作品一覧

ユーザーレビュー

  • 檸檬

    Posted by ブクログ

     自身の性向や病と向き合いながら紡がれた作品たち。繊細な感性で文章化された絶望は読んでいて苦しくなる時もあったけれど、心が洗われるような静謐さ、命の美しさや儚さを併せ持っているように感じた。

    1,檸檬
     精彩を欠く日々に現れた魅力的な一顆の檸檬の描写が素敵だ。鬱々とした気分に、檸檬が光を投げ掛けてくれたということか⋯

    2,城のある町にて
     主人公・峻の日々を淡々と描く。峻はたぶん、梶井基次郎さん自身を投影しているのかもしれない。何気ない日常のひとコマひとコマに注がれる視線の感性が豊かだった。

    3,泥濘
     青年の鬱々とした1日の記録。何をしても上手くいかない。そういう時は不思議と「上手くい

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    2025年12月21日
  • 檸檬

    Posted by ブクログ

    これまで読んだ作品の中でも、かなり好きな部類に入る。

    精神的に追い詰められた人間が、正常な思考を保てなくなったとき、どこか素っ頓狂な行動を取ってしまうこと。そして、その行動によって当人が一時的な安堵を得るという状態が、この作品にはよく描かれている。

    本当に辛いときには感情が抜け落ち、辛いとすら感じなくなる。そうして、ふとした瞬間に不意に笑ってしまったり、理由もなく涙がこぼれたりするものだと思う。

    『檸檬』では、店先で見かけたレモンが、ある瞬間に煌々と輝いて見える。
    何でもないはずのものが、異様なほど魅力的に感じられる――そんな感覚には、私自身にも覚えがある。

    あの状態を経験したことがあ

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    2025年12月17日
  • 檸檬

    Posted by ブクログ

    「えたいの知れない不吉な塊」に心を圧迫される「私」が、確かな美を持つ「檸檬」を「爆弾」に見立て、既存の美の宝庫である「丸善」に置く話。

    「丸善」の棚に置いた「檸檬」が、陳列された「美」を吹き飛ばすことを想像することによって、「私」の心は「不吉な塊」から解放されるのです。

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    2025年11月30日
  • 文豪死す

    Posted by ブクログ

    表紙や作者の紹介ページで使われるイラストがとても美しい。適度に服装、髪型は本人の雰囲気を残しつつ、完璧に美化されていてイラストレーターの腕の良さにたまげる。

    文豪たちの最後の作品を集めた本で、まとめて読むとその文豪らしさがよく感じられて良い。
    芥川の「歯車」 私も偏頭痛持ちだからこの現象(閃輝暗点)よくわかる!と共感するとともに、精神病になりやすい家系の人なんじゃないかと邪推してしまった。

    太宰の「グッド・バイ」 女性関係の華やかな作者の理想の別れ方を描こうとして、結末までいかなかったのは収集つかなかったのかな、と思った。

    梶井「のんきな患者」 若い頃から結核を患ってたから、今回の主人公

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    2025年11月30日
  • 乙女の本棚4 檸檬

    Posted by ブクログ

    2025/11/03
     ――それをそのままにしておいて私は、何喰わぬ顔をして外へ出る。――
     私は変にくすぐったい気持がした。「出て行こうかなあ。そうだ出て行こう」そして私はすたすた出て行った。
     変にくすぐったい気持が街の上の私を微笑ませた。丸善の棚へ黄金色に輝く恐ろしい爆弾を仕掛けて来た奇怪な悪漢が私で、もう十分後にはあの丸善が美術の棚を中心として大爆発をするのだったらどんなに面白いだろう。

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    2025年11月03日

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