこそ、現実と理想との乖離や、病苦によるもどかしさが、一層怒りを帯びて高まっていく。生への執着は生き様へと変化を見せ、立派な文士としてあろうと虚栄を張りながら熱心に作品を生み出す。彼にとって、ただ只管に執筆に向かうことは苦悩への戦いであり、苦悩を生み出す元ともなっていた。

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    2026年02月21日
  • 乙女の本棚4 檸檬

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    檸檬とは少しずれるが、「あのびいどろの味程幽かな涼しい味があるものか。」という表現がこの本の中で一番好きな表現です。本来びいどろは味がしないはずなのに、色硝子の透き通ったキラキラを嘗めて見た味の感想を素直に述べています。読者の多くは嘗めたことがないはずなのにその味がちょっと想像できちゃうのも、この表現の面白いところなのではないかなと思います。

    ごちゃごちゃとした「えたいの知れない不吉な塊」と、単色の「檸檬」の鮮やかな対比も、とても素敵です。積み上げた画集とガチャガチャとした様を檸檬がまとめあげている様子も、主人公の私にとって檸檬がどれほど輝いて見えたかを表している表現だと思います。

    この本

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    2026年01月13日
  • 檸檬

    Posted by ブクログ

     自身の性向や病と向き合いながら紡がれた作品たち。繊細な感性で文章化された絶望は読んでいて苦しくなる時もあったけれど、心が洗われるような静謐さ、命の美しさや儚さを併せ持っているように感じた。

    1,檸檬
     精彩を欠く日々に現れた魅力的な一顆の檸檬の描写が素敵だ。鬱々とした気分に、檸檬が光を投げ掛けてくれたということか⋯

    2,城のある町にて
     主人公・峻の日々を淡々と描く。峻はたぶん、梶井基次郎さん自身を投影しているのかもしれない。何気ない日常のひとコマひとコマに注がれる視線の感性が豊かだった。

    3,泥濘
     青年の鬱々とした1日の記録。何をしても上手くいかない。そういう時は不思議と「上手くい

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    2025年12月21日
  • 檸檬

    Posted by ブクログ

    これまで読んだ作品の中でも、かなり好きな部類に入る。

    精神的に追い詰められた人間が、正常な思考を保てなくなったとき、どこか素っ頓狂な行動を取ってしまうこと。そして、その行動によって当人が一時的な安堵を得るという状態が、この作品にはよく描かれている。

    本当に辛いときには感情が抜け落ち、辛いとすら感じなくなる。そうして、ふとした瞬間に不意に笑ってしまったり、理由もなく涙がこぼれたりするものだと思う。

    『檸檬』では、店先で見かけたレモンが、ある瞬間に煌々と輝いて見える。
    何でもないはずのものが、異様なほど魅力的に感じられる――そんな感覚には、私自身にも覚えがある。

    あの状態を経験したことがあ

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    2025年12月17日
  • 檸檬

    Posted by ブクログ

    「えたいの知れない不吉な塊」に心を圧迫される「私」が、確かな美を持つ「檸檬」を「爆弾」に見立て、既存の美の宝庫である「丸善」に置く話。

    「丸善」の棚に置いた「檸檬」が、陳列された「美」を吹き飛ばすことを想像することによって、「私」の心は「不吉な塊」から解放されるのです。

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    2025年11月30日

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